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234.神に見捨てられし人

234.神に見捨てられし人


「その魔王は名前を名乗ったのか?」


俺は肝心なことを聞く。名は常に運命を左右するからだ。


「は~!? 化け物に名前なんてあるのかよ!」


ビビアが言う。確かにそうかもしれないがな。


しかし、兵士は俺の言葉に確信をつかれた、とばかりに青くなり、震えながら言った。


「申し訳ございません。確実な情報ではないので、どこまで報告してよいのか……」


「良い! ありのまま申すが良い! アリアケが看破した通り、名を名乗ったのだな?」


兵士は頷くと、その魔王の名を口にした。


「その化け物は、自分を『ナンム』と名乗りました」


その瞬間、神殿内の人々が一気にざわついた。


いや、驚愕に近かった。


むしろ、この滅亡種人類王国で最後の抵抗を続ける人々が絶望し、持っていた書類を落としたり、膝から崩れ落ちたのだ。


相当のショックが走ったことが分かった。


「フェンリル、なぜこれほど皆、ショックを受けているんだ? 『ナンム』とはお前たちの何だ?」


「神だ」


フェンリルは一言で答えてくれた。


「なるほど、そういうことか」


「どういうことだよう!?」


納得する俺。一方、周囲の混乱にあわせて思考停止に陥ってしまったビビアが、やはり錯乱しながら叫んだ。


「初級勇者よ、我が答えよう。ナンムとはこの大地を創成したという地母神である。無論、星の神であるイシスとは比べるまでもないが、我らクルーシャチュの民たちはナンムを信仰している」


「だから、その神様が何で魔王になってやがんだよう!!」


更に錯乱しながらビビアが叫んだ。


だが、彼の指摘ももっともだ。もう少し冷静になってくれればと思うが、初級勇者だから仕方ないなと思ったりする。


「それは我も知りたい。だが結果だけは明らかである。本当にナンム神が魔王となって人類の滅亡を望むのであれば、我らは神に見捨てられたということになる」


「神に見捨てられた人類種か」


それは……。


「大きな痛手だな」


「ああ、痛恨の一撃! という奴だ! まったく、邪神ニクスはとんでもない置き土産を置いて行きおる! 度し難い奴! だが効果的なことは認めざるを得ぬ。かしこき奴よな!」


憤慨した様子でナイアが言った。


「はっ! 別に神に見捨てられたくらいでなんだ! 倒せばいいだけだろうが!」


ビビアが聖剣をギラギラとさせながら言った。


「いや、ナイア様やアリアケ殿がおっしゃっているのは、そういった武力面での話ではない」


「ああん?」


ビビアが不思議そうに眉根をひそめた。フェンリルが続ける。


「追い詰められた人類種が耐えて来たのは、無論、ナイア様が限られた兵力を采配されたことが大きい。だが、それは心の支えがあってこそだ」


「心ぉ?」


フェンリルは頷き、


「信仰。あるいは心の寄る辺。神への祈りを通して人々は心の安寧と明日への活力を養って来た。これからはそれが失われる。心の基盤がなくなるようなものだ。そのような神に見捨てられた『孤独』な人間が、果たして滅亡を免れることが出来るだろうか?」


そう言って彼女は嘆息した。


「ま、まじかよ。ひええええ、俺は負け戦はするつもりはねえぜ……。こ、こんなところからはおさらばして……」


ビビアが何か言っている。


だが、俺は微笑みながらフェンリルとナイアに言った。


「神に見捨てられた孤独、か。だが、俺たちは生きなければならない。神が魔王となるならば、それを打倒して前に進むべきだ。違うか?」


俺の言葉に、ナイアも満面の笑みを浮かべ、


「その通りである! このナイアも少しビビッてしまったが、ノーカンということで宜しくである! 神が我らを見捨てるとしても、我らは前に進まねばならぬ! 信仰を失っても、明日に命をつながねばならぬ!」


彼女は頷くと、檄を飛ばした。


「我らは負けぬ! 第1の魔王にて既に他の町との交流は断たれつつある。友好的であった獣人たちやエルフたちとの連絡も取れぬ有様である! そして、今回新たに現れた第2の魔王にて神に見捨てられつつある! だが、例えそうした孤独なる人類種であったとしても、明日を諦めてはならぬ! ゆえに!」


彼女は紅の大鎌を掲げながら言った。


「初級勇者ビビア! そして大賢者アリアケと我が従者フェンリルは、地母神ナンムの討伐せよ!」


「いいだろう。その依頼受けよう」


「私はナイア様の意に従います」


「へ、へへへ。その地母神とやらを倒せば生き残れるんだな! ならやってやるぜ!」


仲間たちも意気軒昂なようだ。


と同時に、


「あ、ちなみにだが、今回は我も同行するんで宜しく」


「……へ?」


俺が首を傾げるのと同時に、ナイアが玉座を飛び出して俺の前に降り立った。


身長は俺の胸下くらいまでしかないが、その力の強さは瞳に現れている。


「お前がやられたら人類は滅亡するんだろう?」


「たまには息抜きが必要であるからな。それに今回の相手は格が違うであろう? 確実に仕留めねばならぬゆえな」


「神相手に冷静だな……。そうだな。お前がいれば心強い戦力になる」


「うむ!!!」


こうして、俺たち初級勇者パーティーと冥王ナイアによる共同戦線が臨時構築された。


人を見捨てた神、ナンム討伐のために。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] ・価値観がおかしい冥王 >「初級勇者よ、我が答えよう。 ナンムとはこの大地を創成したという地母神である。 無論、星の神であるイシスとは比べるまでもないが、 我らクルーシャチュの民たち…
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