あと2日─
大きな音、大きな花火、そして大きな笑顔……
7月17日
ドンドコドン
大きな太鼓の音が聞こえる。
周りには屋台がたくさんあり、賑やかだ。
行き交う人たちは屋台で買ったであろう、かき氷や金魚などを持ってたりする。
とにかくとても楽しそうだ。
「おーい!水輝ー!!」
遠くから僕を呼ぶ声が聞こえ、そちらの方を見る。
「すまん。少し遅れた…。待ったか?」
「大丈夫。僕も今来たばかりだよ。」
僕の言葉に翼が少し安心する。
僕の地味な紺の浴衣に比べて、彼は柄の入った明るめなものを着ている。
「じゃあ、ちょっとずつぶらぶらと行こうか。途中で気になるものがあれば寄って行くという感じで。」
「ああ、そうだな。花火の時間までまだまだあるしな!」
そうして2人で歩き始めた。
「そういや、体調は大丈夫?しんどくなってきたら言ってね。」
「ああ、その心配はもう大丈夫だ!なにせ完璧に治してきたからな!!」
僕の質問に自信ありげな元気な声で返ってくる。
本当に大丈夫そうだ。
そうやって話しているうちに、ソースの香ばしい、美味しそうな匂いがだんだんとしてくる。
「…水輝…。俺、焼きそば食べたくなってきた…。」
そう言い翼のお腹がぐぅぅ〜となる。
「…僕も…ちょうど同じことを考えていたよ…。」
2人してお腹が空いてくる。
そうして焼きそばを頼み、ブロックに腰を下ろした。
「「いただきます。」」
と、2人で手を合わせて、僕は焼きそばを口に運ぶ。
「んーおいしい…!」
僕がそういうと、翼が本当か!?と目をキラキラする。
そして、翼も焼きそばを食べ始める。
「……!なんとおいしいんだ!!!」
そう言ってどんどんと食べていく。
僕も負けじと食べていった。
***
「………うーん」
焼きそばがもう少しで食べ終わりそうになるくらいまでくる。
その時、翼はどこか少し遠くを見ていた。
その視線を追うと射的の屋台に目がいく。
「…次は射的をやる?」
僕が提案すると、翼はいいのか!?と勢いよく言う。
そして、焼きそばを食べあげた。
口の中に焼きそばをかきこんだから、口がぱんぱんになっている。
…なんだか、わくわくが溢れ出ている子供みたいだ。
「……そういえば、去年もみんなで射的やったよな。」
焼きそばを飲み込んで翼が言った。
「部活のみんなで行ったよね。花凛がものすごく上手だったの。」
なんだか去年のことを思い出す。
自分たちで誰が1番景品を取れるかバトルを始め、なんと、適当にバババババーンと撃った花凛がものすごく景品を取り一位となった。
そして、まさかの最下位は翼だったのだ…。
まあ、僕も奇跡的に当たった景品1つだけだったから人のことをあまり言えないけど……。
「今日は、一年前のリベンジだ!水輝に勝つ!!!」
そう言って、大きな笑顔を見せた。
***
屋台のおじさんから射的用の銃を貰う。
1人3発だ。
翼先行で交互に撃つ。
そうルールを決め、翼の1発目が始まった。
「今日は最低でも1つは景品を……」
そう言い銃を向け片目を瞑り構える。
銃の先……狙っているのは……まさかの難しいであろう1番上の段にあるぬいぐるみだった。
星の飾りを頭につけた、可愛らしいうさぎのぬいぐるみだ。
パーンッとコルクが飛び出し……なんと惜しいことにうさぎのぬいぐるみに少しかする。
「あー!!惜しい……」
翼が悔しそうに言う。
だけれど、あの状態だと当たりが良ければ後ろに倒れそうだ。
じゃあ、次は水輝の番だな、と翼がいた場所と交代するように立つ。
……落ちやすそうなものは……あれは!
1番下にある小さなお菓子の箱!
