アイス
「ねぇねぇ、コンビニ寄らない?」
「え?なんで?」
「アイス食べたい」
「まあいいよ」
「やった」
嬉しそうな表情でコンビニへ入って行く。
僕も後から着いていって、彼女を探す。するとアイスコーナーの前で難しい顔をしている彼女を見つけた。
「どうしたの?」
理由は分かっていながらもそう聞く。
「いやー何にしようかなってすごい難しい。多分私が食べられるアイスなんて数えられる程しかないからね。ここで失敗したら十一ヶ月後悔するよ」
「なるほどね」
「そんな君は何にするのか決めたの?」
「なんで僕も買う前提なの?」
「結局買うでしょ?」
「まあそうだけど」
いつものやつを探す。
「これかな」
僕はあずき味のアイスを手に取る。
「あはは。君も冗談を言うんだね」
「冗談?これは大真面目だよ」
「えーそうなの?あずきが好きなんてちょっと意外。なんであずきが好きなの?」
「......。これで野菜を食べたことになるから」
「あははは。それこそ冗談でしょ」
「別になんでもいいでしょ。それよりも君はどうするの?」
「んーそうだなー。もうちょっと悩みたいから先に会計しといてくれない?」
「分かった」
僕は先に会計を済ませて外で待つ。
肌寒い風が体を包むのを感じる。
どれぐらいかかるかな、などと考えていたら彼女は思いの外早く出てきた。
「お待たせしました」
「別に」
僕らは再び彼女の家へ向かう。
「ここで問題です。私は何味のアイスを買ったでしょう?」
「わからない」
「私は優しいからね。ヒントをあげるよ」
「その心は?」
「それは君と同じ味」
「......。ヒントになってないじゃん」
「あはは、良かったちゃんとつっこんでくれて」
「なんであずきなんかにしたの?もっと美味しい味あったでしょ」
「私はこれがよかったの!」
何を考えているんだ。
「君が好きな味ってどんなのかなって。ほら食べよ。溶けちゃうよ」
そう言うと彼女は目をキラキラさせながら袋を開ける。
「んー、美味しい!」
僕も一口かじる。
思わず目を瞑ってしまう。
君の声が響く帰り道はやけに心に沁みた。




