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毎度皆様にご迷惑を掛けている勇者のパーティで魔法使いをしていますが、仕方がないので神官さんと賢者様を全力でサポートしています。  作者: 藍さくら


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賢者様が懐かしく慕わしい神官ですが、今日も魔法使いさんのサポートで頑張って生きてます。

好き放題してます。番外編です。

はじめまして。皆様。


魔法使いのロクちゃんにサポートされている神官ことミリア・ユーゲンネスです。


今、目の前ではド修羅場が展開されています。


私も今すぐこの場を立ち去りたいのですが、足がすくんで動けない情けないありさまです。

それにしても、勇者が出奔してから本当に色々ありました。


ずっと虎視眈々と私の外堀を埋めまくっていた神官長がパーティに合流した結果、私も出奔というかせめてパーティを抜けたくなったのですが、埋められた外堀に逃げる先などぺんぺん草しか生えていない荒野でしかなく。

様子を見ている間に、パーティはますます混乱を極め、神官長、学者さん、脳筋剣士が新しい勇者になるとか、神官長がくれた鸚鵡や驢馬に振り回されたり、学者さんがどこからともなく持ち込んできたしゃべる猪や、根っこを生やす不思議な植物のような動物のような謎生物に反抗されたり、新しく魔法属性を持っているメイドが国から派遣されて砦で働きだしたものの、使えないどころかそれが増殖して、謀反やストライキを起こし、パーティ内が分断され、調査中の何ということもないダンジョンで全員瀕死に陥ったり、それを受けて国王陛下肝いりで、新しい勇者として王子、と言っても、王位継承権の無い、間違っても金髪碧眼、乙女の夢!みたいな感じとは正反対の、まったりゆったりした熊さんのような親戚の叔父さんみたいな王子と言ってもいいのか?、でも高齢の国王陛下の息子なら王子だよね、っていう人が勇者として派遣されて、新しく勇者パーティが変遷されなおしたりとか本当に色々あったのですが、それを踏まえてのこのド修羅場です。


新王子勇者の登場で、勇者から降格され、暴走した学者さんが、ロクちゃんに絶賛喧嘩売り中です。


彼にはこの青い炎が見えないんですかね。

骨まで燃やされるよ?


冷や冷やしている私を尻目に、学者さんの暴走は続きます。


「そういう荷物の整理をメイドばっかりにさせるのは可愛そうだと思わないのか?!」


え、メイドってそういう仕事ですよね。


という私の心の突っ込み、皆さん共感してくれると思うのですが。


激昂している学者さん、ロクちゃんの忍耐力の限界を探っているようです。


「私もしていますけど?むしろ貴方がパーティの運営資金で勝手に買って来た謎の壷とか。過剰な食糧とか。メイドさんや侍従だけでは片付け切れないので、神官さんと私、片付けてますよね?」


ロクちゃん?ロクちゃん・・・?

こめかみに青い筋がぴきぴきと隠しきれてませんよ。

黒い尻尾も見えちゃってるよっ!!!


心の声が届く間もなく、学者さんは畳み掛けます。


「俺が言っているのはそういうことじゃなくて!もっと働いている人たちも人間なんだと分かって、寄り添ってやれって言っているんだよ!」


もうやめて!貴方のHPは限りなく0に近いんだよ?!

自殺願望か破滅願望でもあるの?!


「どういうことを言っているんですか?そもそもメイドに出した指示も、私が決めた場所にモノをおいてくれってだけで大した指示してませんよね?」


メイドが可愛そうとか、人に寄り添えとか寄り添えないお前がいうんですか?意味が分からないんですけど?ってロクちゃんの目からビーム出ちゃってるから!


やめて…っ!!


い、胃がきりきりしてきた…。


それにしても、その寄り添って下働きも皆でしよう!俺はしてるよ!発想はどこから出てきたんですか?と内心小首を傾げている内に、更にロクちゃんからのブリザードな空気も読まず、というか、目からビームにも気付きもせずに学者さんが反論します。


「そうじゃなくて自分で動きもせず、指示ばっかり出しているのがよくないといっているんだろ?」


き、貴様が勇者か…!あ、元勇者だったね!

今回の王子の派遣で降格されたけどっ!!


「へー。そうですか」


ロ、ロクちゃん、その一声だけで死人がでるよ?!


「ロ、ロクちゃん!あ、あっちで勇者さんが呼んでたよ?!」


私の決死の一言は、三十六計ロクちゃん引きずって逃げる、でしかない。


無理だ。この争いを私に納めることは不可能だ。

魚は陸を泳げないし、鶏は空を飛べないんだ。

チキンな私を許してください。神よ。


このままでは、この辺り一帯焦土と化します。


いや、正直、もうストーカーばりに外堀埋めて、ちゃっかり婚姻契約書に判子を押させてきた神官長も、結託して色々押し付けてきた学者さんも、使えない魔法属性を持っているメイド達も、脳筋剣士も、もう全部面倒くさいので、この辺一帯まで併せて燃やしてくれても構わないんだけど。

それでも、い、一回引き離して様子を見てみよう。


ロクちゃんのためにもよくないし!!


ロクちゃんのためにもよくないし!!



