とある令嬢の現状
「今日を持ってタンドリー侯爵令嬢との婚約を破棄させてもらう」
煌びやかな照明のもと声を張り上げ宣言をしたのはこの国の王子、カシュールドだ。隣には本来なら婚約者のタンドリー・ローズの私が居るのだがここ暫くは隣には違う女性がついていた。
「このような卒業パーティーで婚約破棄とはどういう了見ですの?婚約破棄というのは隣にいらっしゃるリリアナ様と関係があるのかしら」
扇を広げてさっと顔を覆い隠す。動揺しているがそれを見せないようにはっきりしっかりと告げると王子は眉をひそめて汚いものでも見るような視線をよこす。
「このような場で告げたことは皆んなには悪いと思う。だが、狡猾で賢い君への婚約破棄理由を集めるのに手間取ってしまったからに他ならない」
王子の言葉に従うように立っていた男が一歩前に出る。次期宰相だと噂になっている人だ。
「こちらにいるリリアナ嬢が虐められていると聞き調べた結果、タンドリー令嬢が行っていたと判明いたしました」
「あら、何のことかしら。全く身に覚えがないですわ」
「しらを切るつもりでしょうが証拠は揃っております。まずリリアナ嬢を貶める数々の暴言、こちらは多数の生徒が見聞きしております。そしてーー」
出るは出るは、虐めた証拠のオンパレード。それが本当ならばの話だ。だけど私は一切身に覚えがない。ないのだがこれだけ嘘の証拠が他者からも出てるのだ。と言うことは私は正妃になるだけの人脈なり人望なりが無かったのだろう。
なんの為に今まで厳しい正妃教育に勤しんだか。虚無感に襲われながら諾の言葉をつげた。
「ワタクシは誓ってリリアナ様を貶める行為はしていません。ですが此度の婚約破棄は謹んでお受けいたします」




