ライアスとの出会い 後編
「いや、無理だろ‥‥‥魔方陣は杖が無いとかけないし、そもそもお前かき方知ってんのかよ」
「知らないよ」
「えぇ‥‥」
「でも絶対に出来るから」
その自信どっから出て来るんだよ。とぼやいてるが、ここは無視を貫こう。
そんなこんやでイリスは木の棒で円をかき始めた。そして円を描いたとき、イリスの動きが止まった。
「……魔術文字が分からない」
「え、え……分からないのにあんな自信が……?え?待って‥‥‥は?」
「てへっ」
「てへっ、じゃねぇよ‥‥‥」
混乱してるライアスをよそに、私は考え始めた。魔方陣‥‥魔術‥‥魔力?‥‥‥うーん、良く分からんな!
「何で君、そんなショック受けてるの?」
「そりゃあ、明日俺の……あ、いや、何でもない」
「なるほどその言い方はバースデーだね。だから見たかったんだ」
「何で全部分かるんだよ」
「私すごいから」
なぁんだ。ライアスは明日誕生日なのか!でも、国王の次の日だからな、あまり人も来なそうだ。
……最高のプレゼントをあげたいなぁ。そう思ったとき、一つ、母親から言われたことを思い出した。
―――魔術はね、想いが強ければ強いほど、魔術も強くなるのよ。
なるほどね。もう、分かった。
「よし、やるよ」
「え、でも分かんないんじゃ‥‥‥」
「出来るよ。分かったから」
「分かったって、何を―――!」
その時、ただ円をかいただけの魔方陣らしきものが光始めた。光っている円の中に次々と文字が刻まれていく。
「魔術文字!?でも知らないんじゃ」
「知らない分からないで諦めちゃいけないんだよ。諦めないから強くなるの。分かりたいという想いが強くなるから!」
イリスはライアスを見ながら空に手をかざした。
『暗光』
イリスが空に向かってクルッと指を回した途端、月明かりが弱くなり、辺りが暗くなった。
「すげぇ‥‥‥!」
その感嘆した声に私も見上げると、そこにあったのは、夜空を横切る無数の流れ星だった。
「‥‥‥もし、願い事が叶うならさ、何をお願いしたい?」
「そうだな‥‥‥やっぱ家族全員が仲良くなったら俺は嬉しいさ。今はそうじゃないから」
「ふぅん」
「おい、そういうお前はどうなんだよ。俺だけ語ってもしょうがねぇだろ」
「言わなぁい」
「はぁー?」
叶わないもんね。願ったところで。‥‥‥死んだ人間はもう生き返らないから。喋れないから。星にでも、神にも願えない。
母上に、会いたいなんて。
■
「ふわあああぁぁぁ、あー‥‥ねみぃ‥‥‥」
ライアスはくそでかいあくびをしながら目を覚ました。
「何か、懐かしい夢見てた気がする」
そう言いながらゆっくりと身体を起こすと、何やらふにっとしたものに当たった。
「あ?」
寝ぼけながら見ると、それはライアスの上で寝てたイリスの身体だった。
「―――ッ、わ、イリッ」
「ぬぅーん‥‥‥この枕かたぁい」
イリスがゆっくりと目を覚ますと、ライアスと目があった。
「あ、ライアス。おっは」
「‥‥‥おっは」
ライアスはもう何も言わないことにした。
■
「ふんふーん!」
イリスは上機嫌に鼻歌を歌いながらスキップをしていた。すると突如、足元にあった何かにつまずいて、ズザァーと勢い良く転んだ。
「‥‥‥」
地味に痛い。一体何につまずいて‥‥‥
確認すると、床に落ちていたのは、キラッキラした表紙の小説だった。
「わぁーお‥‥」
この本の持ち主が分かったが、さすがに小さい子は叱れない。
う~んう~んと唸っていると後ろから声が聞こえた。
「あ、イリスさん!」
「ん~?あ、ユローフ君」
「はい、久しぶりですね!ところで、その手に持ってるのって‥‥‥」
「あ、これ?やっぱ君の?」
「そうです!良く分かりましたね!」
逆に分からないことがあるのだろうか。君の部屋は恋愛小説ばかりでは?と突っ込みたくなるところをグッと我慢した。
「そうだ!この間あげた小説はもう読みましたか!?」
「へ?あ、まあ、一応‥‥‥」
といってもペラペラめくっただけだけど。
「じゃあ!これから一緒に語り合いましょう!」
「え、それは‥‥‥いいよ」
あれ?私今断ろうと―――
「では、僕の部屋に早く行きましょー!」




