巨大な闇組織
ウィリアムスが何処に居るのか…… 。
『アサシン』の本拠地は一体何処にあるのか…… 。
それを必死に捜した。
しかし、闇の世界で生きて来たジンでさえも見つけ出せなかった。
そしてジンは、一つの方法を思いついた。
その頃、中国に居る大島警部の下に、日本の警視庁から連絡が入った。
「なるほど、やはりそうか。
いやぁ、助かったよ。
連絡有難う」
大島警部は、電話を切った。
その内容は、大島警部の思っていた通りの事だった。
田辺康太という名前の男は、警視庁に存在してはいたのだが全くの別人で、三年前に突然の死でこの世を去っていたのだ。
その頃日本に来ていたジンが、同じ様な年頃だった田辺警部補に成り澄まして『アサシン』を調べていた。
そして殺し屋達を潰していけば、最後はボスであるウィリアムスの所まで行けると思っていたのだ。
そうは言っても、田辺警部補は大切な後輩である。
凶悪事件の危険な捜査も、いつも一緒にやっていた。
そんな後輩が、命にも及ぶ危険な事をやろうとしている。
それを黙って見過ごす事は、大島警部には出来なかった。
何か決断をした大島警部は、黙って狭い路地に入って行った。
するとキャサリンが、
「何処に行くつもりなの?」
そう尋ねた。
その時、口に手を当てて静かにする様に指示した大島警部は、
「お前達、そこに居るんだろう。
俺達を護衛する為に隠れているんだろうが、もういいから出て来てくれ。
お願いがあるんだ」
そう叫んだ。
すると、飛行機の中に居た三人が物陰から出て来た。
「我々は影の様な存在ですので、この様な事は…… 」
一人がそう言うと、突然土下座をした大島警部だった。
そして、
「どうかお願いだ。
俺達を、お前達のボス…… いや、それが駄目なら、ジン達の所に案内してくれ」
そう言って、頭を下げた。
しかし、三人は黙って首を横に振った。
それでも、大島警部は止めなかった。
「頼む、ジンは俺の大切な後輩だ。
あいつが危険な事をやろうとしているんだ。
お前達も、その事は知っているだろう。
俺はジンを、いや、田辺警部補の事を黙って見過ごす事は出来ないんだ。
奴は、俺の家族も同然なんだ。
だから、お願いだ。
頼む、なあ…… 頼むよ」
大島警部は必死に訴えた。
その行動に、初めは驚いて見ていたキャサリンだったが、大島警部の後ろに座って、同じ様に頭を下げていた。
それに気付いた大島警部は、
「キャサリン、お前までこんなことを…… 」
そう言うと、
「いいのよ。
田辺警部補は、私にとっても同じ存在なの。
だから…… 」
キャサリンはそう言うと、
「私からもお願いします。
あなた達も、大切な人が危険な目に遭うと言う事が解っていたら、どうにかしたいって思うでしょ。
田辺警部補は、私達に取って家族同然なの。
お願いだから、田辺警部補の所に連れて行って下さい」
と、三人に向かって言った。
チャイニーズマフィアの三人は、困った顔でお互いを見ていた。
しかし、一人の男が大島警部の所に来ると、
「私達は、その田辺警部補が何処に居るのかは本当に知りません。
だが、その人が『アサシン』を捜しているのなら、その本拠地を探しているのならば…… 。
そこに行く方法は、無いわけではありませんが」
その言葉に、大島警部は頭を上げて尋ねた。
「それは…… 俺達はどうすれば…… 何でもするよ、なあぁ」
すると、
「それでは、今からアメリカに飛びましょう。
話の内容はその飛行機の中でお話しします」
男は大島警部にそう言うと、一緒に居た二人に向って叫んだ。
「今から行う事は、私個人の私用で本部には関係の無い事だ。
行きたくない者は、黙って去っても構わない。
これは私自身の…… この大島を信じて行う行動だ」
その言葉に、他の二人は顔を見合わせていたが、男の方を向いて言った。
「我々も行きます。
人には、それぞれ大切な人が居ます。
私達に親方様が居る様に…… 」
その言葉を聞いて、男は頷いた。
そして、
