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51話 再会の老人

 よろしくお願いします。

 ヤンリック町.....自然豊かで作物が多くとれ街並みは鮮やか......そんな町には珍客ともいえる者達が来ており、町の人々を騒がせていた。


 「うわぁ~.......初めて来たけど、綺麗だね~。」

 「帝王様!そんなに首を出されては......何者かに狙われていたらどうするのですか?!」

 「......やっぱり、帝王様が来ると町の人は騒ぐんですね.....」

 「当たり前です。この国の頂点が来訪すればその町にはメリットの方が大きいですし、普段は会うことも出来ませんからね。」

 「えっへん!」


 〈い、いや、そんなに威張られても.......そういえば、町長ってどんな人だろう?......優しい人だと良いけど、貴族だもんね.......〉


 今向かっている町長の屋敷に不安を募らせるフィルス。確かに、帝王は優しいし親しみやすかったが、そう何回も良い方向に転ぶとは思えない。

 フィルスも貴族なので、貴族だからというのは同じなのだが......


 「あぁ、見えてきましたね......」

 「町長ってどんな人なのかしら.....?」

 「う~ん.....まぁ、優しい人だと良いけどね.....」


 騒がしい町を抜け、少し走ったところに町長の屋敷はあった。煉瓦を使い、彩りのある外観はお洒落でレストランやカフェだと言われれば信じてしまいそうで町長宅だというのが少し信じられない。


 「っ!?こ、これは帝王様!ようこそお出でくださいました.......」

 「はいはーい.....挨拶は良いから町長に会わせてくれる?」

 「......は、はい......それが、ですね......」


 馬車を近くに停め、出迎えに来たらしい衛兵にいきなり町長に会わせるように言ったのだが、衛兵はその話題を振られた瞬間、額から冷や汗を流して目を泳がせる。

 その様子にフィルス達は勿論、帝王や執事のマークリウスも首を傾げる。衛兵はそうな帝王の様子に申し訳なさそうな顔をして訳を話すためにゆっくりと口を開く。


 「.......町長は今、建築場で働いております.....」

 「「「「【【.....は?】】」」」」


 〈ん?町長......なんだよね?へっ?は、働いてる?町長が?なんで?〉


 疑問が積りに積もる。町長なのにどうしてか建築現場に居るのだという。まだ、居るのなら良いかもしれないが、問題はその先だ......


 「なんでまた......そんな所に町長が?」

 「『若い者にはまだまだ負けんわい』っだそうです......」

 「.....ん?」


 〈あれ?気のせいかな?聞き覚えのある台詞.....い、いや.....この世界の老人は皆、そういった考えを持っているのかもしれないよね......うん、そうだよね......そうじゃないと、しんどい.....あの人、話噛み合わないんだもん......〉


 少し遠い記憶を思い返しながらそうでないことを祈るフィルス。だが、この世界がどれ程狭いのか思い知らされるのはそれほど遠くない未来であった.....



 「さ、流石にやり過ぎたわい......腰が痛くて痛くてしょうがないわい......」

 「あっ!やっと来たよ......」

 「ね、ねぇ.......フィルス?」

 「.......言いたいことは分かってるけど、なに?」

 「あ、あのおじいさん.....何処かで見たこと.....ない?」

 「......奇遇だね......僕も同じこと考えてた......」


 町長宅へと先にあげられ珈琲やジュースを飲みながら暫く待っていると、衛兵に支えられ、もう片方の手で腰を叩きながら老人が入ってくる。恐らく、この人物が町長だろう。


 「お?おお!これはこれは......帝王殿ではございませぬか!いやはや、お見苦しいところをお見せしました。」

 「うん、別に大丈夫だよ~.....それより、大丈夫なの?腰.....」

 「ええ!大丈夫ですとも!町も一歩一歩、発展へ向けて進んでおりますわい!」


 〈うん、やっぱり、この人だ.......ほ、ほんとに噛み合ってないな.......〉


 前に会ったときと同じく話が噛み合わない老人に呆れた視線を送るフィルス。白髪、白髭で貴族や町長だとは思えない作業服を着た老人はフィルスを見ると少し驚いた顔をして、にっこりと微笑んだ。

 ありがとうございました。

 えっ?終わり方が可笑しい・・・・・?そ、それは私も知っていますよ!す、少し失敗してしまっただけです!・・・・・・・そ、その・・・・・・すみませんでした!

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