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Marionett‘s Memorial  作者: DEER
三章 悔いる悪夢は夜闇の奥に
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二十二幕 愛故に

ここはけっこうお気に入り

 あれからサティとはいろんなことを話した。

 魔国では総力を掛けて私を救出するって案が持ち上がって、あと一歩で実現しそうだったこと。抑えたはいいけど皆悲しんで国が回らなくなりかけたこと。偵察隊を仕向けたら異常に強い帝国の人族が居たこと。


 そのどれもが感情的で、そして面白かった。

 きっとサティは話が上手いのだろう、その証拠に本当に夜が明けるまで飽きることなく聞き続けることができた。


「ねぇ? 本当に覚えてないの?」

 途中で私の法国での生活を聞かれたのだけど、私は答えることができていない。


「そうね、不思議なことに何にも覚えていないのよ」

 法国で何をしたか、誰と出会ったか、その全てが抜け落ちている、気が付いた時には誰も居ない‘昼の‘街道に立ってて、そして何故か愛しい男の子に声を掛けられてて……


「そうよ思い出したわ」

「何何? 何思い出したの?」

「ふふ……実はね……」

「勿体ぶらずに教えてよ~、早く早く~」

「そうねもっと勿体ぶりましょうか、ついてきて」

「や~ん酷~い」

「大丈夫よ、しっかり紹介するから」


 直接見せてあげましょうか、私の愛しい男の子を。



「今連れてくるわ、ここで待っててね」

 部屋の前までサティと一緒に来て、あの子を連れてくるために廊下に待たせるために声をかける。


「ねぇルナ? いままでずっと部屋で待たせてたの?」

「そうだけど?」


 何か問題だったかしら?


「う~ん……なんというか、ルナの友人だったら隠しておかなくても大歓迎だよ?」

「それには及ばないわ、……私が、私だけがあの子を守るの」


 ふふふ……絶対に離さないわ。


「うわ~怖」

「あら心外ね、それだけ大切ってことよ? 『月』の全力で守られるなんて、そんな安全は他じゃあり得ないわよ?」

「そしてその子は『月』の全力で閉じ込められてると……大丈夫? 餓死とかしない?」

「大丈夫よ、しっかり食事もあげるもの」

「ペットじゃ……ないんだよね?」

「当たり前じゃない、私を何だと思ってるの?」

「おう……なんかまだ見ぬルナのお友達にすっっっごく優しくしたくなったよ」

「渡さないわよ」

「取らないよ……怖いもん」


 本当……私を何だと思ってるのかしら? 別に変な趣味はないわよ。


「それじゃ呼んでくるわ」

「大丈夫……首輪とか付いてても引いたりしないからね」



「この子よ」

 一回普通に部屋に入って、中から『月』の空間に入り、中から男の子を連れだしてから空間を閉じて扉を出る。


 面倒だけどこうしないと部屋のトリックがバレちゃうものね、仕方がないわ。


「ぇ……」

 サティが男の子を見たときの第一声はそれだった。

 ビックリでしょう? 意外でしょう? 羨ましいでしょう? 私は見つけたのよ運命の相手を!


「ルナ……ちゃん? その子の名前って?」

「名前は! ……あれ?」

 名前は……名前は? 何だったかしら?


「御免なさいね、ちょっと待ってもらえるかしら?」

 いそいそと。


「命ず 名を告げなさい」

 催眠状態だから命令しないと答えてくれない、物寂しいわ。


「ぼくのなまえは……ソル」

「そう、ありがとう」

 その分聞いたら必ず答えてくれる、あぁ……声音さえも愛おしい。


「この男の子はソルよ、私の愛おしい子」

 どうかしら! この私の心を掴んで離さない大切な子! もうなんで愛しいかは考えないわ、多分それが一目惚れってやつなのでしょう?


「ルナちゃん……真剣な話だから最後まで聞いてね?」

「何かしら?」


 ? 思ってた反応と違うような……


「ルナちゃん、多分その子は……」

「その子は?」

「……法国が抱える『役』の一人、『太陽』のソルだよ」

「うん……うん?」


 『役』の一人? 『太陽』? WHY?


