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8歳にしてバツイチ! ~お先真っ暗な男爵次男の運命の人は?~  作者: グーグー


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28/28

28.呼び出し ~最終話~

 

 それからしばらくして、アーツに、トルティン公爵家から急なお茶会の招待状が届いた。

 ヴァルは遠征中で、ロス副団長と留守番組のアーツたちは訓練をしていた時だった。


「ロス副団長。僕って、ヴァルと正式にお付き合いしているんですかね?」

「え?なに?そんな認識ないの?付き合ってください、はい、みたいなやり取りは?」

「ないです。ただ、僕の家族には、「息子さんをくださいって言うつもりで来た」って感じのことを言ってくれました。あと、名前で呼び合ってますし、デートもしてます。買い物をしてお茶を飲むくらいですが……」

「キスやハグは?」

「ないです!あ、ハグは一回だけ、プンダリスの事件の後に……」

「事件の後に、苦労をねぎらったハグとかは、恋愛のハグじゃないから、ノーカウントだね」

「え、あ…、はい……」


 公爵家から届いた、急な招待状を見せて、相談する。

「これって、息子をたぶらかす男にお灸をすえるために呼びつけた、とか、そんな感じだったりするんでしょうか?」

「う~ん。そうだねぇ。トルティン公爵家って公爵夫人は王女様なの知ってる?」

「はい、勿論。ヴァルのお母様ですから」

「そう、なら話は早い。浮世離れしたお姫様を想像したら、そのまんまヴァルのお母様だよ。だからお灸をすえるとか、考えもしないと思うな」

「浮世離れした、お姫様……」

「そう、だから、心配するとしたら、別の方向性のことだと思うけど、そこは行ってみてからのお楽しみかな。でも全然、気負わなくていいと思うよ」


 ロス副団長の言葉に、なんと返したらいいのか分からなかったアーツは、とりあえず覚悟を決めた。


 翌日、緊張してカチコチのアーツは、公爵邸に温かく迎えられた。

「アーツね!ずっと会いたかったのに、ヴァルが会わせてくれないから、いないときにこっそり呼び出しちゃえ!って思ったの」

 うふふ、と笑う年齢不詳の女性は、間違いなくヴァルのお母様だった。綺麗なアイスブルーの髪に藍色の瞳、美しい横顔を持っている。

 違いは、雰囲気だけ。

 ヴァルは色味に合った氷のような硬質な雰囲気だけれど、ヴァルのお母様はその色味がゆえに、妖精のような儚さを感じさせる。しゃべらなければ、だけれど。


 結局、どちらも見た目は人間とは思えない美しさだと、アーツは結論づけた。


「アーツには感謝しているの!女嫌いから人嫌いって、どんどん酷くなるかと思われたあの子に愛する人ができたんですもの!」

「あ、はい」


 ここへきてからそんな相槌しか打っていないアーツだったが、場の雰囲気はいい。

 ヴァルから家族の話はほとんど出たことがなかったが、とてもそうとは言い出せる雰囲気ではなかった。

 途方に暮れていたアーツの前に救世主が現れた。


「僕!ドラゴン見たい!ピッピ様っていうんでしょ!」

「おばあ様!僕もみたい!」

 そう言いながら慌ただしく駆け込んできたのは、二人のちびっこだった。


 おばあさま!?ヴァルの兄には5歳と3歳の息子がいる。この二人がまさにその子たちだろう。だからまあ、目の前の妖精のようなひとの孫になるのだが……。


 違和感しかないな。


「まあまあ、なんてお行儀が悪いんでしょう。私の天使ちゃんたちは!」

 そう言って、二人を抱きしめてスリスリしている姿は、おばあちゃんからは程遠かった。


「ごめんなさい。初めまして、ヴァル叔父さんの甥っ子のケントです!」

「ラッセルです」

 かわいい二人組は丁寧にお辞儀をしてくれた。


「かわいい……」アーツが、思わずつぶやく。


 ふたりからも、「「かわいいね」」と返された。

 アーツは、そうなんだよ、と言って、ピッピを肩から降ろして二人によく見えるように差し出した。

「ううん、アーツのことが、可愛いねって言ったの!」


【バタンッ】再び扉が乱暴に開いたと思ったらヴァルが駆け込んできた。


「私の大事な人だよ、だから、かわいい甥っ子でも口説いてはいけないね」

 真顔で冗談のようなことを言うヴァルだ。


「あらまあ、楽しいことになったわね。私の可愛いヴァルは、お茶目さんね」


 アーツは、この公爵夫人は最強だと思った。ヴァルにこのセリフを吐けるなんて!


 結局、お茶会は子どもたちと、その母である次期公爵夫人アリア様も一緒に楽しく賑やかに行われた。

 ピッピが子どもたちに果物で餌付けされて、ヘソ天で昼寝をする頃には、アーツもその場に慣れてきた。


 ヴァルが庭を案内してくれる。

「遠征、早かったですね」

「そうだな、一日目の晩に、アーツと離れていたくないと言ったからか、みな睡眠を削って協力してくれた」


 なんだか、不穏な言葉が混じったが、聞かなかったことにした。

「お疲れなんですね。散歩なんてしているより、早く休んだ方がいいのでは?」

「アーツと一緒にいるから大丈夫だ」


 そんなことを言ってくれるヴァルの疲れを癒そうと、バラの花壇の真ん中にあるベンチから立ち上がって後ろに回る。そして、ギュっと抱きしめた。


 心の中では、ロス副団長に「これはハグのカウントに入りましたよね!」と報告していた。


 ヴァルが、そっと顔を寄せてくる。


 ああ!これは、キスも初カウントされてしまうかもしれません!!


 そんな心の報告会は、ピッピの矢のようなジェット飛行で中断された。

「びっび~!!!」

 寝ている間に置いて行かれたことを怒っているようだ。

 ふたりの距離が縮まるのは、もう少し先になりそうだった。


 Fin


~~~~~~~~~~

8歳にしてバツイチ!~お先真っ暗な男爵次男の運命の人は?~

完結です。最後までお付き合いくださりありがとうございました。


今後はのんびり、アーツとヴァルの日常を、プチストーリーで書きたいなと思っています。

もしよろしければそちらもお付き合いいただければ幸いです。グーグー



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― 新着の感想 ―
面白かったです! 様子のおかしな残念男ヴァルさんには何かする度笑わしてもらいましたがw なんだかんだふたりとも素直だからよいですね 進展がなかなかなさそうなカップルだけど、変なタイミングでつるっと行…
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