プロローグ編023/【芦柄 吟侍天美(あしがら ぎんじあまみ)】とは・・・
では、【芦柄 吟侍天美】の事を少し語ろう。
彼女の一族は【芦柄 吟侍】に大恩がある。
一族が滅びるのをすくわれた返しても返しきれない恩があり、一族としては、【芦柄 吟侍】に恩を返そうと言う動きがある。
その中でも彼女は突出した才能を示し、【芦柄 吟侍】の名前を継いだ。
だが、男子6名よりは上回っているものの、女子の中では一番格下であるという劣等感を持っている。
【芦柄 吟侍】の名前を広めるため、【芦柄 吟侍】を超える偉業を示さねばならないと思いながらも、女子の中では最下位という体たらくだと彼女は思っていた。
そんな彼女に対して、数名の男達が声を掛ける。
『【芦柄 吟侍】の名を受け継ぐ者とお見受けしたが・・・
女性だったとは・・・』
『女性でも、その技量は、【芦柄 吟侍】を超えるとされる。
確かにただ者ではなさそうな雰囲気だ』
『お手合わせを願いたいと思っている。
それは可能だろうか?』
『我々は【芦柄 吟侍】をリスペクトしている。
それを超えたいと常日頃思い、精進している』
などと【吟侍】を尊重しつつも、勝負を挑もうとしている。
【芦柄 吟侍天美】は、
『自分は、【芦柄 吟侍殿】の【後継】を名乗るレベルに達しておりません。
ですが、末席に連なる【名代】として、敵対しようとする者には対応させていただきます。
貴方方は、【芦柄 吟侍殿】に敵意がありますか?
ありませんか?』
と聞いた。
男達は、
『無い。
先ほども述べた様にリスペクトしている。
力は我々より弱いかも知れないが、彼の為した偉業は我々が出来る様なものではなかった。
力の強さは関係ない。
大事なのは、その者が何を為したか。
彼は我々が為し得なかった偉業を成し遂げた。
それが全てだ。
だから我々は彼をリスペクトしている。
だからこそ、力を試したい。
彼の名を継ぐ者がそれに足る者かどうか?
我々は彼をリスペクトしても貴女をリスペクトした訳ではない。
我々ごときがとも思うが、我々は彼の名を継ぐ者がそれに相応しいかどうか見定めさせていただきたいと思っている。
それではいざ、尋常に勝負』
と言い、勝負を挑もうとした時、
チンっ・・・と言う音がして、
『・・・【結果顕現】・・・
【時】と【空間】の概念を飛び越え、結果が現れる』
と【芦柄 吟侍天美】は、つぶやいた。
男達、数十名は斬られ倒れた。
彼女は何をしたのか?
【超神速】でぶった斬ったのか?
それとも【時】を止めて斬ったのか?
どちらも違う。
斬ると言う行為は目標に対して、それを斬ろうとする軌道がある。
だが、そう言うそれに至るまでの【時間】、そこに至るまでの【移動距離】と言う概念そのものをすっ飛ばして、斬られたと言う【結果】がそこにいきなり顕現されたため、途中経過は存在しない。
つまり、完全に防ぎようのない【斬撃】。
それを彼女はやってのけたのだ。
それでも彼女は、
『・・・自分は・・・弱い・・・
この様な単純なものしか、自分には出来ない・・・
自分は未熟だ。
もっと精進せねば・・・』
と謙遜した。
【芦柄 吟侍】より圧倒的に強い男達十数名を瞬殺よりも早く倒しておきながら、それでも足りないと嘆く彼女。
男達は、
『見事・・・
貴女は強い・・・』
と言って果てた。
【芦柄 吟侍天美】は、
『いや・・・
自分は弱い。
最弱だ・・・』
とつぶやくのだった。




