第45話 狙われしアイドル(4)
開始15分前となるが、何とか盗撮機器などは見つけ出す事は出来た。
その頃、シーカーとSyoも戻ろうとしていたが、Syoや他のメンバーにあるメッセージが届いた。
"Jet3 NO.2使用者に異常あり"と
「くっ‼︎NO2は確か、マクラウドさんのボディーガードだ‼︎1人で行動している所を襲われたか⁉︎」
「だが、ハッキングを守るチップは……」
「相手は予想以上の腕を持っていた。俺のプログラムを簡単に突破された……」
「とにかくその場に行くぞ‼︎直接犯人を捕まえてやる‼︎反応は20階からか」
「あぁ20階だ……って、まさか⁉︎」
Syoが気づいた時にはもう、いなかった。シーカーは1人先に、その犯人がいるとされている20階付近へと走っていった。Syoはすぐに追いかけた。
シーカーはライブよりも、強い奴を求めていた。そして内心、そいつを倒せば仲間になる事を考えていた。
「その犯人を倒してやるさ‼︎Syo‼︎お前は反対側から行け‼︎」
「分かった‼︎それと、相手は俺たちの場所を知って、相手に近づき直接データを操ってくる、気をつけろよ」
「ふん、分かってるって‼︎」
そう言って2人は軽くハイタッチを交わして分かれた。そしえ別々の方向から攻める事にした。
ボディーガードに乗り移った犯人は、そんな事をまだ知らずにノートパソコンを操り、今度はJet3のデータ解析をしていた。
「ヒヒヒヒ……このビルから更なるショーを‼︎」
パソコンのエンターキーを押すと、Syo達のメガネに異常が発生した。
「な、何だこれ?」
メガネからの反応に、エラーが発生した。これにより、居場所が分からなくなった。
「くっ……こんな時に‼︎」
だがシーカーはメガネを投げ捨てて、その犯人がいたとされる20階へと到着した。
そして辺りをゆっくりと警戒しながら、探した。刀を出したいが、ここはセーフフィールド。武器は出せない状態になっている為、辺りを見回すが、人の気配を感じない。
部屋も1つ1つ確認するが、やはりいなかった。
「別の階に逃げたか……」
そう考えながら、メサを再び確認するが、地図にはこの階には写っていなく、別の場所を探そうとした。すると背後からゆっくりと見えない何かが迫って来た。
シーカーが別の階に移動しようと部屋を出た瞬間、目の前の何もない廊下の真正面から突如、ケーブルが首元に刺さった。
シーカーは突然の事に対応出来ず、体の下から石像に変わっていく魔法を食らったように、動けなくなった。
「な、何⁉︎」
「ヒヒヒヒ……いやぁ〜一番厄介な奴を捕獲出来るなんて……」
目の前から聞こえる声。だが、そこには誰も見えない。シーカーはとりあえず声を出した。
「き、貴様……誰だ」
動けないこの状態で、か細い声で話すシーカー。すると目の前から上半身からボディーガードの姿が徐々に現れた。
「貴様が……犯人か」
「ヒヒヒヒ……君の噂は聞いてるよ、シーカー。アルちゃんを襲撃するついでに、君のデータもゲット出来るなんて……嬉しい限りだよ」
「シーカー‼︎」
シーカーが来た方向とは逆の場所からSyoがシーカーの名を叫び急いで走って来た。
すると犯人はその方向に手をかざすと、その進む道に巨大なガラスの壁が現れた。その壁にSyoはぶつかり、ガラスを叩いた。
「シーカー‼︎」
「ヒヒヒヒ……ここから先は僕の許可なしでは通れないよ」
「クソっ‼︎」
犯人は冷静にノートパソコンを地面に起き、あぐらを掻きながら、データの送信を始めた。データの送信が完了すると、シーカーのアバターは犯人が操る事となる。
Syoはそれを知っている為、全力で壁を叩く。
「やめろ‼︎やめてくれ‼︎」
「ヒヒヒヒ……無駄だよ、炎の刻印か……面白い能力だ、僕が有意義に使ってあげるよ」
送信が90%に達し、犯人はゲットしたと確信し、ニヤリと笑った。すると背後より駆け足で迫ってくる足音が徐々に近づいて来る。
犯人はその足音に気づく事はなく、98%になった時、何かが透明な何かが犯人にタックルを食らわし、ボディーガードの姿をした犯人は吹き飛ばされた。その反動でケーブルが外れてシーカーは動けるようになった。
その正体にSyoは驚いた。
「あれは光学迷彩⁉︎誰だ‼︎」
「私だよ、わ、た、し」
光学迷彩が解け、その姿が露わになった。そこにはハッピをまだ着ていたアモレがいた。この危機を聞きつけて、来たのだ。すぐさまシーカーを抱えて距離を取った。
「あれが犯人?」
「あぁ、見た目はあのボディーガードだが、中身は犯人だ、気をつけろ。奴は俺達のデータを盗もうしてくる」
「ヒヒ……」
すると、犯人は拳銃のS&W M39を取り出し、2発の銃声がビル内に響いた。アモレはギリギリで交わした。だが、シーカーはまだ上手く動けず、肩に銃撃を掠った。
「くっ……⁉︎当たったか」
「セーフフィールドなのに何故⁉︎」
肩を抑えるシーカー。そしてSyoはガラス越しにこの状況を整理した。
「セーフフィールドでも撃てるようにプログラムしたのか‼︎」
「ヒヒヒヒ……当たりだよ、それにシーカー。君に撃った弾、それはウィルス弾だよ……」
「ウィルス弾?」
「僕オリジナルブレンドの弾さ、この弾を食らうと数時間後には君は綺麗さっぱり消えている、データ諸共サヨナラバイバイさ」
「ふっ……ふざけやがって‼︎」
「でもライブ終了までに僕の本体を見つけるんだね……僕はこの会場付近の何処かにいる。僕は自分の手でアルちゃんを襲わない。絶対にね」
「最後に1つ聞け‼︎お前は何故アルを狙うんだ‼︎」
「さぁね自己満足って奴かな〜ヒヒヒ、じゃあアディオス‼︎」
そう言うとボディーガードは魂が抜けたように倒れた。そしてSyoを阻んでいたガラスの壁を消滅して壁に張り付いていたSyoは地面に倒れた。
シーカーは自分の肩を抑えながら地面を殴った。
「くっそ‼︎まんまとやられた……‼︎」
「これは厄介な事になったわね……」
「あぁ」
ーーーーーーーーーーーーーー
アルは楽屋へと戻り、ライブの準備を始めていた。シーカーは自分の不甲斐なさに頭を下げていた。
「すまない‼︎お前がいながら‼︎」
「大丈夫よ、 ライブ中はアモレとオーガスターさんがいるんだから。それより自分の心配をしてた方がいいわよ」
「……そうだな」
マクラウドは中止を検討していたが、アルがやると決めたので中止は取り消しとなった。
一応Syoは屋上にスタッフなどには全員ハッキング防止チップを、埋め込んでおいた。
「一応、その屋上にいるスタッフさん達には全員チップを付けているから大丈夫だが……」
「大丈夫、大丈夫気にしないの‼︎もう時間だから私は、屋上に行くね‼︎行こうアモレ‼︎」
「う、うん‼︎」
不安な様子のアモレとオーガスターはアルに着いて行き、屋上へと向かった。
そしてSyoとシーカーは犯人を捜す決意をした。
「さぁ、俺達はどうする⁇」
Syoは静かに腕を組みながら言うと、シーカーはこんな状況にもかかわらず笑っていた。
「犯人逮捕と行くしかねぇな‼︎」




