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2人の空気

第15章 2人の空気


――あの日俺たちは付き合ってはいるが、学校生活ではいつもと変わらなかった。

一緒に学校に来たり帰ったりはするが、ばれるのも時間の問題だ。


ピコッ


鳴ったスマホを見ると通知には「瑠華」の通知。

瑠華からのラインが来た。


すぐにスマホを開けてメッセージを見た。


「琥珀君」


「どうしたの」


「友達に付き合ったの?って聞かれちゃったんだけどどうしよう」


「あ~、言ってもいいんじゃない?」


「え、琥珀君いいの?私と付き合ってるって言ったら男子の恨み買わない?」


――あ、この人自分で可愛いって自覚してたんだ。


「いいよ笑、大丈夫だよ笑」


瑠華はすっかりと琥珀君呼びになっている、琥珀も呼び方を変えていた。

また、琥珀も利久には付き合ったことを前もって言っていた。



「利久、俺ら付き合った」

琥珀は肘をついてSNSを見ているときにぽろっと言った。


その一言言っただけで利久は飲んでいたカフェラテを噴き出してしまった。

「ゲホッゲホッ」


「な、なんでだよ。大丈夫かよほらこれティッシュ」


「あ、ありがとう。っていや、は?」

「付き合ったって菫城さんと?」


「それ以外ないだろ」


「ええ...そんなにあっさり」

「まあいいんじゃない?お前の恋愛だし」


ただ、利久は一つ言葉を置いて言った。

「お前全男子の恨み買うぞ~?」


「わかってるよ、でも俺は利久と瑠華ちゃんいればいいよ」


「お前さあよくそんなこと平気な顔して言えるよな」


「え?変なこと言った?」


「いや別に変じゃねーけどさあ」


「まあ幸せにしてやれよ」


そのようなやり取りをして利久は琥珀たちの交際を知っている。


ピコッ

またスマホが鳴る。


「今日一緒に帰ろう!琥珀君」


「良いよ~帰りご飯行く?」


「行くー!」


琥珀はそれを見てニヤニヤしていた。

――もう学校でずっといちゃつきたい。全男子に見せつけてやりたい。


グッと拳を握って、瑠華と付き合って恋人同士ということを噛みしめていた。


そうして放課後。


琥珀は帰り支度が終わり席でスマホをいじっていると

横からスッと影が入ってきた。


見なくても分かった。瑠華だ。


琥珀は立って瑠華に向かって言った。

「帰ろっか瑠華ちゃん」


瑠華は小さくこくっと頷いた。


廊下を歩く二人の距離が少し離れる。

校内じゃ恥ずかしいからか、廊下の外を見て歩く瑠華。

手をポッケに入れて歩く琥珀。


二人とも恋人などできたことがなかった。

今どうしたらいいかというのがわからなかった。


だが。


「ん」


それは校内なのにも関わらず琥珀が手を差し出してきた。

「手、繋ご...」


顔を背けて琥珀が言った。

その顔を見た瑠華はとても心が躍り、

消してぎゅっと握るのではなく、優しく琥珀の手を包むように握った。


夕日は二人を特別照らすことなど無かった。それでも二人にとっては十分すぎるほど幸せな時間だった。



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