意思貫く者の覚悟~現世、初戦~
連日投稿を出来そうなので参ります。
「やれやれ・・・」
ショッピングモールの通路の端っこでいかにもな古臭いナンパをしてる連中。辺りを見回すと皆かかわりたくないのか遠巻きにちらちら見てはすぐにそそくさ逃げて行く。
「ムリもねぇ、か・・・ありゃ高等の2年か・・・それもBクラス。実力は上の下ってとこだな。下手に絡まれてボコボコにされんのは嫌だろうよ」
奴らの着てる制服、あれは俺の通う学校「黎明学園」の高等部の制服だ、しかもバッチを見ると赤枠で五角形、銀色の校章が刻まれている、あれは高等部2年、Bクラスを意味する。
ちなみに絡まれているのは空色のショートヘアで145cmくらいの小柄な女の子だ、顔もかわいらしいって感じの子で、同じく黎明学園の制服に緑枠の五角形、白の校章が刻まれている、高等1年Dクラスだな。
色々解説しておこう。黎明学園は魔法技術が確立されてから設立された、世界初の魔法技術科を導入した学校で、設立されてから今なお世界トップの魔法学の勉強場として世界中に知られている。小等部~大等まで続くエスカレーター式に加え、敷地も東京23区の半分ほどの面積があり、実は俺らのいるこの場所もこの黎明の敷地内だ。(とはいえ、俺らの拠点の小屋はその外れだけどな)
内部は小等~大学までの各校舎に加え、部活用の建物、寮、買い物場所など色々あるほかに、生徒とその家族のための居住区画すらある・・・。あまりに敷地が広いもんだから電車で交通を円滑にするくらいな。
んで、話を戻すが各等部でバッチがあるんだが、小等は三角、中等は四角、高等は五角、大等が六角、という具合にバッチがあって、クラスごとに校章の色が違う、上から金、銀、銅、白、黒ってな。枠の色は学年を表していて、中、高は上から青、赤、緑、小は上から青、赤、緑、紫、黄、橙。
大は青、赤、緑、紫って順だ。なので奴は高等2年Bクラスってわけだ。
クラスはA~E成績順にクラス分けされており、奴はB上から2番目のクラスで実力は上の下あたりだろう。高等レベルまで行けばかなり魔力も増えて、術も中級、下手すれば上級に食い込むレベルの物を使えるようになる。下手に絡まれて喰らいたくはないんだろうな、特に今は魔法絶対主義、力がある奴が正義なんて時代だ。
・・・なんだが、あっちで旅してきた俺からしてみれば、こっちはまだレベルが低い。多分俺もあっちで旅してなきゃ避けてただろうが、何度かこういう場面に遭遇し助けていたのもあって・・・
「おい、そこの三流不良。困ってんだからやめておけ」
つい声かけちまったわけだ。
「あぁ!?何だゴルァ手前」
主立って絡んでた兄貴分みたいな奴がこっちをにらみつける、まぁゴテゴテに不良してんなぁ、金髪にちゃらちゃらした感じ、制服もずいぶん崩して着ている。
「嫌がってんだろうが、それともアレか?嫌がってるのを無理やり連れてって悦に入る外道か?だとしたら今すぐちょっと警備呼んで取り締まってもらうが」
「んだ?この地味野郎、女の前だからって調子こいてんじゃねぇぞ!!」
「兄貴、こいつアレですよ、最底辺ですよ!!」
横から出てきたいかにも腰巾着っぽいやせた男が俺を指差しながら言う。
「あ?・・・ハッ確かに手前、その地味なめがねと髪、魔法技術始まって以来の最低の落ちこぼれのド底辺小等部一年の持つ魔力量すらもない、片桐じゃねぇか!!雑魚が、俺は高等2年Bランク上位の社様だぞ?手前ごときじゃ勝てねぇん「ランク、ランク、魔法魔法、どいつもこいつも馬鹿しかいねぇのか?」・・・あん?」
今のを聞いて絡まれてた女の子もすげぇがっかりした顔してるし、周りも馬鹿を見るような目で見て・・・それを聞いてあきれ返る俺。
「もう一度言ってやるよ、魔法魔法ってそれしかあんたら考えられないのか?魔法だけで全ての実力を測れると?」
俺は幻想で色々なことを学んだ。あっちは現世より魔法が盛んなのに、魔法が使える人も、使えない人も、手を取り合い、協力して生きていた、世界が崩壊寸前に追い込まれたときなんて、そのちょっと前まで戦争起こしかけてた種族同士も協力して、崩壊を止めようとがんばっていた。
それなのにこの世界は・・・
「そんな考えがあるから力がない奴は苦しんでるんだろうが!努力しても否定されて、潰されて、悦にいられて・・・そうしてあきらめちまってんだろうが!!」
何より・・・術の本質を理解使用ともしないで使い続け、今も着実に世界を不浄の地に変えようとしている!