「よし、それでは空港に向いましょう」
男がそう言うと、近くに居たタクシーに乗り込んで空港に向った。
そこには、チャーター機が待っていた。
「これは…… 」
驚いた大島警部がそう言うと、
「先程は、私も組織には内緒にと思っていましたが、親方様は我々を心から大切にするお方です。
やはり裏切れない。
それで、連絡を取りました。
すると、『ジンとフェイをどうか宜しくお願いします』とのご伝言と、飛行機を用意して頂きました」
大島警部は、チャイニーズマフィアの強さの根源を見た思いだった。
飛行機に乗り込んだ五人は、早速作戦を行った。
「私は『コウ』といいます。
そして、もう一人の男性は『トク』といいます。
この女性は『リン』といいます」
先ずは自己紹介から始まった。
そして、
「近いうちにアメリカで、某会社の社長が暗殺さるという情報が入っています。
その依頼を受けた殺し屋が、『アサシン』という情報も入っています。
我々はそこを見張ります。
その時に、その殺し屋の足取りを調べれば本拠地が解ります」
「しかしその殺し屋たちが、そう簡単に本拠地の事を教えるのか」
大島警部がそう言うと、
「我々はその道のプロですので、我々にお任せ下さい」
そう自信有り気に答えた。
そして、五人の乗ったチャーター機はアメリカに向った。
アメリカに着いた五人はホテルに向った。
各部屋に入ると、机の上に一枚の紙が置かれていた。
それには、これから行うミッションの指示が書かれていた。
大島警部とキャサリンは、同じ様な内容だった。
〔貴方方は警察です。
遵って警備の方に徹底をお願いします。
もし、何か有りましたら、そこに居るコウにお尋ね下さい。
それでは、夜の九時にロビーに来て下さい。
それまでは自由にしていて構いません〕
内容は、それだけだった。
「馬鹿にしやがって。
しかし、とにかくコウについて行くしかないな。」
大島警部はキャサリンを呼んだ。
そして二人は夜まで待った。
指定された様に、五人は9時にロビーで集合した。
そのまま、外に用意してあった車に乗り込んで、車は別のホテルに向った。
そこの二十二階の部屋に、『アサシン』がターゲットにしている某会社の社長が泊っていた。
五人は車の中で待った。
暫くすると大島警部がコウに向って言った。
「すまないが、トイレに行ってもいいか。
俺もだが、此処に居るキャサリンは女性だし、こんな事は初めての事だ」
「解りました。
それでは、これを持って行って下さい。
それと、トイレはターゲットの泊っているホテルに行って下さい」
コウは、探知機を大島警部とキャサリンに渡した。
「いいのか。
俺達が行っても怪しまれないかな」
「大丈夫です。
『アサシン』の殺し屋はあなた達の事を知りません。
それに中に入った後は、もうこちらには戻らないで下さい。
そのまま警備をお願いします。
ミッションが終了したら、こちらから御呼び致します」
大島警部は少しムッとしたが、キャサリンを連れてホテルに向った。
「落ち着け、落ち着け、これも田辺の為だ。
しかし、俺達はあいつ等にとっては御荷物なのか。
まあ、悔しいけど従うしかないな」
「そうよ、私達は自分の仕事をしましょう」
二人はホテルに入ると、トイレに向かった。
「しかし、大きなホテルだな」
大島警部がそう呟くと、後ろから黒い者が襲って来て押さえ付けた。
「クッ、誰だお前は…… 」
その時、その黒い者の押さえた力が少し緩くなった。
「先輩…… 」
そこに居たのは、田辺警部補だった。
「田辺か。
お前、此処で何を…… もしかして、お前も…… 」
「お前もって、先輩も『アサシン』の情報から此処へ」
「そうだ。
『アサシン』を追えば、お前やフェイに会えると思ってな。
それで、チャイニーズマフィアの力を借りて此処まで来た」
「先輩、僕はもう田辺警部補じゃありませんよ。
ジンという名前の殺し屋です」
「解っている。
お前の事はすべて調べた。
だがな、お前は俺の大事な後輩だ。
