207.ワイズ神 VS 始祖ブリギッテ/真相①
207.ワイズ神 VS 始祖ブリギッテ/真相①
~アリシア視点~
「戦いを始める前に、あなたの本当の目的を聞いても宜しいですか? ワイズ神様?」
始祖ブリギッテ様がまじめな表情をして言った。
アビスを300年間封印し続けた始まりの聖女であり、ブリギッテ教の始祖。
「剣と剣を交えればわかることだ。私は無駄は好まぬ」
「賢き神と言われているんですから、神性の通りやって欲しいんですが。それに私はブリギッテ教の序列一位ですが、わりと敬虔なワイズ教信徒なんですよ」
「ええ!?」
「そうなんですか!? ご自身の教義を信仰してらっしゃらないんですか!?」
私もローレライちゃんも驚きます。
「いえ、別に私が作ったというより、勝手に当時の仲間とかが作り上げた内容ですし。割と気にいってますが、元々はワイズ教ですよ? というか、当時はだいたいワイズ教徒でしたし」
「信徒か。いや、背徳者なのか? まぁ良い。この舞台には余計に相応しいのかもしれん」
ワイズ神様は剣は構えたままで言う。
「目的はと聞いたな、現人神ブリギッテ。それは簡単だ。私という旧き神では世界は救えぬ。だから新しき神を生み出す。そのための母体として、力と吸収の顕現体であるヴァンパイアを母体とし、お前たちを贄として捧げよう。それによって新たな神が目覚める」
「そうですか? ですが、それなら私たちをこの神殿にまで招くことはなかったのではないかな、とお姉さんは思いますがどうでしょうか? まだ何かを隠している! とお姉さんは見ました」
「無論だ。神は韜晦を好む。それにすべてを話せとは、お前たち人の言う『デリカシー』に欠けるのでは?」
「なるほど。一理ありますね」
「はい! はい! 異議ありです! ブリギッテ様! 納得したらダメですよ! 世界の命運がかかってますから!」
ローレライの元気の良い言葉に、
「そうですね。ではこうしましょうか、ワイズ神様」
ブリギッテ様は好戦的な微笑みを浮かべて言った。
「私が勝ったら、隠し事は無しにしましょう」
「なるほど。戦利品というわけか。嫌いでは……」
「殴り愛です! 燃えますね! やっぱり最後は拳と拳で会話をしなくては!」
「……私が最初に言った内容に戻ってきている気がするな」
「そうですね。それに先ほど戦利品とおっしゃられましたが、それは違います。訂正を要します」
「ほう? ではなんだと?」
かちゃり、とワイズ神様も正眼に剣を構える。
ブリギッテ様は、微笑んでから、私に、
「分かりますか、アリシアさん?」
そう問いかけたのでした。
もちろんですとも!
「殴り合った後は、大の字に寝転がって、親友になるんです! これ、ブリギッテ教の基本ですから!」
「これ、まじでそうなってるんですよね。どうして私はブリギッテ教信者やれてるんでしょうか……」
私はしっかりと宣言し、ローレライちゃんはなぜか表情を曇らせていました。
「ふふ。良いな。『カツアゲ』のような気もするが、良いだろう」
『ドン!!!!』
ワイズ神の雰囲気が一変した。
神殿が崩壊するほどの魔力が解き放たれる。
「邪神来星より生き残った一柱。このワイズを打倒し未来の可能性を見せよ。現人神とその信徒たちよ。神を殺せるのはお前たちヒトだけの特権だ。逆もしかり。今ここに、星の未来の断章を紡ぐ」
「ならば、ここに集いし三人の聖女の力によって、その断章は紡がれましょう。素敵な文章で、明るい物語にするなんておちゃのこさいさいです」
「行くぞ!!」
ワイズ神様の、もはや、可聴粋すらも超えた神域に達する黒い閃光が、私たちを蒸発させる魔力を帯びて神剣より放出される。
「大結界『赤』!!」
それを地獄門を300年に渡り封印してきた、ブリギッテ様の結界が阻んだ。
「くっ!?」
ローレライちゃんが目の前で炸裂する黒と赤の光の奔流に目を閉じます。
その間にも、