「おい、社だったか?三流」
「底辺風情が俺を呼び捨て、あまつさえ三流呼ばわりとはいい度胸じゃねぇか、〆られたいのか?」
「ハッ上等だかかってこいよ、お前らのその魔法絶対主義・・・」
俺は拳を前に構えながら言い放つ!
「―――最底辺の俺がぶっ壊してやるよ」
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俺達は今戦闘が許されている区画、バトルフィールドに向かってる。向かっているのは社って奴とその子分、その子分はナンパしてた例の女の子を連れてきている。やれやれご苦労なこって。あぁ、あと野次馬もちょろちょろ来てるな、あの感じを見るに啖呵切った底辺がボコボコにされるのを見たいって連中だろうけど。
「ユーリ兄ぃ、大丈夫?」
「大丈夫さ、それにこの先、俺達がやろうとしてることはこの世界に蔓延る魔法主義をぶっ壊す覚悟で挑まなきゃならないだろ、そうなればこの世界全てを敵に回すかもしれない。となればこっちでの実力者も来るわけだ。こいつら程度倒せなきゃ、話にならないだろ。というか俺が負けると思うか?」
「ううん!全然!!やり過ぎないか不安なくらい」
「問題ないさ、任せとけ」
何より最底辺の俺がBランクの奴を潰した、となれば絶対主義は揺らぐ。わずかであれ絶対にヒビが入る。そこから変えられるかもしれないからな。
「着いたぞ底辺!!バトルフィールドにな!」
バトルフィールド・・・簡単に言えば魔法を用いて模擬戦闘を行う場所だ、ま、こういう風に喧嘩に使われたりもするがな。
魔法と科学が混ざり、完成した設備で、この中では特殊なバリアフィールドが展開されフィールドの四方に防御バリア、それに加えそれぞれにバリアポイントという簡単に言えば体力みたいなモンが戦闘参加者を覆うように発生する。このバリアポイントを0にすれば勝ちというルールで戦闘が行える。というもんだ、原理?知らん
「ルールはバリアポイント500!先に0になったほうが負けだ、負けたほうは相手の言うことを聞く、そして最底辺のお前にハン「いらねぇよんなもん、それを言い訳に勝負は無効とか卑怯なことされたくないしな」・・・上等だ、潰してやる!!」
「やれやれ、沸点の低いことで」
周りは「いいぞー」だの「潰しちまえー」だの言ってるが、こいつら魔法が本来命をあっさり奪う代物だって理解してるのかねぇ。
俺はフィールドに上がって状況を確認する。フィールドの範囲は四角でできていて面積は大体50メートルくらい、走り回って暴れるくらいは余裕で出来る。
「さぁ、始めようぜ」
軽く跳ねながら相手を見据えて言う。
「落ち着けよ、もう始まるからな」
というと頭上にそれぞれのステータスが浮かび上がった。
片桐優璃 BP 500 クラスE
VS
社雄介 BP 500 クラスB
-BATTLE START-
「後悔すんじゃねぇぞ!!フレイムバレット!!」
社が早速仕掛けてきた、初級火属性フレイムバレット、小さな火の弾を打ち出す魔法だ。初級とは言え、速度が速く、使い勝手が良い。
普通ならよけれないだろうが、俺はあっちで命がけで戦ってきてるわけで、これくらいの術が飛び交うのは日常茶飯事だった。よって
「よけるのはたやすいっとな」
「!?」
体を右に逸らせて交わす、よけられると思っていなかった社は驚愕して固まった、そしてその一瞬が・・・
「命取りだっ!!」
避けた体勢から一気に加速するために足に力を集中させて地面を蹴り、一瞬で間合いをつめ、相手の懐に潜り込む、そして構えていた右拳で思いっきり
「ぶっ飛ばす!!」
「ぐふぉぁああああ!?」
顎にアッパーをぶちかまして空中に飛ばす、さらに跳び相手を追いこし、かかと落としを叩きこむ。全てまともに喰らった社は見事に地面に叩きつけられた。
「がっは!!?」
バリアのおかげでダメージはないだろうがそれなりの衝撃はもらったのだろう、叩きつけられ口から苦痛な声が漏れる。
俺は地面に着地してすぐに後方に下がり様子を伺いつつ、今の攻撃から実力を測る。