黙って危険な目に遭わせる訳にはいかないんだ。
とにかく、その手を離せ」
「駄目です。
僕はやらなければいけないのです」
「お前一人じゃ、どうにもならないだろう」
「まあ、今回はあなた達が、『アサシン』の本拠地を突き止めるまで黙って観ています。
僕の情報では、今回の『アサシン』の殺し屋は二人です。
それも中国人で、カンフーの使い手らしいです。
銃は使わずに、刃物を使う殺し屋だそうです」
「お前、やたらと詳しいな」
「先輩、すいません」
ジンはそう言うと、大島警部の後頭部を殴った。
そして、大島警部が怯んだ隙に窓から居なくなった。
大島警部は、その事をコウ達に伝えた。
それを聞いたコウ達は、リンを車に残してホテルに入って来た。
「『アサシン』が仕事を終えたら、その殺し屋達の後を追います。
殺し屋が中国人なら、奴等は必ず本拠地に戻ります。
中国人は白人等とは違って、組織に対して忠誠心が強いからです」
大島警部は、コウの言葉に深く頷いた。
その時、リンから連絡が入った。
「たった今、ターゲットの部屋の電気が消えました」
コウとトクは、ターゲットの居る二十二階に向った。
大島警部とキャサリンは、ホテルの外に出て殺し屋達が出て来るのを待った。
「警察が殺人を黙認するとは、世も末だな」
大島警部はそう呟いた。
そうしていると、ホテルの非常口から二つの黒い影が現れた。
そして、それを追う様にもう二つの黒い影も出て来た。
大島警部とキャサリンの二人は、リンの運転する車に乗り込むとさっきの影を追いかけた。
殺し屋達はビルの屋上に向った。
そこには、パラグライダーが二機置いてあった。
「あいつ等、あれで逃げる気だ。
トク、気付かれない様に探知機を打ち込め!」
「はい、解りました」
トクは、背中に担いでいたライフルを手にすると、殺し屋の一人に向けて引鉄を引いた。
サイレンサーで殆ど無音で放たれた探知機は、殺し屋の背中にあるリュックに命中した。
それに気が付かずに、殺し屋はパラグライダーで飛んで行った。
「よし、今から車に戻って追跡だ」
コウとトクは、リンの車に戻った。
車内では、設置されたナビ画面に映った探知機の印を追いかける様にと、リンに指示を出していた。
だがその後方からは、一台のバイクが着いて来ていた。
暫く走ると、殺し屋達の動きが止まった。
「あいつ等、本拠地に着いたみたいだな」
コウがそう言うと、気付かれない様に車をその近くに停車させた。
周りは人けの無い林に囲まれ、建物らしき物は何も無かった。
助手席に設置されたパソコンを操作すると、車の後方のハッチが開いて、中から機材が出て来た。
「何だこれは?」
大島警部とキャサリンは、その機材を見て驚いた。
「今から衛星からの電波を受信して、あの殺し屋達の入って行った場所を調べます」
すると、殺し屋たちが姿を消した付近がパソコンのモニターに映し出されると、その場所の地面が透過されて建物の内部が映し出された。
「周りは森なのに、その地下にこんな要塞があったとはな。
これじゃ、誰も解らないはずだ」
「そうね、私達FBIも虱潰しに探したけど全く見つからなかった」
大島警部とキャサリンは、映し出された内部の大きさに驚いていた。
確かにその内部は要塞その物だった。
入り口には、切った丸太が積まれている事でカモフラージュとなっていた。
暫くすると、2・3人の機関銃を持った男達が出てきて、丸太付近の警備を始めた。
「コウ、あの見張りをどけて中に侵入しようか」
大島警部の言葉に、コウは少し笑って言った。
「その必要はないですよ。
ホテルからずっと、車の後ろをバイクが着けて来てましてね」
コウの言葉に、大島警部は丸太の積まれている所を見た。
すると、そこにいた見張りの姿が無くなっていた。
「コウ、お前解っていたのか」
「すいません、気を悪くしないで下さい。
あなたに渡した探知機は、実は盗聴器なのです。
大島警部にジンが接触するだろうからと、親方様に言われていました」