「よくやる。ではこれはどうか!」
「重いですね! さすがに!」
既に二人は初撃の攻防を追えて、次の行動に移っています。とてつもない速さ。
動いているのはブリギッテ様ですが、それを軽くいなすのは、ワイズ神様といった様相です。
「ローレライちゃん、2秒後に小結界よろしく!」
「ど、どこにですか! 早すぎて見えません!」
「目の前です!」
「へ?」
「アリシアさん! 大結界を!」
「了解ですとも! 対滅大結界! 絶対神層!!」
そんな私たちのやりとりとほぼ同時に、
『消滅するがいい! ロストガーデン』
「くぅぅぅぅぅ!!」
『バリン! バリン! バリン! バリン!』
神の剣より、今までの数倍の熱量を誇る魔力放出がなされたる。
赤黒く燃えさかるその魔力の光線は、私がブリギッテ様の前に張った複層対滅大結界を次々に打ち砕いていく。
「防ぎ切れません!」
「それでいいんです!」
「へ?」
『バリン!!』
最後の結界が破裂する。
だが、強力な大結界を幾つも破壊した衝撃で、神技たる致死の光線は僅かにそれる。
「それたんですか? きゃっ!?」
ドン! とローレライの張った小結界に着地し、衝撃を吸収したのは、ブリギッテ様だ。
「強いですね。というか、めちゃくちゃ防御が固いですね。隙がないです。素手ごろでも十分やれますよ、あの神。ローレライさん、中級回復魔法よろしくお願いします」
「長期戦はあんまり向かないかもしれないですね。こちらの力があるうちに、必殺の一撃を打ち込みたいところです。あ、次は私に中級回復魔法お願いしますね」
「は、はい。でも私の回復魔法なんかでいいんですか?」
その言葉に、ブリギッテ様と私は思わず笑ってしまいます。
「当たり前ですよ。ローレライさん。自覚がないのかもしれないですが、あなたは回復術士としてはもう誰にも負けないレベルに達してます」
「ですです。この戦力で勝てなかったら、どうせ誰がやっても勝てませんって。私たちは回復魔法を使っている余裕はありませんので、非常に助かります」
「わ、分かりました! 有頂天になって頑張ります!」
「いい返事ですね。やっぱりブリギッテ教徒の素質がありますね。リズレットそっくりです」
「萎えました」
そんなやりとりをしていると、
「作戦会議は終わったか?」
ワイズ神様が落ち着いた声音で問うてくる。
「はい。長引かせるつもりはありません。次で決めましょう」
「ふむ。そうか。短慮かと思うが、それを止めるつもりはない。大賢者がいればまた話は別かとおも思うがな」
「ふっふっふ~。甘いですね~。神様。お互いを支え合うのが夫婦というもの。アー君がいなくても大丈夫であるところをお見せしましょう」
「この土壇場でデレを見せつけていくところはさすがですね。アリシア様」
ローレライちゃんの淡々とした声が響きます。
「ではゆくぞ。いずれにしてもこれで終わりだ」
ワイズ神様から再び剣が振るわれます。
今まで以上の。
それこそすべてを飲み込むような、凄まじい黒い光の奔流。全力の一撃。
ですが、だからこそ。
「私たちには勝機がある!」
「驚いたな」
「そうですか?」
少女は淡々とした調子で言った。
倒れたワイズ神様に馬乗りになり、胸には短剣が突き立てられようとしている。
「この短剣には『神殺し』の『呪い』がかかっています」
「賢者の置き土産だろう? 無論、その程度のものは用意しているとは思っていた。だが、私に至るのが、お前とはな、ローレライ。始祖ブリギッテと大聖女アリシアさえも捨て駒にするとは」
「捨て駒ではないです。尊い犠牲です」
「そうか……。それは人間らしく、唾棄すべき言い草で、私の期待通りだ」
「やっぱり、嘘、なんですね」
ポツリと言うローレライに、ワイズ神は訝し気な声を上げたのだった。
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