大事なことなので二回言いました。


自分とロクちゃんに内心で言い聞かせながら彼女の首元を引っ張って砦から離れ、城の方へ足を向けていく。

行く宛もないし、別に呼ばれてもないけどたまたま国王陛下か新勇者様にでも引き合わせたらちょっとは落ち着くだろうか。


「神官さんごめんね?気を遣わせちゃって」


ロクちゃんが思ったより落ち着いた声で謝ってきたので、足を緩める。


「でも、大丈夫だよ。燃やすならヤツだけを高温で骨までヤルから」


きゅるんと黒い瞳を煌かせて可愛く言ってますけど、ヤルの発音違うから。


人はカラアゲには出来ないから。


再び、胃がキリキリしてくる。


それにしても、学者さんは本当に、こんなロクちゃんの本気を感じ取れない残念仕様なのかと思うとがっくりと地に五体投地したくなる。


地面よこんばんわ。

いや、こんにちは?

初めまして?


ああ、解決の糸口が見えない…。と現実逃避し始めた私を責める人なんてこの世にいないと思う。


いや、もうだって無理だもん。

止めれないもん。

ロクちゃんこうなっちゃったら、やるっていったらやるもん。


理性が戻ったら影から色々魔王様とか唆して、決して自分も自分の周りにも手を下させずにやるだけだし。

理性が戻らなかったらさくっと表立ってヤッちゃうだけだし。


うまくロクちゃんを宥めていた賢者様のことがこういう時こそ懐かしく、惜しく思う。


本当に、私には何の手段も残されてないんだ。

話を聞くくらいで収まってくれるかなぁ…。


ああ、どこかにロクちゃんを止められる猛者はいませんか?!


ロクちゃんの旦那さん、こと魔王様を召還して事情を説明して止めるようお願いしてみようかとも思うが、面白がって燃やしちゃう可能性かロクちゃんを炊きつけるか、逆にロクちゃんの理性が戻って隠れて何か二人で企んでついでにこの世に一騒動の可能性の方が濃厚そうで、今ひとつ、どころか今ふたつもみっつも踏み切る勇気はない。

ないったらない。


いや、大事なことだから三度言うけど、本当にこんなパーティも砦ももう燃やしちゃってもいいんだけど。


「はぁっ…」

ついに溜息が口から零れてしまったら、ロクちゃんが歩みを止めて

「神官さん、神官さん、大丈夫だよ?」

と、可愛らしく小首を傾げて微笑んだ。

「殺すと気に病むでしょう?」

「えっ?」

突然の提言に聞き返すと、

「神官さんが。私は気に病みもしないけど。あんな塵芥の一つや二つ。ヤっちゃっても」

なんて、カワイイ顔で悪魔な科白を吐き出した。


顔と言葉が釣り合ってないよ?!

表情や仕草はあざとい程カワイイけど、言葉、言葉にオブラートかかってないよ?


呆然と言われた言葉を反芻している間に、ロクちゃんの中では勝手に結論が出たみたいだ。

「だから、」

両手を取られて握り締められる。

「祝福するね。全力で!」


え?

ん??

祝福?

祝福って言った?今?


聞き間違いかと思って凝視するが、ロクちゃんは静かにじっと私の目を見つめ返して頷いた。

にっこりと笑みを刷いた唇で。

かわいい声で。

優しい呪いの言葉を紡いだ。


「呪うのは、よくないから。全力で祝福するよ。」


ロクちゃんの心の声が、副音声であのゴミ虫のような学者を!って言っていた気がするけど。


「陛下の覚えもめでたくなり、お城の仕事が忙しくなって、出世して、上と下の板ばさみになるくらい忙しくなって、過労死するくらい働かなくてはいけなくなって、私達も程よく引き立ててもらえるくらい必死に働かなければいけないくらい砦の仕事も忙しくなって、で、心の慰めをあのしゃべる猪に求めて、そしたら猪が女の子になって、愛が芽生えて、熱烈に愛されて、10人くらいの子沢山家庭を気付いて、家でも城でも砦でも阿呆なことなんて発言する暇がなくなるくらい忙しくなって、幸せになればいいよ」

と。


息継ぎして?!ってくらい一気に可愛く言い切られた。

忙しくなれって何回も何回も言っているし。

それ、私達に話かける暇もなくなるくらいってことだよね…。

業務連絡もできないっていうのは忙しいっていうか無視っていうか。


はっ!!ゴミ虫だけに?!


閃いたけど確かめる勇気はなく、ロクちゃんの手と目を何度も見返してみるけど、手はしっかりと握られたままだし、目はしっかりと見つめてくるままだし。


本気、ですよね。


そして、今の発言に魔力込めたよね?!

手が光りだしてる。

その手がゆっくりと天に向かい、いくつもの光の珠を生み出す。


シャボン玉みたいにふわふわと舞う光がそれは綺麗で。


まさに、祝福、という形に見えたけど。


それ、のろい…。

ですよ。


先ほどまで私たちや学者さんがいたあたりの方角へふわふわと光の珠が沢山つらなって消えて行くのを呆然と見送りながら、キリキリする胃にそっと手を宛てる。


まぁ、それでも、光が消えていった空は青くて。

雲なんて一つもないくらい綺麗に晴れていて。

輝く空が明るくて。

汚いことが一杯あるはずの世界は、上だけ見るととても綺麗で。

そんな空を写すかのように、ロクちゃんの笑顔が輝いているから。


まぁ学者さんには悪いけど、呪いじゃないからね。

全力で祝福されて。

しゃべる猪と愛に満ちた生活を送ればいいんじゃないかなって。


それでいいかって気分になる。

猪と子供10人ねぇ…。

お幸せに?


後悔はしていませんが、何かと内輪ネタが入っているので伝わらなかったらすみません。とりあえず、しばらくはこちらもまた完結です。

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