その言葉に、怒りを露にした大島警部が、コウを殴ろうとした。
しかし、それを止めに入ったトクが、
「親方様は、あなた方もジン様も助けたいのです。
それで、我々をここに寄こしたのです。
それを解って下さい」
その言葉に、耐える大島警部だった。
そして、
「それじゃ、俺達も中に入ろうか」
大島警部がそう言うと、コウが後ろから荷物を出してきた。
「これに着替えて下さい」
そう言って手渡したのは、防弾チョッキやガード付のズボンに、機関銃や手榴弾などといった戦闘装備だった。
それに着替えた三人は、キャサリンとリンを残して要塞に向った。
入口の見張りはもちろん、中に居る筈の警備兵達も、既に殺されていた。
「倒れている男達を辿って行けば、田辺が居る場所まで行けるんだな。
しかし、あいつは強いな」
大島警部は、ブツブツ言いながら進んで行った。
先頭を進んでいたコウが、トクに向かって、
「お前はむこうを調べて来てくれ。
俺と大島は、こっちを見て来る」
そう指示を出した。
トクが指示通りに進むと、突然後方の通路が閉ざされた。
「どういう事だ」
そう言って振り返ると、横から二人の男が現れた。
それは、探知機を付けた殺し屋だった。
「忘れ物でも取りに来たのか」
そう言った殺し屋は、手に持っていた物をトクに向かって放り投げた。
それは、トクが銃で撃った探知機だった。
「お前達、解っていたのか」
「こうでもしないと、お前達は捕まらないだろうからな。
全て、ボスの命令だ」
そう言った後、トクに向って攻撃を仕掛けた殺し屋達だった。
トクも武術には自信があった。
狭い通路での三人の格闘は、目にも止まらぬ速さだった。
しかしニ対一の戦いである。
一瞬の隙を衝かれたトクは、攻撃を受けてその場に倒れた。
「くそっ、相手が一人なら…… 」
「まあ、そうだな。
こちらも一人なら負けていたかもな。
そろそろ、お前にはここで死んでもらう」
そう言って、殺し屋の一人がトクの背後から押さえて来た。
そしてもう一人が、トクの前で刃物を振り下ろした。
次の瞬間、トクの喉から鮮血が吹き出てきた。
その頃大島警部とコウは、その事を知らずに中へ進んで行った。
外ではキャサリンとリンが、車中から周りを監視しながら三人を待っていた。
すると、突然車の上に大きな衝撃を受けた。
リンは直ぐに機関銃を取ると、身構えて外に出た。
しかし、車の上にも周りにも、人影は発見できなかった。
「誰も居ない様だけど、さっきの音は何かしら」
そう呟いたリンに、車内で銃を構えていたキャサリンも胸を撫で下ろした。
「何か動物でも居たのかしら」
そう言ったキャサリンに、目の前に居たリンが何かを言おうとした。
すると、車のドアの所でリンが倒れた。
その背中からは、夥しいほどの鮮血が噴出していた。
その状況に、恐怖で動けなくなったキャサリンだった。
車の外には、ナイフを持った黒い格好の男が二人立っていた。
それは、『アサシン』の殺し屋だった。
二人の殺し屋は、動けなくなったキャサリンに襲い掛かって来た。
だが、一人の殺し屋がその場で倒れたのだ。
その殺し屋の後頭部には、ナイフが刺さっていた。
残りのもう一人が、キャサリンから離れて周囲を見渡したが、誰も居ない。
その時だった。
林の中から何かが飛んできたかと思うと、それは殺し屋の額に突き刺さった。
それは、ナイフだった。
そして、林の中から黒いボディースーツの者が姿を現した。
それを見たキャサリンが、慌てて銃を構えた。
すると、目の前の黒装束の物が被っていた物を脱ぎながら言った。
「私ですよ、フェイです」
目の前には、フェイが立っていた。
「あ、イタリアであの二人と一緒に居た、あのチャイナドレスの女性」
キャサリンは銃を下した。
「ここは危険です。
あなた達が来た事を、アサシンは既に解っています。
キャサリンさんは、この車でここから離れて下さい。
むこうに行けば、ワン大人とチェン大人が居ますので、後の事は私に任せて下さい」
