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貴方の事が大嫌いです  作者: 紫乃
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結婚式当日(1)


あれから1週間、早急な結婚式を挙げることになった。

ロザリオーネ曰く、するならさっさとしちゃえ☆らしい。

控え室でテキパキと衣装を担当の人にされ、化粧も施される。そしてきっちりと纏め上げた髪に手を伸ばされたとき、シェリシアはその手を止めさせた。


「このままで十分です」


担当の人は少し困った顔をしていたが、シェリシアは頑なに意見を曲げようとはしなかった。担当の人はそんなシェリシアを見て苦笑していたが、眼鏡と髪はそのままにしてくれた。


「出来ました」


担当の人の声が聞こえ、閉じていた目を開けた。

目の前にある鏡に映るのは、地味な女が化粧を施したシェリシアが映っている。けして派手ではないが、いつもシェリシアがしている化粧より華やかだった。


「ありがとうございました」


シェリシアの礼により、担当の人は驚いていたが、やがてフワリと笑い、「とんでもない」と言って退室していった。

シェリシアは鏡に向き直り、ため息を吐いた。


「……派手ね」


そうシェリシアが言った後、ドアをノックする音が聞こえた。


「どうぞ」


ガチャ、と音を立てて入室してきたのは、シェリシアの父、ラクシードだ。


「お父様、お久しぶりです」


シェリシアは淑女の礼をし、ラクシードを迎え入れた。

シェリシアと似た容姿をしており、シェリシアは鋭い眼孔をしているが、ラクシードは優しげな目元をしている。


「遂にシェリシアも結婚する時が来たんだね。とても綺麗だよ。アリシアにも見せてやりたかったな」


そう言って涙する父を見つめ、手に持っていたハンカチでラクシードの涙を拭いた。

無駄にでかい背も、今は小さく見える。

アリシアは、シェリシアの母でありラクシードの妻だった人だ。

この時まだシェリシア達は平民だった。

アリシアはシェリシアが5歳の時に病に伏せて亡くなった。

生まれつき心臓が弱かったアシリアはシェリシアを産んだ後から段々と弱り、衰弱していった。

医者からは治ることは決してないだろう、という診断。

シェリシアは自分が産まれたことで母が死んでしまった、自分が母を殺してしまったと責めていた。

そんな姿を見たラクシードは幼いシェリシアを抱き抱え、「シェリシアの所為ではないよ」と何度も涙を流しながらそう言い続けた。

ラクシードはアリシアを愛していた。アリシアが死んでも尚想い続けている。周りから再婚するように言われるが、ラクシードは頑なにそれを反対していた。

シェリシアのそういう所は父に似たのだろう。シェリシアも父の再婚は嫌だった。周りは頑として受け入れない2人にやがて再婚を勧める者はいなくなった。


それからラクシードは男手1つでシェリシアを育てた。

シェリシアの為に一生懸命働き、やがて伯爵という爵位を王から貰った。その後も忙しく仕事をこなすラクシードを見て、構って欲しかったが自分のために頑張って仕事をしている父を見て寂しさを隠し、父に茶を入れたり、夜食を用意したりと少しでも楽になってくれるように身の回りの仕事をした。

やがてシェリシアは父の様に立派になりたいと願い、元々頭は良かったので必死に勉強をしてやがて王宮で働くようになった。

そして今に至る。


「私をここまで育ててくれて、ありがとうございます」


普段浮かべない笑顔を父に向けた。ラクシードは止まりかけていた涙をまた流し始めた。


「こっちこそごめんね、仕事であまり構ってあげられてなかったから。でもこんなに素直な子に育ってくれて嬉しいよ」


「私だってグレていた時もありましたよ」


そんなシェリシアの言葉を聞いて、ラクシードは「えぇっ!」と驚いた顔をしていた。そんな父を見たシェリシアはクスクスと笑う。


「昔の話です」


ラクシードはそんなシェリシアを見て微笑んだ。

そして、ふと思ったことを言った。


「そういえば、髪や眼鏡は外さないのかい?」


そんな父の質問に、シェリシアは少し不貞腐れたように父を見上げた。


「私がそれを出来ない理由、分かっているでしょう?」


「気にするほどじゃ無いと思うけどなぁ」


「私が気にするんですよ」


そんな会話が続き、暫くしてまたドアのノックが聞こえた。


「どうぞ」


そうシェリシアが言った後、ガチャ、とドアが開いてひょっこりと顔を覗かせたのは、一段と増して美しいロザリオーネだった。

薄い桃色の少しふっくらと盛り上がったドレスや、髪に付けたキラキラとした装飾はロザリオーネを更に引き立てていた。


シェリシアの姿を見てロザリオーネは瞳は輝き、頬を蒸気させていた。


「まぁ、凄く綺麗だわ!髪のセットはまだなの?」


「いいえ、もう終わっています」


シェリシアのその答えにロザリオーネは固まった。

その綺麗な顔は俯き、体をわなわなと震わせていた。


「せっかくの晴れ舞台なのよ?もーっ、これじゃいつもと変わらないじゃない!」


「私はこれでいいんです」


「その地味な眼鏡も外して、髪だって可愛くしちゃえばとても綺麗なのに!」


そんな言い合いをずっと見ていた男2人はオロオロするだけ。

すると2人は同じ性質を持った者同志なのか、お互いに握手を交わし、どこかへ行ってしまった。全く自由極まりない。


その2人のすれ違いにまたドアのノックの音が聞こえた。


(__今度は誰だ)


「……どうぞ」


少々投げやりにそう言った。

入ってきた人の方へと視線を向けるとレヴァルーシュがいた。

シェリシアは目を見張ったが、すぐに元の表情に戻した。


レヴァルーシュの黒髪とは対照的に白のスーツを身に纏い、胸のポケットに花を添えている。片耳に髪を掛けていて、他の人がしたらキザっぽく見えるものの、その姿は嫌味なほどに似合っていた。


ロザリオーネは後は若い者同士で、みたいな事を言ってそうな顔をして出ていった。


(__はぁ、余計な気遣い)


嫌悪感を丸出しにした私を見てにこりと微笑み、私の手を取り手の甲にキスをして膝まついた。


「初めまして、美しい姫君。こんなに美しい花嫁を貰えてとても光栄だな」


その微笑みを見れば誰もが頬を染め、恋に落ちる。

だがシェリシアは何の反応も示さなかった。"初めまして"の言葉にぴくりと片眉を上げ、レヴァルーシュの手を振り払った。

シェリシアは懐にあったハンカチで、レヴァルーシュに触られた箇所を拭く。そのシェリシアの行動に驚いていたが、やがて苦笑した。


「初めまして、レヴァルーシュ公爵。こんな行き遅れの私を拾ってくれて感謝しています。あぁ、結婚後の事ですが沢山の華達と戯れるのは構いませんので、どうぞご勝手に」


シェリシアはにこりと微笑みを返し、嫌みを込めて言い放った。


「……あぁ、そうさせて貰うよ」


お互いに微笑み続けるのは、式が始まるまで続いたのだった。




すみません、『~だった。』みたいな文が多くて。

2話目は1話よりは良かったと思っていますw

こんな駄作ですが、見てくれたらとても嬉しいです(*^^*)


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