軽そうだから多分当たったら落ちる。
だけれど、箱は意外と小さくて当たるかわからない。
僕は狙いを定め、パンッと音を出し、箱目掛けてコルクが真っ直ぐ飛ぶ。
……しかし、僕が撃ったコルクはお菓子の真横を通過した…。
「…あれ…?」
いい感じだったんだけどな……。
ちょっとだけでも当たって良かったのに…。
その時、隣からくすくすと笑い声が聞こえてきた。
「っ!ちょっとなんで笑うの?!」
「あっ…ふふっ、いや、お前が…いい感じに構えて、ものすごく集中してたのにっ……まさかの…当たらないって…あはは!!」
そんなに面白くないって……。
てか、そんな風に見えていたのか。
少々鈍臭いな………。
僕は少し恥ずかしいのに、隣でまだ笑っている翼。
そんな彼にはい、次翼の番だよ!っと話を変えるかのように言う。
大きな笑いを止め、ああ!!と返事をし、2巡目へといった…。
***
「見ろ!水輝!!このうさぎとてももふもふだぞ!!!」
と言いながら、うさぎの頭を撫でる。
勝負はまさかの翼の勝ち。
最後の最後でうさぎのぬいぐるみを取ることができたのだ。
敵だったのにぬいぐるみが落ちた時は何故が僕も喜んでしまった。
僕は、あれから結局景品を取ることができなかった……。
まあ、翼が楽しかったなら何よりなんだけどね。
…そして、僕らは今少し祭り会場から離れ歩いている。
翼がいいところがあるからついてきてほしいとのこと。すると─
「ここら辺だ!!!」
僕たちが来たのは祭り会場のちょっと歩いたところにある水辺。
そこの階段に腰を下ろす。
「ここから見える花火はものすごく綺麗でな……。会場からは少しは歩くが、その代わり、周りにあまり人もいないのだ!!いわゆる、隠れスポット的な感じだな!!」
翼はドヤ顔で喋る。
確かに周りを見渡せば、人は多くない。
花火だけを見に来たのか、浴衣じゃない人もしばしば。
集団でいるところがあまりおらず、川の流れが感じられるほどだ。
「うん!本当にいいところだ。…でも、なんでこんな穴場隠れスポットを君が知っているの?」
花火が綺麗に見えるいいところがあるからついてきてほしいと言われついてきたけど、僕はこんなところなんて知らなかった。
そう僕が聞くと彼は何かを思い出すかのように言った。
「……小さい頃に、母さんが連れてきてくれて……。その時見た花火はとても綺麗で感動したのを覚えている!だから、もう一度でも同じところから花火を見たかったんだ!」
そう言いながら思い出に浸っているように感じる。
…とても大切な思い出なんだ……。
そういや、去年は花火が始まる前に解散だったっけ?
確か、親戚の多い花凛が家に集まっているからとかなんとか。
花火の時期に合わせて集まってきたそうだ。その時─
ヒューッ、バーン!!!
空高くに大きな花が咲く……。
「うわああ…!!」
翼は大きく目を開けて次から次へと花火を見る。
僕もなんだか見惚れてしまう。
大きな音と、大きな花火。
そして、とても迫力がある。
「綺麗………!!」
目の前が大きなな花火で埋め尽くされる。
ドンドンドン、バチバチ
連続で花火が上がり、花火はもっと迫力を増す。
そんな素晴らしすぎる景色は、僕の思い出を新たに塗り替えていく…。
「……は、こん………かったのに……」
翼が何か言ってる……。
だけれど、花火の音に負けて聞こえなかった。
そして、目を瞑り花火を感じている。
…そんな、彼に僕は1つ提案があった。
「ねえ、翼。本当は休みだけれど、明日みんなで部活やらない?」
僕の言葉にびっくりした顔をしてクスッと笑った。
「俺も、言おうとしていた。みんなで久々に部活したい!」
花火がとても綺麗に見えて、彼もとても眩しく見えて─
「今日は本当にありがとう!!!お前のおかげで大切な思い出になった!!!」
そう言って大きな笑顔を見せた。
改めて作品を見てくださりありがとうございます。最近いろんな方との交流が増えてきて、ドキドク、ワクワクです笑。NOVEL DAYSの方も始めました!そちらの方もぜひよろしくお願いします。次の投稿は約1週間後の予定です。ありがとうございました!




