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気が付いたら幽霊やってました  作者: 京子
第四章 黒尾の逆襲
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第88話 後始末は大変だぁ〜

田中貴史は困惑の極致にいた。

ホームレス襲撃事件をやれと命令され嫌嫌やった挙げ句、警察に捕まり、そのまま取調べを受けた。

当初は完全黙秘を貫くつもりであったのだが、襲ったホームレスの内3人が死亡し、その中に田中貴史が単独で襲ったホームレスの顔が有ったのだ。

それを知った田中は藤掛達と口裏を合わせた通りに


「向こうから襲って来たから怖くなって抵抗しただけ」


と回答していたのだが、それは数多くの目撃情報と目撃者が撮影した動画から完全に否定された。

口裏合わせの言い訳が通用しないと解るやいなや、今度は「ホームレスを襲え殺しても構わん」と個人情報込で脅迫メールが届いたから仕方なくやったと本当の事を話すも、そのメールは田中のスマホからのみならず事件に参加した生徒全員から痕跡が見当たらなかったとの事。


そんな筈はない…あのメールが届いたから仕方なく参加しただけだ…


あの日届いたメールは確かに脅迫状であったし、ゴミ箱に捨てたとはいえ、それはデータを圧縮して隔離エリアに保存されただけだから警察が調べたら出て来る筈。

なので、もう一度キチンと調べて下さいよと懇願するも、返ってきた返事は同じであった。

他の者も同様で脅迫メールの脅の字も見付からなかった。


じゃあ、俺達が見たあのメールは一体何だったのか?

警察の話では、確かに該当する時刻に届いたメールは1軒存在しているものの、パソコンからのなりすましメールで、内容は


この前はありがとうございました

来週、纏まった連休が取れそうなので食事でも行きませんか



駅のトイレにあなたのメアド付きでセフレ募集と落書きが有ったよ。これは犯罪だから駅員に通報して消して貰ったよ。


と言ったメールが発見されただけであった。

こう言った類のメールは詐欺業者がこのアドレスが生きているかどおかの確認メールであり、ウッカリ返事をしてしまうと巧みな話術で誘導され気が付くと有料サイトへと登録されてしまうといった悪質なメールである。

そのメールを脅迫メールと見間違える筈がない。

然し、田中は…と、言うより、事件に関わった生徒達1名を除く全員がそんな筈はないと食い下がる。


これには警察側も困惑せざる負えなかった。


1名と言うのはDこと平川雅之だ。

平川は脅迫メールの事は何も言わず


「あの公園に寝泊まりしているホームレスが鬱陶しくて仕方がなかった。

俺は社会のゴミ掃除をしたたけだ

称賛されこそすれ、こんな扱いを受ける言われはない」


と、堂々と言い放ったのである。

この言動には取調べ担当官も怒り心頭であったが、その怒りを微塵も見せずにサラリと受け流し


「だからと言って他人を襲って…況してや殺しても良い理由にはならんぞ

人の命に上も下も無い!消えて良い…殺して良い命なんて無い!!」


と言っただけであった。


この言葉が平川に届いたかどおかは解らないが、平川はこの後、完全黙秘を貫く事となる。


高坂穂乃果が目を覚ましたのは翌日の午後。


連絡を受けた箕浦刑事が様子を見に行ったのだが、事件当時の記憶がほぼ無い事が判明したが、本当に記憶が無かったかどおかは不明。

然しながら、帰宅途中に早乙女和歌子に呼び止められた時、背後から薬の様なものを嗅がされたのは覚えがあるとの事。


「で…次に気が付いたのは此処でした」


高坂穂乃果の証言を訊いて最初は生徒を庇う為の証言かと懐った箕浦刑事であったが、それについて医師から高坂穂乃果は解離性同一性障害を抱えており、薬を嗅がされた後、何らかの切っ掛けで別人格が覚醒してしまった可能性があるとの事であった。

これについては後日、襲撃犯である幹元康介と早乙女和歌子の二人から「暴れた時は男そのものでした」と言う証言と高坂穂乃果が刃物恐怖症である事が判明した事で生徒が刃物をチラつかせて脅した事によりスイッチが入ったのではないかと推測出来る。

実際、早乙女和歌子がナイフをチラつかせた時から高坂穂乃果の態度が変わったと言うより、人格が変わったと小笠原匠海が自供した事から間違いはないかと思う。

念の為、真智子ちゃんにこの事を話して実際はどおなのかと訊いてみたら


「彼女の魂は何らかの拍子に4つに分裂していて主人格を分裂した3つの魂が常に護っている」


との事でした。

と、言う事は拐われて連れ込まれた部屋で目覚めたのは主人格ではなく別人格って事?