(やっぱ、フレイムバレットの威力はそこまで高くなさそうだし、動きも鈍い、何より、魔法避けられたくらいであの硬直、あっちに比べればたいした脅威ではないな。)
「て、てめぇ・・・やりやがったなぁ・・・」
社は血走った目で俺を睨み付けながら立ちあがる。
「やりやがったなも何も、先に仕掛けたのはあんた、俺はそれを避けて反撃しただけだぜ、魔法が使えないから物理でな、つーかそもそも、魔法避けられたくらいでそれだけ隙が出来れば仕掛けるでしょうに」
ちらりとステータスボードを見ると社のBPは300近くまで減っていた。結構削れたな。
「さて、まだやるか?」
「たかが不意打ち決めたぐらいでいきがるんじゃねぇ!!」
そういいながら今度は術式を展開してきた、これは中級か・・・
「燃え盛る怒号、全てを灰とかせ・・・!!バーンストリーム!!」
バーンストリーム・・・中級火属性の魔法で空に浮かんだ術式から炎の塊が3つ降り注ぐ代物だ、何より厄介なのが。
「着弾時に爆発するってとこかっ!」
着弾地点を予測し瞬時に爆風の余波から逃れる場所に回避する・・・!?
「馬鹿が消えて無くなれぇええええ!追尾せよ、火の弾丸・・・フレイムホーネット!!」
回避した先に火の蜂が迫り来る、これは・・・
「派生魔法かっ!!」
フレイムホーネットはフレイムバレットの応用魔法だ、基本はバレットと同じ何だが、厄介なのが、対象を追尾すること、そしてさっきの術で避ける場所が減っている今は回避がしにくいってことで
「くっそ、壁際に追い込まれるか・・・!」
回避していたら壁に追い込まれちまった。
「終わりだぁ!!もう一度喰らえ!!バーンストリームゥウ!!」
ニヤリといやらしい笑みを浮かべながら術を放つ社、勝ちを確信してるんだろう・・・
ドカァン!とひときわ大きな爆発が起こる。
「ヒャーッハッハッハ!!ざまぁ無いな!!この雑魚が!!」
観客も皆一様に「終わったな」と言っている・・・が一人だけ違う考えを持っていた。それは
(・・・あの程度でユーリ兄ぃを倒した?この人たち動きを見てなかったの?ユーリ兄ぃはわざと)
「ま、雑魚は雑魚らしく地べたに転が「ってればいいんだ。ってか?」・・・!!」
「か、片桐ぃ!?どうやって避けやがった!!壁際で逃げ場所は無かったはずだ・・・!!」
高笑いしてる社の前に無傷で姿を現してやる。すると予想通り愕然としてる。
「確かに前からはバーンストリーム、横からはホーネット、後ろは壁と、まぁ避けるのは大変だよな」
「な、ならどうやって・・・」
「簡単だよ、上に逃げればいい。爆風もあいまって確実に逃げれるからな」
俺はあえて追い込まれた振りをしてたわけだ、確実に避けるために。
「おかげで爆風でちょいと喰らった程度、確定で落せたと思ってたんだろうが、残念だったな」
俺のBPの残りは493。ま、掠った程度じゃそうなるよな。
「さて、と実力はわかったし、こっからはわざと喰らってやる義理もないな」
「なっわざと!?」
正直詠唱中に接近して相手をぶっ飛ばすことは可能だ、だけど今回はあえて攻撃を放置した。こっちでの魔法の錬度を見たかったからな、結果としては。
(たいしたことはなさそうだ)
あっちで命がけで戦った俺らから見てみればろくに力も制御できてないし、術式の練り、詠唱速度、全てが低い。まぁ多分実力者はそうでもないんだろうが。
「さて、片つけるから覚悟しとけ?先輩?」
「舐めんじゃねぇ!燃え盛「遅いってんだよ」ぐふぉぉおおお!?」
詠唱を始めた瞬間に接近し腹に一発右グーパン、仰け反ったところにさらに膝蹴りをかまし、怯ませ、左掌底を入れる。普通ならかなりやばいダメージだろうがバリアがあるので多少の衝撃のみだ。そのバリアは一気に減って行く。
「終わりっ!!」
最後に左手を腰に戻しながら入れ替わるように出した右手で裏拳を当てて吹っ飛ばし終了。
片桐優璃 BP 493 クラスE ○
VS
社雄介 BP 0 クラスB ×
結果それが止めとなり戦闘は終了となった。
