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第63話 襲い掛かる鉄の鬼神(3)

 

「くっ!!」


 再び大男の渾身の一撃が降りかかった。

 シーカーはすぐに後ろへと飛びその場から離れた。大男の拳は止まる事なく地面に直撃し、巨大な衝撃と共にその場の床を破壊した。

 破片が飛び散り、シーカーの眼前は煙によって視界が遮られていた。


「うおぉぉぉぉぉぉ!!」

「な、何てパワーだ、さっきよりもーー」


 煙の向こうから赤く光る眼が見えて、それは猛スピードで近づいてきた。煙を切り裂くように、飛び出し再びシーカーを襲う。

 自分の右拳を握りしめて炎を一気に溜める。そして大男が拳を振りかざし直前に迫った瞬間、一気に手を突き出して解き放った。


「もういっちょ喰らえ!!獄炎!!」


 放たれた炎に大男は一気に飲み込まれた。

 シーカーは一瞬の安心を得た。

 だがその時、シーカーの目の前から放たれている炎の渦の中から太い足が突如現れ、シーカーの蹴り飛ばした。


「うゲッ……!?」


 手から放たれた獄炎の渦巻きは吹き飛ばされた事により消滅し、蹴り飛ばされたシーカーは壁に叩きつけられて、めり込んだ。

 その消えていく炎の渦の中からは口の中から黒い煙を吐き出す、平然としている大男が現れた。


「頭への攻撃が効かない……だと……」


 また、頭の部分に攻撃が通り、一定時間の故障が起きると。

 だが、よく傷ついていた頭の部分を見た。


「何!?」


 驚愕した。その皮膚が剥がれて、機械部分が丸出しになっていた頭部が皮膚で塞がっており、修復されていた。

 更に身体全体がバリアのようなオーラが身にまとっており、完全に防御も強化されていた。

 流石にシーカーも笑うしかなかった。


「へへ……卑怯だぜ、そんなの」

「うがぁぁぁぁぁぁ!!」


 再び一気に迫り、シーカーが張り付いている壁へとどう猛な牛のように突っ込んできた。

 身体中ダメージを受けて動ける事が出来ないシーカーの腹を一気に何発も連続殴り始めた。

 1発殴り込むと壁の亀裂が少し広がり、連続して殴る事により、亀裂が徐々に広がっていく。

 無抵抗なシーカーは殴られる度に壁へとめり込んで行き、口からも血が吐き出ている。

 更に止むことのない無慈悲に殴り続けて、シーカー身体がボロボロになっていき、意識を薄れていった。


「うりぃぃぃやあああ

 !!」


 大男は雄叫びを上げて、思いっきり腕を振りかぶってシーカーの顔面目掛けて、一気に振り下ろした。重い一撃がシーカーの顔面にのしかかり、爆発音と言えるほど大きな音が響き渡った。

