夕日の色
第6章 夕日の色
4月の末。
琥珀たちは文化祭準備に取り掛かっていた。
琥珀たちの学校は文化祭を2つ月に分けて行う。
まず5月の上旬に行われる春祭、そして11月に行われる冬祭。
この2つの文化祭で琥珀たちは出し物で競い合う。
今回琥珀たちがやる出し物は喫茶店だ。
これは瑠華の案によって決定した。
琥珀は裏方で作り役、利久は声が出るから接客、瑠華は看板娘と役割を
分担して決めていった。
そして、看板づくりやメニューの考案、金額設定などを文化祭実行委員と決めていった。
そして放課後。
琥珀は看板づくりが終わっていなかったから、教室に残り作業をしていた。
(うーんここの色は...)
そう首をかしげていると、横から声がした。
「わっ」
瑠華が耳元で声を出してきた。
「わああ!びっくりした」
「菫城さんやめてよ~」
瑠華が口を押え微笑む。
「ふふっ」
「柊くんっておもしろいよね」
その言葉に琥珀の目は点になっていた。
「そ、そうかな」
頭をポリポリとかきながら、照れる。
「どこで悩んでるの?」
瑠華が琥珀を手伝おうとしている。
「ああーここの色なんだけど、どうしようって」
指を指したところは喫茶店のロゴの色だった。
「ロゴかあ、悩むよね。私も文字の色で悩んだよ」
「やっぱりオレンジ系統でいいんじゃないかなって思うけど、
柊君がしたい色あるの?」
「うーんやっぱりオレンジ系だよねぇ...」
琥珀が首をかしげる。
「俺がしたい色とかはそんなにないからオレンジでいっか!」
「ありがとう、菫城さん」
琥珀は瑠華の目を見た。
その琥珀の目はきらりとしていて、その目を見た瑠華は一瞬息が止まり見入っていた。
「菫城さん?」
瑠華は咳払いをして、作業を再開した。
「ごめん!なんでもないよっ」
琥珀は隣で作業する瑠華に疑問があった。
「なんで菫城さんは喫茶店したかったの?」
瑠華はギクッとした。そして、顔が赤くなってしまった。
――い、言えないよ~柊君の好きなココアを出したくて喫茶店したなんて~!!
私情でクラスのみんな巻き込んじゃってるし....
「うーん無難かな!って思って、変に悩むよりベターなやつやった方がいいんじゃないかなって思って」
琥珀はぽろっと口に出した。
「そっかーでも嬉しかったな喫茶店で」
「俺の好きなココア出せるし」
その言葉に、瑠華はさっきの目を見るよりも深く琥珀のことを見つめていた。
その目は大きく揺れ、瞬きを忘れるくらいだった。
「ひ、柊君ってココアなんで好きなの」
この時の瑠華はこの言葉を言ったことを後悔することになる。
「そうだな~」
筆で色を塗りながら答える。
「俺中学まで、違う県に居てさそれで冬のとき寒くて買ったココアがあるんだけど
そのココアを隣の自販機でも買った女子がいて。有栖さんっていうんだけど」
「その子が飲んでた顔が忘れられなくて、今でもその味を覚えてるんんだ」
琥珀初恋の場面を瑠華に説明した。
「まあその子とはそれっきりで何もなかったんだけどね」
それを聞いた瑠華の手が震える。
震える手を必死に隠す瑠華。
「それがこは...柊君の好きな人?」
琥珀は瑠華のことをじっと見つめて言った。
「うーん今好きっていうか、気になる子はいるよ」
「でももうその人とは連絡取れないし、何してるかわからないけどね」
恥ずかしがりながら琥珀が言う、目を開いた琥珀は瑠華を見た。
「ん?菫城さん?顔赤いよ、大丈夫?」
「だ、大丈夫よ!ゆ、夕日で赤くなっていただけよ!」
夕日のせいにするには、無理がある赤だった。




