独り立ちか…ん?走馬灯!?
王城を旅立った俺と覇王は、城門前で話し合う事にした。
門兵の目が痛いが気にしたら敗けだ。
謎武器貰ったけど、テンプレとしては武器屋行って装備揃えた方が良いのかな?
覇王、この布が本当に使えるのか、鑑定とか出来る?
『この状態の俺は武器の鑑定など出来ん。故に、ソレはとりあえず所持しておくべきだろう。それは布として扱い、装備は別に揃えるべきでは?』
なあ覇王?この前キレてた時に、装備とか資金とかくれるって言ってたじゃん?
その装備くれない?
『…面の皮がマントル並みに分厚い奴め。テンプレに沿って動くのだろう?資金と装備を二度も与えられる勇者があるか?』
確かにいない…でも良くね?
テンプレって言うなら、王城より先に魔王城に行った時点で崩壊してるんだし。
『ほう?ならば、テンプレである「突然の異世界で動揺する主人公を支えるキャラ」として動いている、俺の手助けも要らんな?』
テンプレ大事!
さーて、武器屋はどこかな?
『…お前は、ここで何がしたい?』
ん?
『テンプレとして旅立ちまでは済ませた。武器や資金の話は置いておけ。お前は、何がしたい?異世界で、お前がしたい事は何だ?
ただ単に別の立場になりたかったのか?「勇者」という立場になりたかったのか?魔王を倒し、称えられたかったのか?魔王と組み、全世界を支配したかったのか?第三勢力として、全てを敵に回したかったのか?あるいは…大森林の奥地にでも住み、誰にも支配されない平穏な生活を送りたかったのか?』
え…?
急に、どうしたんだ?
『気がついているか?お前の価値観が、だいぶ狂っている事に』
お、俺は何も…。
『俺が衛兵を片付けた時、お前は何と言った?俺が国を滅ぼすと言った時、何故止めた?女神が狂った際、俺に止めさせた理由は?』
衛兵…!?
俺、何であんな事を…?
で、でもそれだけだ!
国を滅ぼすと、沢山の人が困るだろ!?
だから…。
『「自分が巻き込まれるかもしれない」そう考えなかったか?だから、俺の矛先が向かいそうになった際、即座に引いた。違うか?』
……め、女神の時!
あそこで女神を止めなきゃ、一国を滅ぼすよりも大きな被害になっていた!違うか!?
『…あの時、そんな事を考えていたか?俺の目には、猛獣を目の前に怯えるガキしか映っていなかったがな。まあ、あの時の女神は俺でも気圧された。故にこの件は外すとしても…。やはり、お前は狂い始めている』
俺が…俺が、狂っている?
『ああ、そうだ』
だったら、お前はどうなんだよ…!
『?』
たかだかマントに触られそうになったくらいで、国を滅ぼそうとしてたお前はどうなんだよ!
『俺の方が狂っている、と?』
そうだろ!?
『…だとして、それがどうした?』
えっ…?
『俺が狂っていたとして、それがお前の救いになるのか?』
それは…。
『俺がお前から見て狂ってようと、俺は人間ではない。俺が人間の基準から外れていると、お前に何か悪影響があるのか?』
…一緒に行動する上で、支障があるかもしれないだろ?
『ならば、別れれば良いだろう。俺と共に居ろ、などと言ったか?』
…そうだ!女神!女神の不手際の埋め合わせで、一緒に行動してるんだろ!?だったら…。
『それは方便で、実際は気紛れで同行しているだけだが…。ならば、魂の器を拡大させ許容量を増やす。そして加護を与える。俺なら女神と違い、魂に悪影響を与える事無く問題を解決出来る。それで良いな?』
えっ…。
『【魂魄 領域拡張】【上位加護 複数付与】【肉体性能 適当に上乗せ】』
『よし、終わったぞ』
えっと、これで終わり…?
『おお、これを忘れていたな【異世界語 初級、中級、上級、超級 付与】』
女神の時は「入門」だったけど…?
『安心しろ、大した違いは無い。これ等の付与で、お前に出来ない事は「ほぼ」無いと言っていい。好きな異世界生活を送るが良い』
ちょっと待っ…
『ではな』
そう残し、覇王は消えた。
…え?無理無理無理無理無理無味無理無理無理無理。
何か混じった?そんな事は問題じゃない。
安心安全な異世界生活が送れなくなったんだぞ!?
覇王がいたから、俺は安心して異世界で過ごせると思ったのに…。
覇王が居なければ、素で誰かに接するなんて出来ない。
リスクが高過ぎる。
仮面を被って動く?
俺に詐欺師の才が有るとは思えない。
すぐにボロが出るだろう。
何か、何か無いかっ…!
はっ!
金!金が有る!
王から貰った金は……金貨が百枚に、銀貨五十枚か。
だけど、この世界の通貨の価値が分からない以上は迂闊に動けない…。
信頼出来る奴を作って、そいつに聞く?
いや、人を見る目には自信が無い。
俺に見破れる様な奴が生きていける世界だとも思えない。
ドラゴンいる時点でアウトだろう。
え…俺氏、覇王が消えた時点でガメオベラ?
どうしてこうなった。
よし、潔く首でも吊って死ぬか!
不安しかない日々を過ごすとか、無理。
自殺は逃げとか言う奴等は、耐え難い不安に襲われた事が無いから言えるんだ。
豆腐メンタルの俺氏、てるてる坊主に転職す!
~飾り付けすぎ?内容物が溢れただけさ~
タイトル付けるとしたら、こんな感じかな?
シリアスにならない様に、おふざけ挟んだし、そろそろ氏ぬかな。
俺は銀貨を数枚握り締め、雑貨屋へ向け歩きだした。
~転生したけどクズはクズ~
(完)
「勝手に終わらせるなよ…」
ん?死ぬ間際に見るという、走馬灯かな?
目の前に、気の強そうな美女が見える。
人目につきそうにない、路地裏にある建物の出っ張りへ括りつけた縄は首にかかってる。
後は台を蹴飛ばすだけだというのに…俺の体は、持ち主の意に反して生きるつもりのようだ。
走馬灯ってのは「今までの経験を思い出す事で、何とかして解決策を捻り出そう」と体が考えて見る物らしい。
往生際が悪い!
俺は氏ぬと決めたんだ、邪魔をするな!
「いい加減に…話を聞け!!」
グーで殴られた。
それも、頭ではなく顔面を。
「痛いじゃないか!」
咄嗟に声を出してしまったが、あれ?声が響く?
ああ、そういえば覇王が何かくれてたな。
多分それだ。
声は納得したけど…俺を殴った走馬灯さんは?
走馬灯って、実体あるんだっけ?
ダークがおかしくなったのは、絶対安全な場所から物事を見ていたからです(  ̄▽ ̄)
要するに、現実では虫も殺せない人が画面越しのゲームなら千人斬りとか出来ちゃうアレです(* ̄∇ ̄)ノ




