ややこしくなる前に、旅立とう!
目を開くと、俺は広間に立っていた。
振り向けば覇王もいる。
目の前には威厳のあるオッサ…国王。
で、何を考えているのか分からない宰相。
近衛の人…達もいるな、うん。
「勇者殿に来ていただいた理由は、他でもない…魔王の討伐を依頼したいからだ」
前と同じ国王の言葉。
俺に対する態度に変化無し、と。
ん?後ろで俺を見てる偉そうな奴等、少ないような…?
いや、気のせいだな。
覇王のやる事に間違いは無いだろう。
「勇者殿…?体調が優れないのですかな?」
おっと、ここで時間を取られる訳にはいかない。
ややこしくなる前に出ていかなくては。
『俺が代わりに答えよう』
覇王が発言すると、場が騒然となる。
「衛兵、その者を捕らえよ!」
「王よ、お逃げ下さい!」
「いや、ここで姿を現した理由を聞くべきでは!?」
そういえばこの時、認識阻害使ってたっけ。
「静まれ」
静かながらも、良く通る声が大広間に響いた。
国王、ある程度のカリスマは有るんだよな…。
やっぱり、相手が悪かったんだろう。
普通の一般人が相手なら、圧倒されている間に何かしらの契約を結ばせたり、助力に条件を付けたりくらいはするだろうな。
と、俺が考えている間に国王と覇王の話し合いが終わったらしい。
「勇者殿、今直ぐに旅立つとの事ですが…真ですかな?」
深く頷く。
面倒事を繰り返すなんて、絶対に嫌だからな。
「では、王家に伝わる神剣を授けましょう。宰相、これへ」
宰相が赤い布に包まれた、棒状の物を持って来た。
これは…ひのきルート?それとも、聖剣ルート?
期待に胸を膨らませ、包みを取り去ると…何も無かった。
…国王?これは一体?
「…不服ですかな?」
不服云々以前に、無いじゃん。
『神剣が無いなら、せめて鋼の剣を寄越せ。だと』
それは言ってない。
鋼の剣とか振れないし、聖剣とかの「使用者に重さを感じさせない」とか「使用者のステータス軒並みUP」系の能力無いと戦えないよ?
『安心しろ。いくら能力をあげようとも、お前では魔王すら倒せん』
つまり、女神さ…女神にも当然勝てない、と?
『女神と戦うつもりか?』
そのつもりは無いけど、自衛くらいはしたいじゃん?
「ご安心を、勇者殿。神剣「布の棒」は、貴方を主と認めました」
…はい?
さっきの、棒状の布が神剣?今、ただの布切れ同然だけど。
「その「布の棒」は、神々が異世界の宝具「ひのきの(ry」と「ぬのの(ry」を合成し造り上げた神具…攻防一体の神剣なのです!」
聞き慣れた名前がくっつくだけで、ここまで意味不明になるとは…。
見た目完全にただの布よ?
「防具(仮)」の成分が多分に含まれてるし、元々の武器が棒きれだし…「武器(仮)」成分が見当たらない。そもそも剣なのか?
これで魔王倒せ?攻撃力1あるかも怪しいこれで?無理ゲくね?
棒きれのがマシだろ…勝てる気がしない。
「では勇者殿、当座の資金をお渡しします」
ズッシリとした重みのある袋を渡された。
端金という事は無さそうだ。
「使い道は、よく考えて決めて下さい。それでは、勇者殿。勇者殿の旅路に、幸多からん事を!」
その言葉と共に、俺は王城から旅立った。
Q.偉そうな奴等が少ない理由は、何ですか?
A.頭数を揃えられませんでした。
Q.女神の信者は少ないのですか?
A.この世界で一番多いです。
Q.じゃあ…
A.消えても困らない信者が足りなかったのです。基本的に、狂信者しか居ないので此処で失うのは惜しいと「覇王」が判断しました。女神は躊躇無く差し出そうとしました。
揃えられたのは、社会的立場の弱い者や、他の宗教団体から逃げてきた信仰心の低い人です。
Q.命を軽く扱い過ぎではありませんか?
A.覇王は、その気になれば蘇生でも何でも、過ぎ去った事象の改変だろうと出来るので、大した事ではないと考えています。
Q.ダークは?
A.元からネジの抜けたおかしい奴です。たまたま今まで表面化しなかっただけで、きっかけさえあれば犯罪者にもなります。
親が親戚の子に夢中で、まともに相手をしなかったのも、無意識的に関わりたくないと思ったからかもしれません。
Q.女神が狂ったのは、何故ですか?
A.神は全員、覇王に対する忠誠心が振り切れてるので、覇王に何かされると暴走します。
端末に何をしようと、狂う事はありません。