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「ユーリ兄ぃ!さすがだね!!」
「ま、これくらいはな」
俺の元にティオが走って向かってくる。観客は大分ざわざわしてる、まぁそりゃそうだろうな、魔法絶対主義の世界で魔法をフルに使った奴が物理のみしか使わなかった奴にろくにダメージも与えられずに負けたんだからな。
「さて、約束を・・・っ!」
俺は社のほうを向いて戦う前に決めた約束を果たせというために奴のほうを向く、しかし
「ま、負けなんて認めるもんか、最底辺なんぞに、なんぞにぃいいいいいいいい!!」
「兄貴落ち着いてください!!バリア無くなってるから被害出ちまうっす!!」
「だまれぇえええええ!!」
腰巾着の止めを無視して術を構える社・・・
「おい!バリアがなくなってるんだぞ!けが人出す気かてめぇ!」
「知るかぁああああああああああああああああ!!バーンストリィイイイイム!!」
冷静な思考が出来なくて完全に暴走している社、パニックになる観客、無情にも放たれる魔法・・・
(・・・)
俺は意識を集中させる、俺の雰囲気を察したのかティオはすぐに俺から離れ後ろに下がる。
ゆっくりと炎が迫ってくる、それにあわせ腰を落とし、腕を前と後ろに構え、力を内側から全身に循環させるように流す・・・
(体技、守の四・・・)
そして両腕を勢い振り、体をそれにあわせ一回転させる!
「護風旋!」
回転しながら両手を炎にぶつけ、回転と共に生じた大気の流れに混ぜ、打ち消す!打ち消す!打ち消す!
「なっ!!?」
炎全てを打ち消された社はさっき以上に驚愕し、動きを止める。それを見逃す気はない
「てめぇは一つ間違いを犯した、人がいる中で、バリアもないのに力を使い多くの人を巻き込んで惨事を引き起こしかけた、自分の自尊心のためだけに・・・許すわけにはいかねぇ、頭冷やしてきやがれっ!!」
言いながら地面を蹴り接近し、両手に力をためるように循環させ
「体技、攻の二!掌破「ぐはっ!」双撃「がっ!」」
右掌底を腹にあて、その上からさらに左掌底を打ち込む!社は腹を押さえながら倒れこんだ。
「あ、兄貴ぃ!?」
慌てて腰巾着が近づくが俺はそいつをにらみながら
「安心しな、手加減はしたから20分くらいで目を覚ますさ、それより約束だ、そいつを連れてとっとと失せろ!あの子もあきらめるんだな!」
と凄んで言った。
「ヒィ!!わ、わかりましたぁ!!」
腰巾着はそれに押され社を背負いそそくさと逃げていった。
「さて、と俺らも退散するか、ティオ!」
「おっけーだよ!ユーリ兄ぃ!」
まだ騒動が残るなか俺らはささっと退散するのだった。
「あ、あの待ってください!!」
という女の子の声を聞かなかったことにして。
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「片桐、優璃・・・」
その場に残された少女は自分を結果的に助けた青年を思い浮かべた。
「最底辺って言うのは聞いたことあったけど、とてもそんな風に見えなかった・・・確かに魔法はつかってなかったけど」
能力の高い相手を物怖じせず見据え、立ち向かった、青年。相手の魔法をものともせずに体術だけでいとも簡単に勝利して見せた実力。そして、最後に見せた魔法を打ち消した技、あれも魔法ではなく、魔法なしで魔法を打ち消した事実は、魔法主義の世界に住む少女に大きな衝撃を与えていた。
「・・・ありがとうって、伝えたいな」
少女は騒動が残るフィールドの片隅で、小声で、つぶやいた
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「ところで集合時間大丈夫?ユーリ兄ぃ」
「・・・やべっもう12時25分!?」
「ここから集合場所までは?」
「ざっと10分・・・」
「・・・」
「・・・」
『走れぇええええええええええ!!』
この後時間に遅れた二人がこってりメンバーに怒られたのは、言うまでもない。
では、またの機会に