「で……でもこの子私に無警戒で近づいていたし、無抵抗で催眠魔術に掛かったわよ? 『役』の一人ならそんな簡単に魔術に掛かるわけないじゃない」

「でも僕たちが持ってる『太陽』の情報とぴったり一致するよ?」

「えぇ……」


 嘘ぉ……そんな馬鹿な話があるかしら? 一目ぼれで連れ去ってきた子が敵国の要人で、しかもその子が今私の支配下にあるなんて。

「とりあえず確認とってみるけどグッジョブだね、なんにせ敵の戦力をそっくりそのまま奪えたわけだから」

「そ……そうね、グッジョブよね?」


 単に自慢がしたかっただけだったのに何でこんなことになってるのかしら? この子が『太陽』……そう思うと凛々しく見えるわね。


「とりあえずルナはこのまま『太陽』を抑えてて、何が起こるか分からないから慎重にね?」

「分かったわ、何回も魔術掛け直しておくわね」

「僕はガルドに報告してくる、それまではそっちで対応しておいて」


 ガルド、たしか『塔』の名前ね、大体の魔族は『塔』って呼ぶわ、ガルドって呼ぶのはサティくらいじゃないかしら?


「できるだけ急いで頂戴ね?」

 未だに頭が追い付いていない状況で二人っきりにされても混乱するだけ、この子……ソルだったかしら?


 本当どうしましょう?




 上も下もない


 前後も左右も分からない


 手を伸ばしても届かない


 目の前にあるのは親指と人差し指で輪っかを作ったくらいの大きさの青と白の綺麗な球


 近づくことは叶わない


 どれだけ近づこうとしようとも、球は一向に近づかない


 話すことは叶わない


 喉から空気が出ることはなく、吸おうにも何も吸えない


 それでも動くことはできる


 どれだけ道に迷おうとも、道があるなら突き進む


 道を新たに作る必要はない、目の前の道を全力で走るだけ


 真っ暗な不思議な空間で、唯一ある青い球


 道しるべがあるなら迷わない、それが僕の使命だ


 近づくことは叶わない


 それでも絶望するのはあり得ない


 無限の時間があるならば、僕は必ず辿り着いてみせる


 その先になにがあろうとも


 僕には会わなきゃいけない人がいる


 救わなきゃいけない人が人がいる


 絶望するなんてあり得ない


 待っていて……




「んでこいつが『太陽』ってわけか」

「本当にどうしようか? 地下牢にでも入れておく?」

「そんなの私が許さないわ、閉じ込めるなら私の部屋にして頂戴」

「でもよ? 明らかに怪しいところに閉じ込めて置くのは得策じゃないぜ? 相手に場所を教えてるようなもんだからな」

「それにメアちゃんはずっとここに居るわけじゃないんでしょ? 誰でも入れないと『太陽』が餓死しちゃうよ」

「それじゃあどこならいいのかしら?」

「だから地下牢だって」

「それじゃあ私の部屋を地下牢に移してして頂戴、それならソルを地下牢に入れることを許可するわ、もちろん同じ牢ね、これでいいしょう?」

「良くねぇよ! 『月』の結界で守られた空間に居るのが問題なんだからな!」

「あっれ~……ルナちゃんってこんなに聞き分け悪かったっけ?」

「大層な言い草ね? 恋人の近くに居たいというのは普通の感情じゃないかしら」

「それにルナを地下牢なんかに入れたら……あいつらの反応が怖いな」

「とにかく、メアちゃんの保護下にある場所で目立たない場所で、それでいてメアちゃんの代わりにお世話の人が入れる場所ならいいんでしょ?」

「そうね、他の人を入れるのには抵抗があるけど我慢しましょう」

「俺も同意見だな、こちらの受け入れ準備ができていない今、場所がバレるのが一番怖い」

「よし、それじゃあ今から探しに行こう!」

「今からか?」

「そう! 今から!」


この辺から設定にヤンデレ要素が含まれてきました、ここ書くまではそんなこと一切考えてなかったのにね? この後書くのにもだいぶ使いやすい設定でした

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