エピローグ
無事に屋敷に戻った私を待っていたのは、休む間もないほどの「ご褒美」の嵐だった。
「ヴィルフリート様じゃなくて、ヴィルだろう?」
「ヴィル…ヴィル、もうキスとハグはいいですって!せっかくの高級ハーブティーが冷めちゃいます!」
「エマが買ってきてくれたハーブティーは、冷めても美味しいから大丈夫だ」
「ああ言えばこう言う…!あったかいうちに飲んだほうが、身体も温まって寝つきが良くなるのに…」
「それは大丈夫だ。ベッドでエマが温めてくれるから」
そんなこと、とろけるような顔で言われて、顔が赤くならないわけがない。
「可愛い、エマ」
ヴィルは私のノートに目をやった。
そこには溺愛開始後の「ご褒美リスト」も記されているのだ。それが彼の「ToDoリスト」になっている。
《毎日キスとハグ》
《目覚めはバックハグで「おはよう」》
《外出時には手の甲にキスして「本当は行きたくない」》
これらのToDoリストは、すべて原作以上の熱量でこなされている。
キスとハグは毎日っていうか顔を合わせるたびに十分な時間をとって行われるし、バックハグで起こされたら「愛しい私の公爵夫人」って耳元で囁かれて朝から脳が溶けるし、外出時のキスは手の甲だけじゃないし。
「なんだこれは。《花祭りに一緒に出掛けて見知らぬ男性に絡まれるエマに、『離れるな、君は本当に危なっかしいな』と言う》だと…?」
そう、それはかなりベタだけどあまりにヴィルのビジュが良すぎて胸キュンなシーンのひとつ。
「はい!花祭り、一緒に行きましょう!」
ヴィルは首を振った。
「行けるわけないだろう。君が見知らぬ男に絡まれるとわかっていて、連れていけるわけがない。どうしても行きたいなら、屋敷の中に屋台を準備して花祭りを開催してやる」
「ええ…?」
原作の知識は、もう必要ない。っていうか、意味がない。
目の前で私の髪をすくって愛おしげにキスを落とすこの公爵様は、原作よりもずっと熱くて重い愛を注いでくれるのだから。
「そう言えば、私が君を好きになったら、君からも何度も『好き』と言ってくれるんだったな?」
そのビジュでおねだりは反則なんだって。
「好きぃ!」
「ああ、幸せだ。もっと言ってくれ」
「好き好き好き!」
「私もだよ、エマ」
私の異世界溺愛生活は、原作の完結後も、末長く続いていきそうです。




