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気が付いたら幽霊やってました  作者: 京子
第三章 コヨミさん不在
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第28話 遭遇1

ガチ鳥の事が気になりながらもリアルで人死にが出ているとあれば行くしかない。

そこに待ち受けていたのは・・・

あれから数日後


社長は有事の際には俺に協力する約束をした後、恵美さんを鍛えるとかの理由で恵美さんが出店する店に着きっきりになった。

まぁ、それはそれで良いとしてもあの日以来コヨミが姿を現さないのが気になって仕方がないのだが、命さんの話では単なる過労であるから心配ないとの事。

てか、本当に過労なのか?俺の見立てでは重大な病気を抱えている様にも見えたのだが?

心配ではあるが当の本人が姿を現さないからこれ以上何も出来ない。


コヨミが居ないからって訳ではないが、特にやることもない平日の昼下がり、俺は少し前に行った廃病院の事を思い出していた。




コヨミの頼みで廃病院へと行ったのだが、トンでもナイトになるとは思いもよらなかったぜ。


「何か強力なSSR級が住み着いているらしくてさ、行方不明者や死者も出ているみたいなの」


だったら生者を近寄らせない様にしたら良いだけの話ではないのか?と思ったのだが、肝試し感覚で行っては柵を乗り越えて侵入して取り憑かれたり、更に幾つかの解体業者が入り込んで取り壊しをしようとしても作業員に被害が出るとの事で手が付けられないらしい。

そこで白羽の矢が立ったのがコヨミって訳なのだそうだけど、大丈夫なのか?


まぁ…此処で俺がどうのこうの言っても何も変わらない訳だから憑いて行くしかないのだがね。


廃病院(雨音総合病院)は昭和の初期に建てられた病院で、戦後に大幅な改装をし、多くの医者や看護師を抱え、病床数も500床を超える規模を誇っていた大病院であったらしく近隣の街からもこの病院に通う患者さんも居たらしい。

そんな病院が何故廃病院と化したのかと言うと、これには3つの説が有る。


1・何回か連続で医療ミスが発生し、患者が死亡すると云った事故まで発生した為に患者離れが加速し閉院へと追い込まれた。


2・多額の負債が原因


3・隣の街に同じ規模の病院が出来て通院の利便性とかの理由で患者がそちらに流れてしまい、経営困難になり閉院した。


1はともかく2と3は有りそうだけど、理由は定かではないらしい。コヨミの話では隣街の駅前に大きな病院が存在していて駅の改札口と病院の受付が繋がっているらしく、駅を出て遠回りする必要がないので非常に便利とのことだ。

それなら3の説が有力かと思うのだが、医院長同士、自他ともに認める犬猿の仲だったと言うのだから別の理由も考えられるよな。


まぁ、病院と言えば生と死が交錯する場所であるからにして、院内で亡くなった患者がR級やSSR級に進化して訪れる者達を道ずれにしているって推理がどおしても先に行くわな普通。

然し、廃病院と訊いて真智子の様子がおかしい。理由を訊いても答えない。

この案件…本当に幽霊の仕業なのか?

疑問を抱えつつもコヨミと共に廃病院へと向かったのであった。


廃病院は街の東側を走る山脈の麓に存在していて駅から徒歩60分は最低でも掛かると言った距離に在り、当時はバスか自家用車かタクシーでの移動がメインであったらしい。

現在の移動手段は、車か廃病院手前の住宅街迄はバスが走っているので、その住宅街までバスに乗り後は現地まで歩く事になる。

バスは雨音駅発20時20分が最終で始発は6時30分で始発から1時間と17時30分から2時間は10分置きにバスが出ていて昼間の時間帯は1時間に1本しか出ていないが、どの時間帯も利用客はそれなりにいる様だ。

車を持たないコヨミは最終便で目的地に行き、帰りは始発で帰ろうとの考えらしいが、無理が無いか?

用が済み次第バス停まで戻って来てタクシーを呼んで帰るのが妥当だと思うのだが?と、意見してみたけど考えておくとしか言わなかった。


最終バスを降りて住宅街を抜けた途端、道がボロボロのアスファルトに変わり、周囲の景色も静かな雑木林に変わり不気味さも加わる。

ただ、不気味と言うだけで誰も居ないんだよな。

これだけ静かな場所ならN級がそこらじゅうにいてもおかしくはないのだが、不自然な程に誰も居ない。

雑木林の中を歩く事約20分キツめの坂を登りきったと同時にそれは現れた。


「此処が…」


闇の帝王の如く鎮座する巨大な廃病院を見上げる俺にいつになく真剣な表情で行くよと一言呟き中に入ろうとするコヨミであったが門に


私有地につき立ち入り禁止


と看板が付けられており、更に南京錠で厳重に鍵がかかっている。

事前に依頼者から鍵を貰っていたらしくバッグから南京錠の鍵を取り出して開ける。

後で聞いた話では裏門の鍵が壊されており、ソコから侵入出来るとの事で門を開ける必要は無かったとの事。


「荒れてはいないみたいだな」


「えぇ…落書きも殆ど無いし機材や設備もそのまま残っているね」


「とりあえず3階から行きましょう」


「おう…」


廃病院は地上10階建て地下1階の造りで幽霊が目撃されているのは地下の霊安室付近と3階の角部屋との事なので3階に行った後で地下に行ったのだけど、幽霊どころか気配すらなくただ暗闇と静寂が不気味さを演出しているのみであったのだ。

被害者が出ている事から何かしらの形跡が有っても良い筈なのだが、影も形も無く、それどころかN級すら存在していない。


「?????情報自体がガセだった…って事は無いよね?」


「てか、こんなデカイ病院の中にN級すら居ないって事は有り得んだろ…」


こんな事って有りなのか?等と考えていたのだが、フと少し前に再び現れた青と黄の事を思い出した。


「まさかとは思うけど・・・」


「・・・そのまさかが当てはまるかもよ・・・」


数日前、何の前触れも予告もなく目の前に現れた青と黄から魂喰の情報を貰っていたのだ。

全国に点在する心霊スポットに現れては周辺に存在する幽霊や人間の魂を補食し、強力なSSR一体を作り出し、自らの種を植え付け増殖を目論んでいるとの事。

魂喰は嘗て魔王に戦いを挑んで敗れた妖怪「強欲」の卷属の一体で、幽霊を喰らう事でその力を強欲復活の為に活動している。

然も、結界を張る事が出来なければ半径10mに近寄る事も出来ないのだそうで、対象の死角に潜み補食すると言ったとても厄介極まりない

妖怪で、魔界での名は「大食い」と言う名なのだそう。


「テメェなら気配くらいは察知出来る筈だからこう言ってやれば良い」


青の話では出てこいとか罵倒する様な言葉で挑発しても糠に釘状態で無反応らしいが、唯一反応し、激昂する言葉があり、その言葉を教えて貰ったのだが、その言葉・・・コヨミにも言わせないといけないのか?万が一に備えてコヨミに挑発の言葉を言えるか?と確認すると、漫画でも書きまくっていたから大丈夫よと心強いお返事を頂きました。

そんな話しをしながら地上部分を捜索し終えて地下を捜索しに階段を降りて行った俺達は霊安室の前に到着した。


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