あと5日─
儚い夕焼けと、広がる海。
7月14日
ザーアザーア
波の音が心地いい。
潮風はとても涼しく気持ちがよく、そしてとても綺麗な夕焼けが見える。
「珍しいよね。水輝が急に今から、海に行こう!なんて言い出すの。」
と、みおが言う。
そう、今僕たちは部活のみんなで海にいる。
最初は翼と2人でもよかったんだけれど、思い出のどれかはみんなと遊ぶのもありかなと言う僕の勝手な想いと、部活終わり海行こうって翼に言ったら花凛が行く!…と言い始めたからちょうどいいかなと。
「…いいじゃないか。こういう日もあって。」
「まあ、確かにね。」
みおが喋り終わると同時に海の方からわーっと笑い声が聞こえる。
「うおっ!……やったな……!じゃあこちらもおかえしだああ!!」
「うわーー!あはは!!」
海の方では、浅瀬で、翼と花凛が水のかけ合いっこ(?)戦い(?)的なことをしている。
制服を捲り上げ、足だけ浸かっている。
楽しそうな2人を見ていると、ふと翼と目が合った。
そうして彼は、ニコッと笑い突然こっちの方に走ってきた。
「え…!え…え……!…え!!」
僕の目の前まで来たら、翼は僕の手を掴み、海に向かって走る。
「ほら!水輝も行くぞ!!」
「え…!ぼ、僕は、だいじょ…………」
大丈夫と言おうとして、止める。
そんなことよりも…翼が楽しそうだった。
パシャッと足が水に浸かる。
…少し冷たくて、心は少し温かかった。
その途端……
「はい。タッチ!水輝が鬼だ!!みんな逃げるぞー!!」
「え?」
「わーい!!鬼ごっこだ〜!!みおちゃんも一緒にやろう〜!!!」
「え!?」
…という流れで突然の鬼ごっこが始まってしまった…。
***
「あと、もう少し……」
鬼ごっこが始まり数分、もう少しで翼を捕まえれそうなところまできた。
でも、さすが役者、体力がある。
だけれど、僕だって負けてられない!!
ほぼ毎日、走って登校しているんだから!!!
そして、僕の手が翼の制服に届きそうになったその瞬間…僕が捕まえようとしたのを避けようとしたのか急なUターンを失敗し、翼が大きく転んでしまった。
「うわぁ!?」
バシャンと大きな水の音を立てる。
「翼!?」
彼は腰から下を浸かり驚いたような顔をしている。
「翼くん!?大丈夫〜!?」
遠くから心配した花凛とみおが走ってくる。
急すぎて僕もびっくりだ。
「だ、大丈夫だ!少し足がもつれただけだからな!!」
と言って、翼はそのまま立ち上がる。
その時にちょうど、花凛とみおも来た。
「翼、本当に大丈夫?」
みおが心配そうに言う。
翼の制服はびしょびしょに濡れてしまった。
「大丈夫だ!!心配させてすまん!!」
そう言って大きな笑顔を見せる。
何故だろう…後ろにある綺麗な夕日のせいか、…眩しいな…。
「…でも、もうそろそろあがろう。時間も遅くなってきたし。」
「うん。そうだね。」
僕がそういうと、みおが賛成する。
そしてみんなで海から出た。
「はい、翼。これで拭いて。」
と、みおが大きめのタオルを翼に渡す。
「ありがとう!!」
翼がタオルを受け取り、拭く作業をすると同時に、僕の隣に立ち夕焼けを見た。
感動しているのか、嬉しいのか、悲しいのか、よく分からない笑顔で夕日を見ている。
「…本当にありがとう。水輝。お前が海に行こうと言ってきてくれて、なんだか、とても嬉しかった。」
翼はゆっくりとあったかい声で言う。
そりゃ翼が行きたいと言った場所。
これも大切な思い出だ。
「ねえ、翼。今年の夏行きたいリストにあった、“星が綺麗に見える駅”ってどこのこと?」
今日必ず聞こうと思っていたこと。
個人的にもその場所には少し興味がある。
僕が言うと翼は目を開き驚いた顔をしている。
「見てくれたんだな。っていうか見ていないと海に行こうとはならんか……。」
普段の僕なら見ていないみたいな言い方……。
まあ、あながち間違ってはないけど……。
「少しかかるんだが、町外れに新しい駅ができたみたいでな。天気が良ければものすごい数の綺麗な星が見れると今話題なんだ!」
翼は目をキラキラさせて話す。
─新しい駅…。
思い出した…。
確か最近、学校でも話を聞くような気がする。
話題になるくらいなんだ。
きっとものすごくいい景色なんだろうな……。
─絶対に翼と行こう…僕は心の中で決意した。
改めて作品を読んでくださりありがとうございます。連載という形で投稿していこうと思っています。ノベルアップ+の方に作品を通して投稿してあります。ぜひ、そちらもよければ目を通してもらえると嬉しいです。次の投稿は1週間後を予定しております。




