拉 致 -Abduction-
【 主人公 視点 】
※展開が速いので注意してください
※基本一人称で書いてあります
※突然、加筆修正いたしますのでご了承ください
それは、突然だった
確かに繋いでいたはずの手は解かれ
確かに感じていた彼の温もりが一瞬で消えた
気付いた時には薄暗い石壁の部屋に私は立っていた。
ここは、とても寒い場所。
窓が小さく、光が部屋を照らすことが無い。
部屋を見回すと、私の目の前に値踏みするような冷たい目をした人々が私を見下ろしていた。
「一時は、召喚したが見失った故に焦ったが、これで何とかなるな」
「しかし、こんな貧相な娘が本当に召喚した天魁星の操者なのか?」
「どうせ、動かすのは我等なのだから問題なかろう」
「精々、役に立ってもらおう」
「こんな地駒族の様な髪色なら、良心も痛まないしな」
とても 冷たい言葉
その言葉が、怖い
とても 蔑んだ声
その声が、怖い
狼炎と違ってこの人たちはとても怖いと感じる。
出来るのなら、関わりたくない。
こんな所に居たくない、ここから逃げ出したい。
でも、私の目の前にある鉄柵がそれを阻んでいる。
なにがどうなっているの?
狼炎はどこにいったの?
召喚って何?
私をここに呼んだのは、この人たちだったの?
じゃ、さっきまでの事は夢?
狼炎は、夢の中の人だったの?
実際は実在していない人だったの?
私は、都合のいい夢を見ていたの?
尽きない疑問。
湧水のように、次から次に沸いてくる。
それと同時に、不安がだんだん大きくなてくる。
でも
あの温もりは本物だった。
あの感触は本物だった。
わからない
わからないよ
ろ、うえん … …
ロウエン、狼炎!
怖いよ
怖くて、不安で、壊れそう … …
狼炎、助けて!
助けて!!