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レスバの無双者 -ネットの匿名、全て見破ります!-  作者: シンザン34


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102. 脱ヒキへのお誘いパート2

「む、娘って……えっと、その…………」


「そのままの意味だよ、カケル君……。

 まあ例えるなら、そうだな…………スターウォーズのベイダー卿とルーク・スカイウォーカーの関係みたいなものだな」


「す、スターウォーズって……」


「ん? 知らんかね……スターウォーズ。

 わたしは大好きなんだ、あのシリーズ」


「いや、知ってますけど……」同じく大好きだけど…………某ネズミ会社に買収されるまでは……。


「娘は暗黒面に堕ちてしまってね」


 ……AI専制派の言い分を聞く限りは、娘さんのほうが正しいように思えるけど…………。

 というか、これ…………ひょっとして、ただの親子喧嘩……?

 下らん争いに巻き込まれてるだけのような気がしてきた。



「…………娘さんとは……仲悪いんですか?」


「フフ……嬉しくない質問だが、答えねばなるまい。

 仲は悪い。ここ数年……娘の声は、動画でしか聞いたことがないくらいにね」


「すみません……」


「君が謝ることではない。親である、わたしの責任だ」


「………………」



「さて……そろそろ電話を切らせてもらうよ。

 カケル君、先ほど言ったこと……忘れないでくれたまえ」


「……娘さんが暗黒面に堕ちた話?」


「ハハハ♪ そうじゃない。


 …………化け物と雛鳥(ヒナドリ)の話だ」



「世の中をひっくり返す化け物は、最初は雛鳥の様におとなしい……」


「そうだ……。君はAI専制派の理想を正義だと思っていないか?

 少なくとも、専制派が人間社会に害を成すとは思っていない」


「……はい」


「今はそれでいい……だが、いずれ気づく…………彼らが……いや、ヤオヨロズが創り出そうしている未来が、どれほど危険かがね」



 そう言い終わると、カマリ・橋本はカケルとの通話を切った。


 …………無言で通話終了の画面を見つめているカケル。

 やがてホーム画面に戻ると、椅子に座ってくつろいでいるベルに向かって指示を出す。


「ベル、AI専制党党首、橋本佐代の情報をくれ」


『ふぇ……ふぁい! 少々お待ちください』


 急に声をかけられたベルは、すっとんきょうな声を出しながら、在在センへとアクセスする。



 ポオ~~ン



 ゼータのグループチャット、ブラマス四銃士の部屋に誰かが書き込んだようだ。

 ブラマス四銃士の部屋……コジロウが作ったグループチャットである。その名前の通り、一ノ谷家とレスバトルを繰り広げた、コジロウ、美月、大輔、そしてカケルが入室できる部屋だ。



 [ペケゾーちゃん、いる?

 AI専制党の動画見た?

 ぶっちゃけどうよ?

 おれ様的には、だからなに? って感じなんだが]


 [ああ、自分もそんな感じっす!

 平等な社会つくりたいって、なんかありきたりっつうか……]




『マスター、橋本佐代さんの情報です』


「あんがと」

 カケルはゼータを見つつ、ベルが持ってきた橋本佐代の個人情報を覗いてみる。


 千葉県の生まれか。父親は……やはりカマリ・橋本か。母親は瑠璃亜(ルリア)。珍しい名前だなと思ったら、日本人とフィリピン人のハーフか……。カマリさんはどう見てもアフリカ系だし、ひとり人種のテーマパークって感じだな……たしかに動画で見たAI専制党党首、橋本佐代の顔は、アジア人ともアフリカ人とも、場合によっては白人よりの顔にも見えた。


 カケルがAI専制党党首のデータを眺めていると、グループチャットには美月と大輔が来て書き込みを始める。



 [こん、お前らもそんな印象か

 わたしと大輔も、そんな感じだ

 AI専制派って、そんな脅威かあ? って思う]


 [あれ……大輔さんって、グルチャにはまだ書き込んでないけど]



 [こんばんは

 今、美月さんとファミレスに居るんだ

 今、一緒にAI専制党の動画見てた]


 [おいコラ!

 なにデートしてんだよ!]


 [で、デートじゃないよ!

 同じ稲田大学で、場所も近いから

 夕食とってただけで]


 [けっ! 仲良くなりやがってよお~~]



 [みんなでいつか、食事したいね]

 そう言ったのは、■red treeこと赤木大輔。



 [ああ、オフ会とかやりてえよな

 おれも東京見物とかしたいし……

 なあなあ、東京でオフ会やらね!?

 一ノ谷家潰した、四銃士のオフ会!]



 …………え!?


 とは、カケル。



 [ああ、いいな!

 みんなには直接会って、礼を言いたかったしな

 今度やろうよ、オフ会

 カケルもいいだろ? 

 お前神奈川住みだし、東京にはすぐ来れるだろ]



 ち……ちょっと待てい!



 [お……おれ、引きこもりだから

 外に出れない……]


 もえさんも、そうだったけど…………

 どいつもこいつも引きこもりを簡単に外の世界に誘いやがってえ~!

 そんなホイホイ外に出れたら苦労しないっての!



 [ペケゾーちゃあん、外でろや!

 他人はお前のことなんて、気にしてねえっての!]


 [そうだぞ、カケル

 彼女いるだろ、勇気を出せって!」


 [いや、コジロウ君、強制はよくないよ

 ペケゾー君、自分のペースで頑張るのが一番だよ]



 [今、ファミレスで大輔に窘(トガ)められた

 すまんな、カケル

 お前は、お前のペースで頑張ればいいと思うよ]


 ……大輔と美月がフォローを入れる。

 それを神奈川の地から眺めるカケル……。



 そりゃ……いつかは外に出て、脱ヒキしなきゃいけないんだろうけどさ…………それを今求められても……。


 …………脱ヒキ……。


 カケルの脳裏に、それは重くのしかかる……。

 いつかは、しないといけない…………では、そのいつかとはいつだ!?


 ……わからない………………いや、今だろ……。

 いつかはしないといけないんだ……しなければ、一生引き籠り…………。




 今やれよ……!!


 恋人のもえから誘いがあったろ?

 ブラマスのメンバーからも、お誘いがあったはずだ……!


 外に出る理由は揃ってる!


 外に出ろよ…………夜ではなく、昼の外に……!!


 みんなが待っててくれている…………今、外に出ないで、いつ外に出るんだ……!!



 心の奥底で……何者かが、ずっと叫んでる!

 カケルは耳を塞ぎたい…………だけど声は、頭の中に響き渡る!!


 や……やめてくれ! 

 夜と違って昼間は、人がいっぱいいる……知り合いにでも会ったら…………引きこもってる惨めな自分を見られてしまう……! 恥ずかしい…………嫌だ……みっともない自分を見られるのは……。




 …………じゃあ、一生引き籠ってるのか?



 ……………………それも嫌だ。

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