花火の光は明るかったけど小さかった
第21章 花火の光は明るかったけど小さかった
もう日が暮れ、あたりが暗くなり夏虫が鳴き始めた頃
瑠華はコンビニで買ってきた花火を取り出した。
「みんな!花火しよう!」
琥珀が瑠華に言う
「大丈夫なの?家の前で花火しても」
「うん!大丈夫!」
そう言い全員瑠華の前に集まった。
利久は膝を曲げながら言った。
「花火なんていつぶりだ?久しぶりだな」
「お水バケツ持ってくる待ってて!」
瑠華は家の中に入っていった。
琥珀たちは花火の準備をしていた。
「琥珀」
利久が琥珀に話しかける。
「ん?」
「お前、菫城さんと付き合って変わったな」
その会話を見ていた珠奈も言う。
「うん、琥珀先輩変わった」
「え、どこが」
利久が嬉しそうに言う。
「なんか、吹っ切れてるというか自信がついてるように見える」
「そう?」
珠奈の方へ視線を向けると珠奈は頷いていた。
「そっか、でもそれは瑠華ちゃんのおかげだよ」
「でも、俺はあの人がいないと何もできない」
「助けられてるのは俺の方だよ」
「でも、お前が踏み出したから今のお前がいて。菫城さんと付き合えてる」
「入れてきたよ!」
重そうに運ぶ瑠華に琥珀が駆け寄る。
「持つよ、持ってきてくれてありがと」
「ふふっありがと」
それを見た利久はボソッと言った。
「そういうところだよ」
続けて珠奈も一言言った。
「ねっ」
水バケツを置き、バーベキューのときに着けたライターを持ってきた。
「さ!花火しよー!」
大きな声で瑠華は言った。
1人ずつ花火を持ち火をつけていき、一人が付いたらみんなが手持ち花火を近づけ火を連鎖的に付けて行った。
明るく七色に光る花火、勢いが強い花火、金色に光る花火いろいろな花火をする。
「線香花火対決しようぜ」
利久が取り出し全員に言う。
「やりたい!」
ずっとはしゃぐ瑠華を横目に琥珀の胸は瑠華でいっぱいだった。
――本当に可愛い。
「聞いてんのか琥珀?」
「あ、ああごめんなに?」
「最初に落ちた人が全員にジュースおごりな」
「ああ、わかったよ」
「じゃライター付けるから、みんなそこに近づけて火つけて」
カチッと利久がライターをつける一斉に線香花火を近づけた。
上手く全員に着き自分の線香花火に集中する。
だが、琥珀は瑠華の顔をじっと見つめていた。
線香花火より瑠華の方が気になっていた。
その時利久の線香花火が落ちた
「ああー!なんだよ俺かよくっそー」
利久が落ちたと同時に連鎖していく
「あ」
珠奈の花火が落ちる
「2人とも早いよー」
そういった瞬間瑠華の線香花火もポツンと落ちた。
「あ」
全員くすくすと笑った。
「俺まだ続いてるよ」
「おーすごいなお前」
「琥珀君凄いね!」
「でしょ、まだ続く気がす...」
その時風が吹き、落ちずに火が消えた。
「え」
「え、そんなことある?」
起きたことに場は大きな笑いに包まれた。
「じゃ、ジュース買いに行くか」
利久が言う
「俺は片づけてからいくよ」
琥珀は言った。
「じゃ私も片づける」
瑠華は琥珀と一緒に片づけを始めた。
「俺は珠奈と先に行ってるわ、ありがとな」
「琥珀君面白いね」
「え?」
「なんかすごく面白い」
瑠華は片づけながら笑いかけた。
「あ、まだ残ってる」
「え!しよしよ!」
それは線香花火ではなく、明るく光る花火だった。
琥珀がライターをつけ花火に火をつけた。
「琥珀君の火頂戴」
「ん」
勢いよく花火が散る。
しゃがみながら琥珀は口から零れた。
「好きだよ」
それを聞いた瑠華は驚き、言った琥珀は自分でもびっくりしていた。
「い、いやあの」
琥珀の視線が泳いでいると瑠華が言った。
「私も好き」
見つめ合っていた瑠華と琥珀。
その瞬間、持っている花火の光なんて目に入らないほど小さくなっていた。
「叔母さんに結婚考えてるかって言われた」
「え?」
「その時自然に浮かんだんだ」
琥珀は笑う。
「隣にいるの、瑠華ちゃんがいいなって」
「琥珀君...」
「私ずっと心に穴が開いてた気がしてたの」
瑠華は花火を持ってその光に照らされながら言った。
「ずっと何かを求めてた。それが琥珀君のことなのかそれともほかの何かなのか」
「でもね、今日分かったの」
花火の火が風に吹かれ揺れる。
「もう埋まってるみたい」
「瑠華ちゃん」
「だから私とずっと一緒にいてほしいそう思えたの」
「あの初めて私の心を救ってくれた日から」
瑠華は初めて、琥珀に自分の弱さを打ち明けた。
「私も琥珀君と結婚したいよ」
その時花火の火が消え、琥珀は瑠華と唇を合わせていた。
一瞬だけ触れた。
花火よりも熱かった。
暗い中でもわかるほど瑠華の顔は赤かった。
「ただいまー」
その時利久たちが帰って来た。
「あれ、片付いてないじゃん」
利久は琥珀の持ってる花火を見言った。
「あ、お前ら残ってる花火やったな?」
「ずるいぞー!」
利久は琥珀に飛び乗りじゃれ合っていた。
「瑠華先輩?」
珠奈が瑠華の顔を覗き込む。
「な、何でもないよ!」
瑠華は、琥珀に口づけされた唇を触っていた。
――琥珀君、本当に大好きだよ。
遠くで最後の花火が弾ける。
その光は小さかったけれど、
二人の未来には、十分すぎるほど明るかった。




