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十四話 設定資料集

14話 古代魔法

王城の会議室だった


巨大な丸テーブル


壁一面の地図


難しそうな本


いかにも“重要説明回”って感じだった


海斗は嫌な予感しかしなかった


セレスが真剣な顔で口を開く


「これより、

 古代魔法について説明します」


「あっ」


海斗が察する


「これ設定語りしたくなった時期だ」


『世界観説明回だった』


「うわぁ……

 出たよ……」


当時の海斗は、

設定を考えるのが好きだった


魔法体系


世界の歴史


古代文明


神話


そういうのを考えている時だけは楽しかった


問題は、


“本編が止まる”


ことだった


セレスが杖を振る


空中へ巨大な魔法陣が浮かび上がる


「この世界には七属性魔法が存在します」








そして、


「無属性です」


「増えた」


海斗がぼそりと呟く


思い出した


途中で足した


“なんでもあり属性”だ


『人気設定だった』


「逃げ道なんだよなぁ……」


セレスは説明を続ける


「古代魔法とは、

 千年前に滅びた超文明によって生み出された力――」


その瞬間、


海斗の視界に文字が浮かぶ


【設定開示モード】


「嫌な名前!!」


大量の文章が流れ始めた


【古代魔法とは、

古代神話文明アルカディアにおいて発展した魔導技術であり――】


「長ぇ!!」


海斗が絶叫する


止まらない


【当時の魔法体系は現在の六属性理論とは異なり――】


「七属性じゃなかった!?」


【現在の七属性理論は後世で再編されたものである】


「後付けで辻褄合わせてる!!」


海斗は頭を抱える


覚えがあった


設定を盛った結果、

前の説明と矛盾したのだ


だから後から補足した


さらに補足した


その結果、


設定資料集みたいになった


ガイムが真剣な顔で頷く


「なるほど……」


「理解できてんの!?」


マリも感心していた


「深いですね……」


「絶対雰囲気で読んでるだろ!」


その時、


ヴァルドが静かに口を開く


「つまり古代魔法とは、

 魂そのものへ干渉する力だ」


「急にそれっぽいこと言い始めた!?」


『強キャラは設定を理解していた』


「作者すら怪しいぞ!!」


海斗の脳が悲鳴を上げる


説明はさらに続く


【また、

超級魔法の上には神級魔法が存在し――】


「増やすな増やすな!!」


【そのさらに上には禁忌魔法が――】


「インフレ止めろ!!」


海斗は机へ突っ伏した


完全に覚えがあった


“もっと強い技”

を思いつくたび、

上位概念を追加していた時期だ


そのせいで、


序盤のスライム相手に超級魔法を撃つ世界になってしまった


「バランス崩壊してんだよなぁ……」


その時、


視界にまた文字が流れる


【新設定追加】


【古代魔法適性確認】


【神級魔法解放条件達成】


「会議中に増えるな!!」


突然だった


海斗の頭へ大量の知識が流れ込む


魔法陣


詠唱


古代文字


知らない情報


「うわぁぁぁぁ!!」


頭が痛い


その時、


脳内から声が響いた


『安心してください』


「またお前か!!」


『私は“神速思考”です』


「便利説明役!!」


『現在、

 古代魔法への理解度が上昇しています』


「理解したくねぇよ!!」


海斗は息を切らしながら椅子へ座り込む


その様子を見て、

セレスが不安そうな顔になる


「カイト様、

 大丈夫ですか?」


海斗は遠い目をした


「うわぁ……」


小さく呟く


「設定って、

 考えるだけなら楽しいんだよなぁ……」

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