011話 大困惑な大注目!?
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―――学園からのお知らせ―――
【重要】多角的才能開花準備室へのご案内
迷宮冒険科1年2組 馬場野生 殿
学園生活をより良いものにするためのご案内です。馬場野生殿は「多角的才能開花準備室」での特別サポート対象に選ばれました。
当室では、現在の所属学科で実力を発揮しきれていない生徒において、多角的な視点からの才能発掘、および適性に合わせた進路(転科等)のサポートを行なっております。
本通知を確認次第、速やかに指定の準備室までお越しください。
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「いや、なんじゃこりゃ!?」
俺は教室にあった貼り紙を見て、思わず叫んでしまった。
今日は朝から周囲が騒がしいというか、周りの女子がいつも以上に熱い視線を送ってきており、「ついにモテ期でも到来したか!?」と浮かれつつあったのだが、その原因はこれだったようだ。
書き方は丁寧な感じに見えるが、この文ってつまり「君は冒険科にいる才能がないんだから、別の科に行くことを考えようね」ってことである。
しかし、攻略そのものは順調なんだぞ?
昨日の段階でクラブの二段ダンジョンだってクリアしているのに、「アイテムを持ち帰れない」ってだけで成績が最低とみなされるなんて、酷いじゃないか。
「デバイスのお知らせにも掲載されていますね。心中お察しします」
「男性なのに、可哀想……」
「あちゃー、ノブ君ドンマイ。えっと、学園内の有名人にはなれたっしょ!」
「元気出しなよ~、あたしはノブ君が頑張ってるの知ってるから。ウンウン」
「みんな、ありがとな」
同じ班の青梅さんとスズランに憐憫の目を向けられ、アカリやメクルに励まされてしまった。周囲の反応があたたかくて有り難いなぁ。
「こんなの酷いでしょ! ぷんすかぷん! スレに学園への文句書かなきゃ……」
隣の席の子、柴倉さんだったっけか?
彼女も俺のために怒ってくれていそうだ。
「ほら柴倉、騒いでないでさっさと席に着け」
柴倉さんを注意しながら先生は俺のことを一瞥したが、特に気にする様子もなく、そのまま授業を始めてしまった。
今日の授業は学園内の「ギルド」についてで、加入の仕方やギルドの立ち上げ方、所属するメリットなどの説明をしていたようだが、俺の心はここにあらず。
冒険科をやめなきゃいけないのか、という不安とショックに押しつぶされそうになりながら、ただ右から左に授業を聞き流してしまった。
「授業終わったけど、ノブ君大丈夫? あっ、あたしもノブ君って呼んでいいかな? 君の班の子がそう呼んでたからさ、あたしも良いかなって」
「お、おう。大丈夫。柴倉さん、ありがとう」
どうやら、俺が落ち込んでいる間に授業は終わってしまっていたらしい。
「和把って呼んで! じゃあ、あたしはノブって呼ぶね! 本当はワイルド君なのにあだ名って感じしていいね」
あだ名扱いでノブって呼んでもらえるのは助かるが、一気に呼び捨てとは、すごいグイグイ距離を詰めてくる子だな。
柴倉さん改め、カズハは編んだオレンジ色の髪をツインテールにしている子で、とても元気な印象だ。こっちまで元気をもらえるような気がしてくるよ。
「おい柴倉、馬場とイチャついてないで昨日の説教の続きだ。ほら、来い」
「げっ、教官。あたし、まだ怒られるんですか~!?」
そんなカズハが、キョウカ先生にドナドナと回収されていった。
変な多角的なんちゃら室とかいうのに呼び出されるより、キョウカ先生に呼び出された方がよっぽどおっかない気がして、カズハより俺の方がマシなんじゃないかと思えてきた。
「じゃあ、いくか、そのなんとか室」
「お、ノブ君がんばれ~。そうだ、デバイスに掃きスロの場所送ろうか? あたし調べといたよ~」
「ちょっちメクルン、その言い方はまずいって」
「ん? 掃きスロ?」
なんかパチスロみたいな響きだな。
話の流れからして、俺が今から向かう場所と関係しているのか?
「私から説明いたしますね」
そう言って青梅さんは、「多角的才能開花準備室」が通称「掃き溜めスロット」と呼ばれていることを教えてくれた。
その略称で「掃きスロ」と、学園生の間で呼ばれているらしい。
学園の落ちこぼれたちが集まる掃き溜めのような枠か。
不良生徒とかがいっぱいいる場所だったらどうしよう。ヤンキー女子に胸倉掴まれて「焼きそばパン買ってこい」とか言われるかも。いや、さすがにこの世界で希少な男子相手にそんなことさせないか。
「掃きスロって、『運命のいたずら』を持った人がいるのかな……」
スズランがわずかに眼鏡を曇らせながら、そんな呟きをしていたのをギリギリ聞き取ることができた。
そうか。昨日のエイラの話、そして花や薬系アイテムしかまともに使えないリンドウ先輩のように、何らかのハンデを背負った生徒がそこにいるのかもしれない。
色々と冷静になりながら、それでいてまだちょっとビビりながらも、メクルから場所を聞き、俺は「掃きスロ」へと向かっていくのだった。




