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Marionett‘s Memorial  作者: DEER
二章 知らぬ未来は追憶の中に
19/30

十九幕 思いと願い

切り悪かったんで本編上げました、小説関係は予定は大半未定ですので。

「おかしいわね……なんで誰もいないのかしら?」

 『女教皇』から貰った地図を頼りに孤児院に目を飛ばしたのだけど、どうしてか誰も居ない。

 おかしい……今は外出禁止令が出てるはずだから外には出てないはず、かくれんぼでもしてるのかしら? あの年で? 童心に帰ってみたいな感じかしら? まぁなんでもいいわ。


 ……いややっぱりおかしい、靴がない! もう怪しさとか遠慮とか気にしないわ! 目を突入させましょう! 


 さっきまでは外から覗き見る程度だったけど、もうそんなの考えてる場合じゃない、居なかったらどうしましょう……。


「……居ない!」

 やっぱり居ない! あの子たち絶対外に出たわね! 今は賊がどこかに潜んでるのに!

 ……そうならどうして今まで子供たちを見なかったのかしら? いや今はそれよりも! 


「早く見つけないと! 何してるか分からないけど間違いなく危ない!」

 早く……早く!


 ………………

 ………………ははは


「ははは…………っは! ………………はは」

 あぁ……やっぱり私が間違っていたのね。

 あぁ……私はどうかしてたんだわ、忘れるなんて馬鹿じゃないの。


「はは……ははは……ハハハハハハハハハハガッ……痛い」

 笑いながら後ろに体重を掛け過ぎたせいで椅子が倒れてしまった……頭ぶつけた。

 私はニンギョウ……痛みハ無い、でもでも……でもでもデモ!

 心が痛みを訴える……頭はぶつけると痛い、当たり前……あたりまえ。


「ふふふ……痛い! そうよ! 痛いわ!」

 久しく忘れていた感覚、そうよ痛くないわけないじゃない!


「そうよね、痛いわ! 痛いから殺すの! 獣には等しく死を! 大切なものは奪われる! 当たり前じゃない! だって獣がこの世に居るんですもの! いつだって……いつだって獣は! 私から大切なものを奪っていく! 当たり前じゃない! だって獣だもの!」


 どうして私は『月』を望んだ? どうして私は催眠魔術を選んだ? 一つ大切なものを決めると奪われるから! 大切な人を持つと奪われるから! だったら迷い続けていたほうが幸せ、いつか獣を駆逐するまで! 絶対に大切なものは持たないと決めたはず!


 忘れるなんて馬鹿じゃない! 何が未来よ! 何が希望よ! まずは獣を駆逐しないと何も持てないじゃない!


 何かが私の中でひっくり返る、前みたいにボンヤリとではなくハッキリと、私の全てが瓦解していくように崩れ去る。


「獣には死を! 絶対ニガサナイ」

 よくも……私の大切なものを!



「貴女がそうね」

 四つの……よく知っている子供の死体を眺めるように立ち尽くしていた獣に声をかける。

 その獣は感動も、悲しみもなくその死体を眺めている、その表情は無表情でありながらも確かに怒っていた。


「なんでもいいわ、死になさい」

 私は獣に魔術を掛ける、単純な、それでいて強力な。

「月の導きに従いなさい! Spiritual collapse(精神崩壊)」


 なんで殺したかなんて興味ないわ、消えなさ……い?


