幸せだったあの日は…
これは誰も知られる事もないとある母親と赤児の物語
とあるアパートの一室内にて、
「嬉しい。やっと…やっと私は、貴方の家族になれる。」
「あの時家を出たばかりで…ボロボロだった私を拾って、ここまで変えてくれてありがとう。ゲン。」
ゲン「ああ。」
私の名前は【ユキ】。現在18歳。
今隣のソファーに座っている愛する彼…これから父親になるゲンへ、今私が摩っているお腹へ目を向けさせる。
私は今とても幸せ。幸せだった。最悪な環境下で育った両親の家から出て、夜の街の世界を知らない私を偶然見た彼は気に掛けてくれて、私を探しにきた両親の目に入れないように匿うようそのまま3年間手を取ってくれた素敵な彼を。
そう。今私のお腹には…
ユキ「触ってよ。ほら。ここ。ここよ。」
ゲン「あ、ああ。本当に…居るんだ。俺の子が。」
愛するゲンと結んだ結果新たな生命が生まれ、今まさに彼の手が摩っている私のお腹の中にある。
まだお腹はぺったりだけど、これから大きくなる事に初めての子育ての不安よりも、いろんな育児の過程を得て子供が成長していく楽しみの方が優っていたから…
ユキ「うん!これから安定するまで悪阻とか色々と大変になるから、今のうちに子育ての予備知識を得ないと。」
ユキ「だから家事と育児の協力お願いね。【パパ】?」
ゲン「あ、ああ。…。」
一瞬だけ表情が曇り、目も迷っていたゲンの動作を見逃していた。
だから…
ユキ「?どうしたの?ゲン?大丈夫??」
ゲン「あ、ああ。大丈夫。え、えと。大丈夫かなぁ。お、俺…これから父親になるんだし。なんか…うーん。」
ユキ「私だって不安だよ?これから人生始めての出産と育児をするんだもの。」
ユキ「でも私とゲンで力を合わせてやっていけばなんとかなるよ!これまでなんとかなった事いくつかあったでしょ?そう思えばいい。」
ゲン「そ、そうか?う、うーん…。」
ユキ「さぁて、悪阻が来る前に妊娠中の過ごし方と出産時のする事、育児に関するなどなどの子育て予備知識をネットで調べて勉強しなきゃ!」
ゲン「…。」
私は…
翌朝…昼前の時刻にて、
ユキ「………あれ?もうこんな時間?」
ユキ「ゲン?ゲン??」
寝過ぎてしまったのか私は次の日の昼時まで寝過ごしてしまい、私はいつもより静まり返っているアパートの一部屋内でつい彼の名前を呼ぶ。
ユキ「12時。あらら。いけないいけない。寝過ぎてしまったわ。」
ユキ「ゲンは今会社で仕事してるかしら。ごめんねゲン。いつも通りに起きて朝ごはん作れなくて…」
深寝入りしていた私を気遣って仕事へ出ただろうと思った私はベッドから起き上がり、パジャマを脱ぎ服を着てリビングへと向かった。
そこに、
ユキ「え?」
テーブルの上に置かれていた一枚の手紙と緑紙の一部記入済み離婚届。
そして彼の指にはめていた一つの結婚指輪と茶色い封筒。
それこそ…
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父親になる資格も責任も持ちたくないので離婚します。
なので封筒に君への慰謝料として300万が入っています。
取り返しがつかなくなる前に、そのお金で君のお腹の子を堕ろす事を勧めます。
もう君の連絡先は完全にブロックしているので探さないでください。
ゲンより。
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ユキ「嘘…。嘘…でしょ?」
それを見た私はグラっと視界含めて世界が醜く歪み曲がるよう呆然とし、やがて喉の奥から上がってくる吐き気に私は、
ユキ「ゲン…。ゲン…。ゲン…。ゲン…!なんで…。なんで……なんで…なんで!!?」
ユキ「どうして…!?!どうして…!!こんな……うううううう!!!!」
目から涙を、鼻穴から鼻水もいっぱい溢れ出るよう床へ崩れ落ち、私は口からたくさんの嘔吐物を床へシミ痕が残るぐらいに吐き捨てた。
続く。




