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第七十八話 海賊と狼

お久しぶりです。今回こそちゃんと完結します!!

「頼もーう!!」


威勢のいい声とともに、工房の扉が勢いよく開け放たれる。


「いらっしゃい」


 振り返って入口のほうを見ると、そこには見覚えのあるプレイヤーが立っていた。


 名前はエリエザ=エクトラージ。あの頃はまだ今みたいなシステムじゃなかったから武器の受け渡しの時にしか顔を合わせていないけど、それでもなんというか、オーラみたいなものがあるからか記憶に残っている。


 彼女の格好は一言でいうのなら「女海賊」というような見た目だ。長く伸ばした金髪と海賊帽(トランコーン)。青と金色で構成された派手な装備に……背中に背負った薔薇の大槌など、とにかく目立っている。

 結構派手目に作ったつもりだったけど、コーディネート次第で様になるのがアリフラというゲームの懐の広さを表してるみたいで面白い。


 そんな彼女の後ろから、もう一人のプレイヤーが顔をのぞかせている。

 かなり小柄で、長いマントから覗く腕はとても細い。少しクセのある銀色の髪と鋭い犬歯はオオカミのようで、意識的にきりっとした表情を作っているようにも見える。

 とても中性的な見た目をしているし、名前も(こう) 狼真(ろうしん)という男っぽいものだけど、女の子だ。



「どうも」


「よろしく、ユーカリさん!」



 ぺこりと会釈する狼真の後に続いて、エリエザが元気よく挨拶する。



「……エリエザがさん付けしてるの初めて見たな」


「尊敬してるから!」


「そうなんだ?」


 尊敬されるような振る舞いをしている自覚はないけど、そう言われるとまあまあ嬉しい。面と向かって言われたので若干気恥ずかしさが勝ってるけど。


 シダには日ごろからそういうこと沢山言われてるしそこは慣れてるんだけど、他の人からこういう扱われ方をされるのはまた別のことって感じ。

 シダはもう自分の右腕というか、完全に私にとってなくてはならないものみたいな感じになってるのでそういう差なのかな。



「えっと、一応メールでも確認したけど配信しちゃっていいんだよね」


「もちろん! 狼真もそれでいいよね?」


「特に見られて困るものでもないからな」



 そういうことなので、お言葉に甘えて配信をすることにする。

 先ほどの配信は映像と音声を遮断した状態で継続してあるので、もう一度接続して配信を再開した。



「これでよし。配信してもいいみたいだから今回は配信ありでやっていくよ」


『マジか!』

『これは期待』

『わーい!』『ユニーク素材と聞いて』『あれ今回は配信ありか』『花螂?』『すげー』



 コメントが盛り上がりつつある。視聴者数も徐々に増え始めてるし、さすがはユニーク素材。


 

「じゃあ、とりあえず花螂の素材を見せてもらっていい?」


「おっけー!」



 そう言って、エリエザは花螂(かろう)素材をインベントリからまとめて取り出して机に置いていく。


 ユニークモンスターからはかなり多くの素材が手に入ったらしい。二人で倒したわけだし、分け前が多いってことなのかな。

 色々と並べられていく中で、素材は花に関連するものが多いことに気づいた。それと地味に宝石系の素材もある。これはこれで結構使えそうなので選択肢に入れておこう。

 素材は机を埋め尽くすほどの量で、これだけあれば二人の武器を作るには十分すぎるくらいだった。



「それで、こっちがユニーク素材だ」



 二人がインベントリから取り出したのは、複数枚の大きな花弁と、赤くゆらめく数輪の花。

 それぞれ手にとってステータスを確認する。



――――――

花螂の劫花冠(ごうかかん)

花螂エルバガモールの頭部に咲き誇っていた花弁。

強い衝撃によって内部で未知のエネルギーを生成し、それが一定に達すると勢いよく放出するという独特のメカニズムを備える。


所有者:エリエザ=エクトラージ

――――――


――――――

骸灼花(がいしゃっか)

花螂エルバガモールの死後に咲いた赤い花。燃えるように揺らめいているが、熱は帯びておらず、僅かに冷気を放っているようにも感じられる。


所有者:(こう) 狼真(ろうしん)

――――――


『花?』

『エルバガモールってハナカマキリLv100みたいなやつだよな』

『結局あれ出現条件何だったんだ……』

『てか本当にユニークって二人で倒せるんだ』



 エリエザのユニーク素材は花螂の劫花冠。両手で抱えられるほどの大きさの、十二枚の赤い花びらだ。

 このまま花の形に作りなおしてもハンマーらしい見た目になるだろうけど、ただそれだといまエリエザが使っている叛く鉄の薔薇(アポスタシー・ローズ)とほとんど同じになってしまうのが気がかり。


 武器種がハンマーである以上大きくはずすのは難しいけど、そこは工夫とアイデア次第だ。



 狼真のユニーク素材は骸灼花という名前で、彼岸花のような見た目をしている。普通の花と違うのは、花弁が燃える炎のように揺らめいていること。花弁がゆらゆらと揺らめくさまはとても綺麗で、装飾品として飾りたいくらいだけど……素材としての活用法が全然思いつかない。

 なんかそもそも大きさが普通の花より若干大きいくらいなので単純に使いにくいんだよね。


 狼真の武器が比較的素材が少なくて済む短弓であるというのが救いかな。



「ちなみにどういう武器がいいとか要望はある? あと武器の特殊効果もいくつかあるけど」

 

「強いて言うなら植物っぽい要素は欲しいな。特殊効果は[仇花]で」


「うーん、私はちょっとゴージャスな感じにしてほしいかも? せっかく宝石系の素材もあるしね! 特殊効果はどれも捨てがたいけど……[散華]かな! パワーって感じするし!」


「なるほど。植物系の短弓と、ゴージャスな戦鎚ね」



 完成図を想像しつつ、特殊効果も確認。



特殊効果:[散華]

クリティカル及びダイレクトヒットを発生させるたびにカウントが溜まる。

カウントに比例して攻撃力が上がっていき、カウントが12まで上がった次の攻撃は特殊効果を持つ強力な一撃となる。その後カウントは0に戻る。


特殊効果:[仇花]

敵に攻撃を当てることで花が咲き、様々な弱体効果を敵に与える。花の咲いた部位への攻撃はダメージとクリティカル率が上昇する。花はプレイヤーの攻撃が時間経過で散る。



 見た感じ[散華]はクリティカル型の火力を高めるような効果で、[仇花]はデバフと火力補助って感じ。どちらもクリティカル関係の効果を持ってるから組み合わせると強そう。


 正直現時点ではまだどういう方向性で行こうか決まってないけど……せっかく依頼者もここにいることだし、相談しつつやっていくことにしよう。

ここまでの話も割と用語とか変わってたりするので……よかったら……

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― 新着の感想 ―
おやまぁ、お帰りなさい お久しぶりですね ゆっくりと、確実に世界を進め続けてくださいな
おかえりなさい 完結楽しみにしてます。 読み直さなきゃ…
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