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81. ハッカーは呪文を唱える

【ダークウェブ 掲示板ネギバナ】

 ■Blackブラック Maskマスクスレッド


 [つまり、それがonerrorオンエラー!?]


 コジロウが言う" サイトの穴 "について、カケルは率直に聞いた。



 [ペケゾーちゃん、onerrorオンエラーってのは、ただのエラーメッセージだよ

 画像やscriptスクリプトなどの読み込みエラーのこと

 プログラムは普通、scriptスクリプトタグで実行されんだけどよお 

 HTMLタグ属性のonclick、onload、 そしてonerrorオンエラーにも直接スクリプトを埋め込むことが可能なわけ]


 [先輩、日本語でお願いします! 号泣]


 [コジロウ! わたしが説明するって言ったろう!

 世の人間はお前みたいにIQが150もあるわけじゃない]



 [呪文(コード)を唱えることで、魔法プログラムが発動するって言ったろ?

 魔法プログラムを発動するには普通、scriptスクリプトの呪文で発動するんだが、それだと簡単過ぎてセキュリティ側にバレる

 だからセキュリティにバレないような呪文コードを唱えて、魔法プログラムを発動するんだ]


 [ええと、つまり……魔法プログラムの発動条件をごまかすってこと?]


 [そうだ

 scriptスクリプトと唱えた時点で呪文コードを封じられるなら、scriptスクリプト以外のものを発動条件にする

 そこで利用するのが、画像タグのonerrorオンエラーを利用した呪文コードだ]

 [具体的に言うと、存在しない画像ファイルを取りにいけ、って命令を書く

 するとセキュリティ側は、それをただの無害な呪文コードだと思っちゃうんだな]


 [なんとなくわかる

 画像を取ってこいって命令は、どこのサイトでもあるよね?]


「その通り!

 だから、セキュリティは、悪意があるその呪文コードをそのままブラウザに渡してしまう

 そして渡されたブラウザは、なんの疑いもなくその呪文コードを読み上げ、命令通りに画像を取りにいくんだ

 だけどそんな画像はないから取ってこれなくて、エラーメッセージを吐く

 それがonerrorオンエラーだ]


 [そしてそれが魔法プログラム発動のトリガーになるわけよ!]

 コジロウがたまらず発言する。



 [な、なるほど!

 なんとなくのレベルでわかりましたが、上手くいきそうですね!]


 [当然!

 天才のおれ様が書いた呪文コードだからな!]


 [TEPAドライプの防護壁が、どれくらい強固かによるぞ

 デペロッパーツールで覗いてみるか]


 そう書き込むと美月はF12キーを押し、デペロッパーツールを開く。

 サイトの構造や動作を調べるために、ブラウザに標準搭載されている機能である。



 ここで、今まで沈黙していたred treeが発言する。どうやらダークウェブで、セキュリティに関して調べていたようだ。

 [ちょっと待って、みんな!

 ダークウェブにある脆弱性(ゼイジャクセイ)放置サイト一覧を見てたが、TEPAドライブにはコジロウ君が仕掛けたonerrorオンエラーによるJavaScriptジャバスクリプトの実行は通じない!

 実際に攻撃を仕掛けたハッカーがフォーラムに書き込んでる]



 red treeの書き込みに美月が続く…………が、それを読んだカケルの頭上には、クエスチョンマークがいくつも浮かぶことになる……。


 [レスポンスヘッダに、X-WAFの文字があった

 イベントハンドラの文字偽装くらいじゃ、WAFのシグネチャに引っかかって遮断される可能性が高いな

 どうする、コジロウ]


 …………な、なに言ってるんだ、意味わからん。


 [美月ちゃん、そこ覗いてるならわかるっしょ!

 レスポンスのCSPを見てみなよ。unsafe-inlineがまだ有効になったままだ]


 [あ!

 サイト自体は、ページ内でのスクリプト実行を許可したままか!

 WAFの検問さえすり抜ければ直接コードを動かせる!]


 [そゆこと、だからよ

 Packerパッカーで難読化してコードを書いた

 これなら通る!]


 [なるほど……やるじゃん、コジロウ!]




 ………………なにが、なるほどなんだ? さっぱりわからん……。


 ハッカー達が納得してるなか、魔法使いのカケルは一人、頭の上に浮かびまくったクエスチョンマークに押し潰されそうになっていた。



「ベル、この二人の会話をおれでもわかるように訳してくれ……」


『そうでちゅねえ~カケルくんは、ぷろぐらむって、しってまちゅか?』


「ベル! スカトロ画像を検索させるぞ!!」


『やめてください! さいってーーー!!』


「もうちょっと、話のレベルを上げろ!

 高校生レベルで解説頼む」



『わかりました。え~~と…………

 WAFという防護壁は強いけど、パターン化された呪文コードに対して強いだけ。unsafe-inlineがあるってことは、複雑な呪文コードには弱そうなので、奥義Packer(パッカー)呪文コードを複雑しておけば通る!……ってトコでしょうか』


「バカー?」


Packerパッカーです。

 Baseベース64、Hexヘックスエンコードなどを利用して、コードの見た目を完全に別のものに変えます。

 ようするに、ごちゃごちゃ複雑にしてセキュリティの目を誤魔化そうってことですね』


「ふう~~ん…………。


 で……そのやり方で、通りそうなのか?」




【ロシア連邦 ウラジオストク】


 カトウは悩んでいた。

 このリンクを貼ってきた相手……名乗りはしなかったがユーザー名から推測するに、ハッカー集団■Blackブラック Maskマスクのメンバーのようだ。

 ハッカーが送ってきたリンクを踏むなど危険極まりなかったが、相手はなぜか、こちらの本名を知っていた……。そんな奴から、" 個人情報がバレている "と言われたら、確認したくなるのが人のサガだろう…………。

 カトウはおそるおそる、リンクをクリックする。


 その瞬間、門番とも言うべきセキュリティが、踏まれたリンクを検査する。

 門番セキュリティが検査の結果出した答えは…………





 門番『……………ただの文字列だな……問題なし!』

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