 目の前の獣は私の『月』を使った魔術を受けたにも関わらず、先ほどと変わらない静かな怒りを持った瞳で見つめている。

「……どうして生きているのかしら?」

 『役』に対抗できるのは『役』だけ……だったらこの獣は『役』持ちってことかしら? 許されないわそんなこと。


「ねぇ」

 先ほどまで無言だった獣が口を開く。


「『月』はこの国をどう思う?」

「知らないわそんなこと、どうでもいいから死になさい」

「この国は歪……」

「消えなさい delete(消去)」

「どうしてこの国の……全員は優しいんだと思う?」

「邪魔よ whisper(囁き)」

「……『愚者』が教えてくれた」

「…………」

「この国の人々は国に傷つけられている、バレないように、だから皆優しい」

「知らないし聞きたくないわ」

「他者の傷を知るには自分も傷を負っている方が理解が早い、だからこの国は優しい、国に全員が傷つけられてるから」

「確証がないわ、聞く価値なしね」

「『女教皇』は不幸を引き寄せる、その不幸に『法王』が付け入る、決して傷を忘れさせない」

「戯言ね」

「だから私が解放する、癒えることのない苦痛から、『忍耐の吊るされた男』の役目に従って」

「……許されないわ、獣が『役』を持つなんて、しかも『吊るされた男』? 貴女は女でしょう? 馬鹿言うんじゃないわ」

「別に『役』の名前は所持者に関係無い、男の『女教皇』だって居たはず」

「そうなの……知らなかったわね」

「だから実は私が男ってこともない、私が『吊るされた男』を持ってても間違いじゃない」


 ……? いやいやそうじゃないでしょう、どうしてこのような女が子供たちを殺したかでしょう? 話題が逸れてるわ。


「そうね、それはいいわ、貴女が『役』持ちなのは認めましょう、でもだからと言って子供たちを殺していいわけないでしょう? 何が解放よ、知ったことじゃないわ」

「……殺す必要があった、特にこの子たちは」

「何故? 子供を優先して殺すなんて悪趣味ね」

「『吊るされた男』は苦境であればあるほど強くなる、だから大事な子供たちを殺すことで自分を追い込む必要があった、全員を解放するために」

「OK分かったわ、貴女が狂ってるってことがね」


 もう話し合いは十分でしょう、この女は自分のために私の大事な物を奪った、獣なんて皆同じね、自分勝手で考えが浅くて……もういいわ。


「御免なさいねソル release(解放)」

 『太陽』の封印を完全に解除、絶対にこの女は逃がさない。


「月夜に迷え! The kingdom of the moon(月の王国)」

 対人では絶大な力を発揮する『月』の力を見るがいいわ、遠慮なんてしてあげないから。

 空が闇に覆われて不気味に浮かぶ月だけが空を支配する、まだ昼間だというのに辺りは深夜のように帳が降りた。


「『月』の支配圏で勝てると思わないことね、逃げ惑いなさい!」

 そしてその背中を見て嘲笑うの、獣がみっともなく哀れに迷い苦しむ様を見て。

 久しぶりね……いい気分だわ。


「……負けない、『月』対策はバッチリ」

「勝てないわよ、もう貴女は『月』の中よ?」

「『愚者』……お願い」


 獣が見当違いな場所に走っていく、そこには何もない。


「威勢だけじゃないの、貴女は負けるのよ、逃げ惑う虫のようにね」

「……ここ」


 一閃、獣に握られた剣が哀れにも宙を切る。


「なにをしてるのかしら? そのまま剣舞でも見せるつもり?」

  綺麗な剣筋だったわ、無駄だけど。

「……ここ」


 またもや何もなに場所に剣が振られる。


「無駄よ、諦めなさい」

「…………どこ?」

 知らないわよ、貴女が何をしてるかも分からないんだから。


「……多分ここ」

 またも剣が振られる、また何も起こらない……?


「嘘でしょ?」

 空を見ると月が欠けていた、丁度三等分くらいに。


「ここでいい、多分大丈夫」

 また一閃、しかし何も起こらない。


「あれ?」

 獣が不思議そうに首をかしげている、何をしているか全く分からないわ、でも一つだけ言えることはこのまま放置しておくのはマズそうってことね。


「今すぐ動きを止めなさい! the prison of specter(亡霊の牢獄)」

 相手が『役』で『月』が直接効かないなら周りに働きかければいい、『吊るされた男』は見たところ自己強化系の『役』に見える、もしその通りなら『役』の影響を受けない周りを固めてしまえば動けないはず、試す価値はあるわ。


「月の王国に迷いし亡霊よ! 彼の者を呪い、そして誘え! Nightmare(悪夢)」

 合わせ技だって出し惜しみしない、さあ悪夢の始まりよ……惑いなさい!