フェイはそう言うと、要塞の方に向って走って行った。
キャサリンも、言われた通り車を走らせた。
そして二人の待つ所に辿り着くと、そこには要塞を囲むほどの軍隊が集まっていた。
驚いて立ち尽くすキャサリンの前に、ワンが姿を現した。
「警察の方、無事でしたか。
後は、わし達に任せて下さい」
ワンはそう言うと、傍に居た幹部にキャサリンの介護を命じた。
一方、大島警部とコウは、要塞の中にある部屋に入った。
「ここは何処だ。
だだっ広いだけで何も置いていないぞ」
そう言いながら周りを見る大島警部に、
「ここは殺し屋達のトレーニングをする場所です。
大島、気を付けて下さい。
周りから出てきましたよ」
コウが言った。
その言葉通り、周りから体格の良い男達が出て来た。
「俺も、日本の警察では名の知れた武道家だ。
大丈夫だよ」
「それを聞いて、安心しました」
二人が話していると、目の前の殺し屋達が襲い掛かって来た。
コウも大島警部も、培ってきた得意の武術で戦った。
「さすが、大島。
刑事だけあって強い」
「コウだって、カンフーの達人だよ」
そう言いながら、二人は殺し屋達を蹴散らして行った。
「ここの殺し屋達は、数は居るけど中身はそれ程でもない様だな。
チャイニーズマフィアの様に、固い絆で結ばれていないからだろうな」
「そうですね。
『アサシン』はそれだけの組織です」
そう話していた。
すると、一発の銃声が鳴った。
「コウ、大丈夫か。
奴等め、銃で撃ちやがった」
大島警部の前に、コウが倒れていた。
「大島、すみません。
俺に構わず、先に行って下さい」
コウがそう言った。
しかし、
「そうはいくか。
お前は、俺が担いで行くから安心しろ」
大島警部はそう言って、コウを肩で担いだまま走った。
だが殺し屋の一人が目の前に現れると、そのまま蹴り飛ばした。
「痛いな、こいつ……
だがな、柔道家の握力は強いんだぜ……」
殺し屋に蹴られながらも、その足を掴んだ大島警部は、得意の柔道でその殺し屋を投げ飛ばした。
そして、再びコウを担いで走りだした。
そんなコウも、服の中から銃を取り出して殺し屋達を撃ちまくった。
だが、最後の銃声が鳴った時、コウは動かなくなった。
殺し屋の銃弾が、コウの体を貫いていたのだ。
「コウ、コウ、ちくしょう。
コウ…… 」
コウを横に降ろすと、必死に身体を揺さぶった。
しかし、コウは死んでいた。
「ちくしょうっ! こいつ等っ!」
コウの銃を取った大島警部は、周りに向かって撃ち捲くった。
そして、トレーニング場から出て行った大島警部だったが、部屋の外には機関銃を持った男達が待っていた。
次の瞬間、一斉に乱射される銃弾を、瞬時に交わしながら通路の隅に逃げ込んだ大島警部だった。
「もう、これまでか。
田辺、何処に居るんだよ」
そう呟く大島警部だったが、次第に銃声が少なくなっていった。
恐る恐る殺し屋達の方を見ると、機関銃を構えている男達の数が減っていた。
いや、その場で倒れていたのだ。
その殺し屋達の額や胸には、ナイフが深く突き刺さっていた。
そして最後の一人が倒れた時、一人の男が姿を現した。
「先輩、ここは俺に任せて、早く逃げて下さい」
そこに居たのは、ジンだった。
すると、
「田辺、そうはいかないよ。
俺も一緒に行く。
何かの役に立つだろうからな」
そう言って、大島警部は立ち上がった。
だが、
「先輩、僕は恩師の仇を討ちに行くのです。
先輩は、キャサリン警部を守ってやらないといけないでしょ。
今頃は敵に囲まれていますよ。
早く行ってやって下さい」
ジンの言葉に、大島警部は悩んだ。
「しかし、お前一人では…… 」
そう言った大島警部に、
「僕は大丈夫です。
この日の為に修行してきたし、修羅場も潜って来たんだ。
さあ、早く行って下さい」
と、優しくジンが言った。
「わかった」
大島警部は、来た道を戻って行った。
それを見届けたジンは、更に先に進んで行った。