真智子ちゃんの説明に違和感を感じつつもそう言うものかなと思う事にしたのであった。


高坂穂乃果も大変だったけど、それよりも大変だったのが本間蓮月の方。

目の前で最愛の彼氏を殺され、更にレイプから殺されそうになったので心の傷は計り知れないだろう。


幸い、彼氏殿の魂はあの部屋に留まっていて怨霊化する前に覚醒させる事が出来た。

ホント、真智子ちゃんには感謝の二文字しか無いわ。


彼氏殿の話では、あの日、デート帰り、蓮月を送る為に車で送り届けた迄は良かったが、蓮月が住むマンションの付近で待ち受けていた3人に襲われ、助けに入ろうとしたところを背後から殴られたとの事。

彼が最後に聴いた言葉は


「テメェだけが良い思いをしてんじゃねぇよ!後は俺達が蓮月ちゃんを立派な雌犬に調教してやんよ」


であったとの事だ。

二人を運んだ手段として彼氏殿の車を三村明彦が無免許運転で運んだとの事。


これから49日を経た後、あの世へと旅立つ事が出来ると説明する真智子ちゃんに対して当然ながら怒りが収まらない彼氏殿は奴等にも死の制裁をと言っていたけど、此処で怨霊化させる訳にも天国行きから地獄行きにさせる訳には行かないから犯人には必ず報いを受けさせる事を約束し、最後に蓮月の夢枕に立たせて話をさせる事で話を着けたの。


四谷は殆どの罪を認めたまでは良かったけど、浦川学園の生徒に犯罪を指示した事を全否定。

然し、四谷邸から押収したパソコンから生徒に送ったメールの痕跡が出て来た事により何かしらのトリックを使って指示を出していたと思われる。


でもそれは、生者サイドの見解でしかないのよね。


真智子ちゃんサイド…つまり幽霊サイドの話では生徒に寄生していた提督の眷属に幻覚を見せられたとの事。


強引であったけど、村岡事件から始まった浦川学園で起こった全ての犯罪の首謀者と言う事で起訴された。

それに付け加えて今回捕まった生徒達も殺人を始めとする様々な罪で起訴された。

今回死亡した山川充もまた、被疑者死亡のまま書類送検された。


そうそう、コンビニ強盗をやらかした生徒達も無事に逮捕され起訴されているからね。



てな感じに同時多発事件?は幕を閉じた訳だけど、コレでは終わらない。


浦川学園で過去に起こった事件の後始末も残っているから、これからが大変って所かしらね。


三上秀一は週刊誌とウーチューバーに情報を売った後、田中貴史御一行様を告発。

これにより、赤野俊哉も裁きを受ける事になった。

因みに、ウーチューバーに情報を売った時点で斎藤優香と共に学園を去っている。


他人に死ねと言って言われた人が本当に自殺したり、自殺を強要した相手が自殺した場合、ガチで罪に問われる可能性があるから覚えておいてね。


「俺は(私は)ただ言っただけ(SNS等に書いただけで)で相手が真に受けて本当に死ぬとは思わなかった」 


って言い訳は通用しない可能性があるから気をつけてね。


暫くして、浦川学園学園長自ら謝罪会見を行い、全責任を負って辞任し、学園は閉校すると発表したのだけど、息子の恒夫が引き継ぎ、教師も全て入れ替えて再出発すると言う事で決着が着いた。

序に雨音の教育委員会も一新され、それぞれ再出発となったのであった。


シッカし、あのトンでも幽霊に関わるとろくな目に会わないわね…ホント…疲れるわ…


でも…退屈しないし………楽しい…


これからどんな活躍をしてくれるのか楽しみだわ。


浦川学園のお話しはこれにておしまいです。


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