「『愚者』!」

 先ほどまでどこかボンヤリとした雰囲気のあった『吊るされた男』が一際大きな声を上げる、表情は真剣そのもの。


 でも獣は何を考えてるのかしら? ここは完全に私のフィールド、この悪夢と亡霊の渦巻く月の王国の中で何をするつもりなのかしら?


「獣は助けを呼んだ……しかし誰も助けに来なかった、群れないと弱いのは『役』になっても相変わらずね」

 何もできるわけがない、その証拠に獣は動くことすらできていない、後はゆっくり悪夢に侵食されていくのを待つだけ、いくら強くなっても生物としての制限は受け続ける……苦しみもがきながら死に絶えなさい。


「ふふふ……いい気味ね!」

 必死ににらみつける獣表情が心地いいわ……ああぁぁぁあ最高。



「楽しそうだなぁ、俺も混ぜてくれないか?」

 ……?


「あら誰かしら? こんないい気分に水を差すのは、貴方も死にたい?」

 獣ばかりの相手をしていて気が付かなかったけど、いつの間にか私の後ろには『何かの影』が居た、陽炎に揺らめくようにボンヤリとした輪郭しか見えないが、辛うじて男性のものだと分かる程度の影だが。


「今ベルを殺されるのはちょっと困るんでね、邪魔させてもらうよ」

 『何かの影』がそう言うと急に姿を消した。


「こっぴどくやられたな? まぁ『役』を持って間もないんだ、気にするな」

「……カハッ! ……遅い、死ぬかと思った」

「悪い悪い、ちょっと『月』をこじ開けるのに時間がかかってな」


 嘘! 

 どうやってこの影は私の後ろに回り込んだの! ……いやこれは多分火系統の魔術ね、時間を止めたのかしら?


「ここで『月』と殺り合う気はない、逃げさせてもらうぜ」

「逃がすと思うかしら? 逃がさないわよ」

「いいや逃げれるさ、俺の『愚者』ならな」


 『月』をこじ開けたって言った辺りで検討はつけてたけどやっぱり『役』持ちだったのね、獣め……厄介なの呼んだわね。


「ジルウェスターだ、『始まりの愚者』ジルヴェスター、覚えとけ」

「『忍耐の吊るされた男』のベルモット……この借りは必ず」

「『始まりの愚者』に『忍耐の吊るされた男』ね、いつの間に増えたのかしら? ……ジルヴェスターとベルモット、覚えておくわ」

「それじゃあな『惑わしの月』、いい始まりを」


 …………

 言うだけ言って消えていったわね、全く面倒な。

 『役』が二人いたからちょっとキツイとは思っていたからラッキーともとれるのだけど……。


「皆……」

 ルーヴェン コーネリア ウル ジーク

 昨日まで笑顔で話しかけてきてくれていた大切な子供たち……。

 たった半日、半日で全員を失ってしまった。

 きれいに喉だけを切られており、顔に傷はない。


 四人が横たわるそこは孤児院の寝室のようで、静かに目を閉じている様は眠っているようにも見えて。

 今この瞬間もこの子たちが生きているようで……。

「お休みなさい」


 シスターになったその日から夜に子供たちに掛けていた言葉を紡ぐ、優しく慈しむように。

「……お休みなさい、ゆっくり……お休みなさい」

 膝を折り祈るようにに言葉を紡ぐ、どうか安らかに眠れるように祈りながら。


「月光に導かれし子供たちへ、永遠なる夢を……」

 獣を殺すことだけを願って鍛えた催眠魔術、今だけは子供たちに安らぎを与えるために使いたい。

「the closed mansion for dreamer(夢見るもの達の開かずの屋敷)」


 二章 知らぬ未来は追憶の中に

        ↓

 三章 悔いる悪夢は夜闇の奥に


もうちょっとで三章が書き終わる……かも? どちらにせよ三章は 『書き終わってないです』 、書き終えてから上げるか今書いてるところまで上げるか悩みますが、確実に四章に入る前で何か月かの休止期間が空くと思います。

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