軽い再会
「人間だ!!追いかけろ!!」
「逃がすな!!」
後ろから大量の魔物たちが追いかけてくる。そういえば魔物って人間のこと食べるんだっけ。でも人の言葉を喋ってるのから知恵はあるのかな?今は無さそうだけど。
「ねー、もうちょっと速く走ってよ~」
「むちゃいうな!こちとら600歳超えてるんや!」
「チッ、このクソおじじが」
「口悪ない!?」
くだらない話をしてる間にも魔物たちがどんどん迫って来ている。ここで魔術を使うのはなぁ~、偶然とはいえ魔物の住処に来たのはこっちだからな~。捕まったら捕まったで大人しく喰われるか。
「あかん‥‥体力尽きてきた‥‥」
「元魔王なんだから飛んでよ。そうしないと上からも魔物の攻撃が来るよ」
「え?」
ドンッ
衝撃と共にイリス達は弾き飛ばされた。吹っ飛ばされたイリスは回転して見事な着地を決める。因みにアヴニールは見事に屋台へと突っ込んだ。
「いててて‥‥」
「情けない元魔王もいたもんだ」
「この歳になるとどうしても鈍くなるんよ‥‥」
「別にいいけど、これで詰みは確定だね」
じりじりと魔物達が近寄ってくる。そういえば、魔物だけで魔族が全然見当たらな―――。
「ちょっと待てぇい!!」
誰かが止めに入ってきた。見るからに魔族だろうか、でもアヴニールと同じツノが‥‥、やけに魔物がざわざわしてるし、まさかこれは‥‥!
「魔王様だ‥‥!」
「魔王様がいる‥‥!」
「ま、魔王様、どうしてここに!?」
■
現在、イリスとアヴニールは拘束され、魔王の元で跪いていた。魔界に人間がいるのが珍しかったのだろうか。それに元魔王といちゃな~。
「アンタがイリスなんか‥‥?」
「そうだよぉ」
「‥‥!やっぱそうなんか!おー良かったなあ!アンタの探しもん見つかって!!」
「ちょっ‥‥あんま大声で喋んな‥‥!」
どうしたんだろ、誰かと喋ってる?それにしても私魔王と会ったことないのに、どうして私の名前聞いたとたん興奮し始めたんだろ。不思議に思ってると、誰かが出てきた。
「えー‥‥あー‥‥、姉さ‥‥いや、イリス様、えーと俺は―――‥‥」
「ロベリア!!ロベリアじゃん!あれ、女装は辞めたの?」
突然の爆弾発言に、全員の時が止まった。
■
現在いるのは魔王がたまに使う客室。そこにはイリス達がいた。
「えー、言いたいことは山ほどあるんやけど‥‥アンタ、ロベリアっていう名前やったんやね」
「え、そこか‥‥?」
「そうやでリュミ、問題はそこちゃうで!今はハスライムの人間が二人もここにいる状況についてや!」
「それも違うと思うよ?」
なあんだ、全然喋ってないって言うから気まずいのかと思ったのに、普通に喋れてるじゃん。
「それよりも、姉さん‥‥この際だから言いますけど、俺が女装してるのはいつから知っていたのですかね‥‥?」
「え、最初から」
「最初から!?でも、俺のこと妹って‥‥」
「そりゃ家族の性別くらい知ってるし、妹って呼んでたのは可愛かったからだよ」
「最後答えになってない‥‥」
どうしてだ、さっきから皆が冷たい目で私の事を見つめてくる。何かしたっけなぁ‥‥?
「そうだ、おとん。人間界の帰り方知らん?」
やっと本題に入る。ここまで長かった。
「うーん‥‥知らん!」
「「知らん!?」」
「イリスには言うたが、俺は帰り方など知らんよ。そんなん作ったのどこかの代の魔王か、勇者くらいしかおらんやろ」
勇者‥‥、勇者か‥‥そういえばうちの家系にも勇者いたな。今も生きてる、引退した元勇者が‥‥。
「あの勇者のせいで俺は魔力を半分封印されてもうてな、アンタらの助けになんぞなれへんわー」
「それならしょうがないな。魔界と人間界は違うと聞くし、人間界にいる魔物は魔界に行けない。魔界にいる魔物は魔族じゃない限りいけない。そんなもんだ」
「ロベリアあんた、やけに魔界と人間界の隔てについて詳しいんやな」
「そうか?一回父上に聞いたことがあるんだ」
父上という言葉に一瞬、アヴニールが反応した。静かにイリスとロベリアを見つめながら、かつての勇者を思い出した。




