222.下級勇者ビビアとパーティー再結成
第6章開始です。楽しんでいってください(#^.^#)
222.下級勇者ビビアとパーティー再結成
「マナの多さからして、神代に飛ばされたか? まだ原因は分からないが……」
大気には魔力が満ちていた。
先ほどまで、俺の中立国オールティの地下牢にいたが、今いる場所はむき出しの荒野である。
だが、直感的に理解した。これほどの魔力が満ちていた時代と言えば一つしかない。
それは……、
「ひいいいいいいいいいいいいいいい!? どうなってんだよこれええええええ!? し、しかも、上空に飛んでやがるのは一匹でS級モンスターのレッドドラゴンじゃねえかああああ!!!」
考え事をしていると、人の出す声とは思えないけたたましい咆哮が耳朶を打った。
やれやれ。
俺は苦笑しながら、生暖かい目線でその阿鼻叫喚、狼狽中の輩を見た。
「下級勇者ビビアよ、そんなに驚くな。何があっても動じるなと、一番最初に教えたろう?」
そう言って、子守をするような気持ちで伝える。
勇者パーティーを導いていた、かつての懐かしい気持ちを思い出しながら。
だが、やはりまだまだ精神的な未熟な下級勇者ビビアは、俺の言葉に怒声を返す。
「う、うるせえ! レッドドラゴンの群れだぞ!? お、襲われたらひとたまりもねえ! お、お前が盾になってる間に逃げっ……! ぐへあっ!?!?!?」
「腰が抜けていては逃げ出せんぞ。それに、お前の実力では恐らく、大賢者たる俺の支援無しでは、この果ても知れない荒野を抜けるのは至難の業となると思うぞ?」
淡々と事実を告げる。
「ぐ、ぐぎぎぎぎぃ!?」
どうやら分かってくれたようだ。
悔しそうな表情を浮かべて……どこか憎々し気ではあるが、元々人相が悪い男なので気にすることはないだろう。
それだけ、俺の口から放たれる一つ一つの至言の重要性を痛感している証拠であろう。
俺は微笑みを浮かべて言う。
「理由は分からんが、どうやら俺たちは千年前以上の『神代』へと飛ばされたようだ」
「神代回帰だと!? そんなバカなことが起こるわけがねえ!? いやだ! いやだ! 下級勇者でもいい! 現代へ返してくれええええ!!! デリア―! プララ―!」
エルガーの名前がないのが切ないが、無視して話を進める。
「お前の言う通り、現代へ戻る方法を探る必要がある。他の賢者パーティーや、元勇者パーティーたち、他のメンバーも飛ばされている可能性もある。だが、先ほどからやってはいるが、俺の≪探索スキル≫は今のところ発動していない。本当に来ていないのか、時間差があるのか、理由は分からんがな。というわけで提案だ、下級勇者ビビアよ」
「な、なんだ」
ガクガクと周囲を警戒しながら怯える不出来な弟子ビビアへ、俺は指示する。
「俺とお前で勇者パーティーを再結成する。下級勇者の役目は困った者の救済だ。それはこの時代でも変わらない」
「はあああ!? んなこと一人でやってろよ!? 俺は俺の命が大事なんだ! 他人がどうなろうが知ったことじゃねえ!!!」
彼は絶叫する。しかし、
「自分の命を大事にする姿勢は大事だが、虎穴に入る必要はある。俺がこの時代に呼ばれたからには、神代が俺を呼んだと言っていいだろう。俺が神代で何を救う運命なのかは分からんが、困ったことに事態は俺を中心に巡るに違いあるまい。そして、恐らくそこに現代への回帰方法もあるんじゃないか?」
「な、なんでそこまで言い切れるんだよう!?」
ビビアが改めて狼狽しながら叫んだ。
だが、俺は淡々と事実だけを告げる。
「賢者たる俺と、勇者たるお前が揃って同じ場所に召喚されたんだ。この時代を救うために呼ばれたに決まっているだろうが」
その言葉を聞いて、ビビアはキラリと瞳に輝きを取り戻す。
「ほ、ほーん。た、確かにそうだな。勇者が呼ばれるのは世界を救う定めがあるからこそだ。ったく、しょうがねえな、いつも俺に世界は頼りやがる。俺がいねえと、碌に世界は平和にならねえんだからよお。たく、まったく、しょうがねえなぁ」
ビビアはなぜか気持ち悪い笑みを浮かべてニヨニヨとし始める。
どうやら世界の救済に必要とされたという話で元気が出たらしい。
俺にとっては日常茶飯事のことだが、彼にとってはめったにない大仕事なのだろう。
まぁ、それで少しでもやる気になってくれるならばありがたい。
気分が変わらないうちに話を進めるとするか。
「では下級勇者ビビアよ。大賢者アリアケとパーティー再結成を行うことを受諾するか?」
「くは、くははははは! しゃーねーな! 世界を求めるならば、この最強!最高!勇者ビビアの力を貸してやらんでもねえ! ついてこい! このヘボポーターのアリアケェ!! しばらくの間なら使ってやるぜ!! くはははは!!!」
だいぶ調子を取り戻したようだ。
ただ、
「おっと、先ほどのレッドドラゴンの群れが襲って来たようだぞ」
「ひ、ひいいいいいいいいいいいい!?!?! どこだどこだ!? ああ! 剣が! 剣がない! くそう、聖剣さえあれば!!」
「ああ、そうだったな。ほれ、グランハイム王から預かっていた聖剣ラングリスだ。持っていけ」
「へ!? せ、聖剣か。えっと、うう、剣一本で戦えるわけがねえ!!!」
「まぁ、安心しろ。冗談だ。もう群れは行ってしまった」
「へ?」
聖剣を震えながら構えて上空を警戒するビビアに俺は告げた。
「それくらい緊張感を持っていれば大丈夫だろう。油断大敵、その教えは覚えていたようだな」
「て、てめええええ! はめやがったなあ!?!??!」
「師として力量を見極めただけだ。ま、何にせよ、勇者パーティー再結成だ。よろしく頼むぞ?」
「くそがあああ! 誰がてめえなんかと仲良くするかよお! いつか後ろから刺してやっからなあ!」
ははは、冗談も言えるとは、元気の良い奴だ。
俺が刺せるならば一人前だが、まぁ、そこまで成長するには何千年かかることやら。
まぁ、何はともあれ、いきなり放り込まれた異世界同然のこの世界で、これくらい覇気があれば、俺についてくることも出来るだろう。
久しぶりの勇者パーティーだ。
勘を取り戻しながら進むとしようか。
こうして俺は、下級勇者ビビアと『下級勇者パーティー』を再結成し、神代の世界の冒険を開始した。
しかし、事態は俺たちに安穏とした時間を許してはくれない。
「きゃー!?」
遠くから女性の悲鳴が聞こえて来た。
煙が上がっている様子も遠目に見える。
早速事件が発生したのだ!
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CV:井上 喜久子さん・保志 総一朗さん
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