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レスバの無双者 -ネットの匿名、全て見破ります!-  作者: シンザン34


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118. 情報提供者X 

 ……昨日の配信でも、そうだった。

 こいつ、タヒ子は……おれの個人情報を正確に知っていた。おれのスマホに電話をかけてきた……。

 いや、おれだけじゃない! 今日謝罪しに行った磯貝寿美子さんの名前も、電話番号も知っていた……!



 ……なんで!!?



 誰だよ、情報提供者って!!


 その提供者は、なんでおれや磯貝さん……いや、ミツボシ電機の富田さんのことも知ってたな。多分、他のレスバ相手の情報も知ってるんだろうな…………。



 だから、なんで!!



 カケルの抱く疑問などお構いなしに、誰かと通話していたタヒ子が、痛恨の一撃ともいえる言葉を発する。


「あら……ペケゾー君、もう神奈川県に戻ってるみたい。

 もう家の前あたりに来てるみたいだけど……散歩配信がてら、捜しに行こっかなあ~~」



 な……!!


 ふ……ふざけんな、おい!!



 カケルは思わず走り出す……! 目的地などない。とにかく、この場所……タヒ子の近くから離れたかった!



「あれ……? 神楽坂君?」


 急に声をかけられ、振り返る……。

 そこに居たのは…………髪の毛ボサボサの中年男性、志村武則(シムラタケノリ)だった。昔……カケルが中学生だった頃に、バカにしてしまった相手。


「あ、えっと……ご、ごめんなさい!」


「……え?」


 過去を思い出し、反射的に謝ってしまうカケル……。一方の志村は、カケルの過去の行いなどすっかり忘れており、この子はなにを言っているのだ……と不思議そうな表情を浮かべる。


 そんな中、カケルのスマホからタヒ子の音声が流れる。



「じゃ、ちょっとね……辺りうろついて、ペケゾー君を捜したいと思いまあ~~す」



「え、なに……?」


 状況が理解できない状態で、志村が問いかけるが…………



「ちがっ……! 違うんですよ、違うんです!」



 カケルは言い訳にならない言い訳を発し、文字通り逃げるように、その場を去る。せっかく外に出ることに抵抗が薄らいだと思ったら、これである……。



 ちくしょお……ちっくしょおーーー!!

 どうなってる……なにがどうなってる!? タヒ子……いや、タヒ子におれの情報を流してる奴は、なんでおれのことが手に取るようにわかるんだ!?


 カケルは泣きそうな顔で、スマホの配信画面を見る。神楽坂家周辺の風景が映し出されており、コメント欄が数十秒ごとに流れる。噂の魔法使いペケゾーへの凸は、視聴者の関心をおおいに掴んだようだ。



 [ペケゾーに凸るなら、ちゃんと許可取ってから動画回せよ]


 [つうかよ、タヒ子お前、ペケゾーの顔わかんの?]



「ああ……そうだった! あはは~~あたし、ペケゾー君の顔知らないや♪

 えっと、どうしよ…………」


 [どうしようじゃねえよwwアホかw]


 [さすが中卒ww顔知らねえのに、どうやって凸る気だったんだwww]



「ちょっと待って……ちょっと待てって、お前ら。

 今、情報提供者のX(エックス)さんに聞いてみるから!」



 じ……情報提供者のXさんって誰だよ、おい!!


 カケルの疑問と焦りをよそに、タヒ子は電話をかけ始める。それを見ていたカケルは…………。



 あ、待てこれ……! チャンスだろ!


 今は惨めな引きこもりだが、カケルは私立の蒼高校を2位の成績で受かったのだ。もともと頭の回転は良い。なにかを閃いたカケルはエイト06を取り出し、ベルに指示を出す。



「ベル! タヒ子……岩田(イワタ)葉亜兎羅舞(ハアトラブ)の通話履歴を調べろ!

 今現在通話してる奴は誰だ? そいつの名前と電話番号!」



 返答をしたベルは、ただちに在在センにアクセスし、情報を持ってくる!



 岩田(イワタ)良平(リョウヘイ)

 電話番号 09×1▽76□602



 …………ん? 岩田……?


「おい、ベル……岩田良平の家族構成を調べてくれ。

 岩田良平とタヒ子って、ひょっとして……兄弟じゃないのか?」



『……はい、そのようです。

 岩田良平が兄で、岩田葉亜兎羅舞は妹です』


 ……そういうことか。

 ……………………さて……。



 カケルは立ち止まる……立ち止まりながら、エイト06に映し出された良平の電話番号を見つめる。

 カケルはタヒ子がいう情報提供者のXに電話をしようと思っていた……なぜ自分の個人情報をタヒ子に渡すのかと。


 だけど…………どんな人なんだ。

 タヒ子は見た目だけならヤンキーそのものだった。高校時代にはオレオレ詐欺の受け子(正確には未遂)をやって逮捕もされている。

 その兄貴か…………やっぱ、ヤンキー? やだぞ……文句言ったら、百倍文句言ってくる奴は…………。いや、文句だけならまだいい……自宅に殴り込んでこられでもしたら、たまったもんじゃない!!

 …………どうする?



「Xさんから、ペケゾー君の写真きたんで、これを頼りに探しまあ~~す!」


 無情にも配信画面から流れ出る、タヒ子の声。



 ふ……ふっざけんな!! なにが写真だ、ごらぁ!!!



 カケルは衝動的と言っていい動作で、自身のスマホに岩田良平の電話番号を打つ……!


 くっそ……! 次から次へと、おれの情報流しやがって~~!

 …………おれがレスバで相手の個人情報晒した時って、相手はこんな気持ちだったのかな……。




 ………………………………ん?


 ……待てよ、おい…………


 まさか…………。



 良平に電話をかけているカケルのスマホには、呼び出し音が鳴り響いている。


 まさか……まさか、こいつ…………!



 呼び出し音を聞きながら、カケルの頭には、最悪の事態が想像される……!

 呼び出し音は鳴り響いたまま……出る気配はない。


 …………知らない番号からの着信は出ない人か? まあ、おれもそうだけど……。



 カケルは発信を切る…………。



「ベル、タヒ子のスマホの受信履歴を調べてくれ。

 たった今、画像ファイルを受信したはずだ……そしてそのファイルは、スマホから送られてきてるはず…………。

 画像ファイルを送ったスマホの機種と電話番号を教えろ」



『はい、たしかにスマホから画像データを受信しています!

 それを送ったスマホの番号は、8+62●26△699。

 使ってる機種は…………』




『8e+6』



 通称エイト06……! 神となったヤオヨロズと交信できるスマホ!

 やはりいた……!! おれ以外でも、それを持っている人物!!

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