 そして壁が突き破ったシーカーは壁の外へと飛ばされたしまった。


「がぁああああああッ!!」

「!?」


 ビルは4階。大量の雨が降り注いでいた。

 身体が動かず、ただゆっくりと落ちていくシーカーから見えたのは、大男が赤い目を光らせて勢いよく突き破ったビルの壁を更に破壊して飛び出てきて、一緒に落ちてきた。

 シーカーより遥かに重い大男は、早く落ちてきてシーカーの頭を掴みそのまま勢いよく泥の地面に叩きつけた。


「ぐわッ!!」


 今までにない衝撃が身体全身に遅いかかって、目が大きく開いて全身が痙攣を起こしていた。

 大男は手を離し、ニヤリと笑いながら倒れているシーカーを見下ろしていた。


「う……うぐぁ……」


 大量の雨が降り注ぎ、背中は泥にまみれて、動こうにも動けなかった。

 大男は抵抗出来ないシーカーの足元掴みあげた。


「うぉおおお!!」

「うわっ!!」


 耳に響くほどの雄叫びを上げ、力任せなフルスイングでシーカーを1階へと投げ飛ばした。

 そのまま1階のガラスを突き破り、部屋の奥へと転がって行った。


「ぐっ……やりすぎだろ、お前」


 痛んだ身体を手を震わせながら、起き上がって窓の外を見た。

  大男はこちらを見ていきなり大きく口を開けた。口の中から小さな赤い光の球が形成され、その球は徐々に大きさを増し口に収まらないほど大きなった。


「嘘だろ……これ以上は」


 大男は顔を前に突き出し、その溢れんばかり溜まった赤い光を一気に解放して放出した。

 避けようにも一歩動くのでやっとなシーカーは避けれる事なくその直線で迫ってくる線状光のエネルギーを直接食らった。

 大爆発が起き、辺り一面の瓦礫や鉄の柱などを消し炭にした。ビルの上にいるアルも尻餅をついて大きな振動が一気に伝わってきた。


「な、何!?」


 目の前の床や柱が崩れ始めて、アルは逆の方向へと逃げて行った。

 大男がいる場所は瓦礫が崩れてくる中、口から光線を吐き出した影響で建物の直線上に大きな穴が空いて空洞になってしまった。

 そこにはシーカーの姿は見えず、何処にいるか大男にも分からなかった。


「シーカー!!」


 4階から大声で呼びかけるアル。何が起きたか分からず、シーカーへと呼びかける。

 その声はシーカーには届く事はなく、声が届いたのはあの大男だった。


「ふん!!」

「まさか、今の爆発音……」


 アルは今の爆発音は大男が出した、つまりこの爆発の原因は大男の攻撃だと今知った。

 そしてアルの存在に気づいた大男は腰を屈めて足に力を入れてた。そして地面を凹ましてジャンプし、ビルの4階へといとも簡単に飛び上がった。


「えっ!?」


 その傷が全くついてない大男の姿を眼前に捉えたアルはシーカーは完膚なきまでにやられたと感じて、すぐに後退し拳を構えた。

 大男はアルへとゆっくりと歩き、その距離を徐々に縮めてきた。


「……たぁ!!」


 そしてアルは一歩持って踏み出して、破れかぶれでしゃがみこみ大男の足元を蹴り払おうと、力強く蹴った。

 大男はその蹴りを避ける事もなく、モロに受けた。だが効いている様子もなく、不敵に笑った。


 その頑丈な壁、いや大男を前にして足が震えてすくんでしまった。


「がぁぁぁッ!!」

「ぎゃッ!?」


 大男の巨大な手がアルの小さくて細い首を握りしめ、大男よりも高く持ち上げた。

 足をジタバタさせて抵抗するも、大男は離すことなく天井に勢いよく振り上げて叩きつけた。


「うッ!!」


 叩きつけた衝撃で天井に亀裂が走った。

 手を離し、瓦礫と共に地面にうつ伏せで倒れ落ちた。

 そのまま大男は倒れているアルの腹部分を蹴り飛ばした。重い一撃が腹に加わり、体重を感じさせないぐらい軽く無残な姿で飛んで行った。


「うっ……」


 腹へ加えた一撃がアルに立つ力をなくすには十分な一撃だった。

 倒れているアルから見えたのは、口を大きく開けて、口の中に大量の赤い光の球が集まってきた大男の姿だった。

 シーカーに放った技だが、アルはその技をまだ確認していないため、どんな技なのか全く見当もつかなかった。

 口の赤い光の球は徐々に大きくなり、シーカーの時のように口から溢れそうになった。

 どんな技は分からない。だが、体力がない今、強力な技を喰らったら一溜まりもないと、見るからに分かっていた。

 そして、大男がエネルギーが溜まった口を前方へと突き出した。


「おりゃぁぁぁッ!!」


 放出しようとした瞬間、真横よりシーカーが炎を纏った拳を大男の頰に向けて重い一撃を放った。


「ウガッ!?」


 バリアが張られている中、それを超過するようにダメージを与えた。顔は別の方向へと向き、口の中のエネルギーはアルの直げを避けて上に向けて放ち、天井を貫通させた。

 更に、その放った衝撃で地面が崩れ始めて、大男は逃げる事もせず、固まったまま崩壊に巻き込まれて、瓦礫と共に落ちて行った。

 シーカーはすぐに倒れているアルを抱き抱えてビルの奥へと逃げ、崩壊には巻き込まれなかった。


「シーカー!?」

「何とかもっとくれたか……」


 一旦隅へと隠れて、アルは体力を回復して、元気いっぱいになった。だが、シーカーは息を切らしかけていた。


「助かったわ……ありがとう。それにしても貴方よくあんなの相手にして、よく大丈夫だったわね」

「あぁ……今の技、俺も喰らったさ。でも、炎の刻印の力でバリアを咄嗟に作って何とか耐えきったが、やっぱり痛えもんだな……」


 あの口から放たれたエネルギーの攻撃、ギリギリで軽いバリアを咄嗟に発動した。初めて発動したが、そこそこ守りきれた。


「今、頭に攻撃が通ったわね……」

「一か八かで攻撃したが、やはり頭が弱点だ」


 シーカーはさっきの攻撃した瞬間を思い出した。頭を攻撃した時、やはりダメージが通った。獄炎を放った時は喰らわなかったが、先ほどの拳での攻撃は通った。

 そしてシーカーはある事を思いついた。

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