表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/17

巨大な闇組織

 ウィリアムスが何処に居るのか…… 。

 『アサシン』の本拠地は一体何処にあるのか…… 。

 それを必死に捜した。

 しかし、闇の世界で生きて来たジンでさえも見つけ出せなかった。

 そしてジンは、一つの方法を思いついた。



 その頃、中国に居る大島警部の下に、日本の警視庁から連絡が入った。

「なるほど、やはりそうか。

 いやぁ、助かったよ。

 連絡有難う」

 大島警部は、電話を切った。

 その内容は、大島警部の思っていた通りの事だった。

 田辺康太という名前の男は、警視庁に存在してはいたのだが全くの別人で、三年前に突然の死でこの世を去っていたのだ。

 その頃日本に来ていたジンが、同じ様な年頃だった田辺警部補に成り澄まして『アサシン』を調べていた。

 そして殺し屋達を潰していけば、最後はボスであるウィリアムスの所まで行けると思っていたのだ。

 そうは言っても、田辺警部補は大切な後輩である。

 凶悪事件の危険な捜査も、いつも一緒にやっていた。

 そんな後輩が、命にも及ぶ危険な事をやろうとしている。

 それを黙って見過ごす事は、大島警部には出来なかった。

 何か決断をした大島警部は、黙って狭い路地に入って行った。

 するとキャサリンが、

「何処に行くつもりなの?」

 そう尋ねた。

 その時、口に手を当てて静かにする様に指示した大島警部は、

「お前達、そこに居るんだろう。

 俺達を護衛する為に隠れているんだろうが、もういいから出て来てくれ。

 お願いがあるんだ」

 そう叫んだ。

 すると、飛行機の中に居た三人が物陰から出て来た。

「我々は影の様な存在ですので、この様な事は…… 」

 一人がそう言うと、突然土下座をした大島警部だった。

 そして、

「どうかお願いだ。

 俺達を、お前達のボス…… いや、それが駄目なら、ジン達の所に案内してくれ」

 そう言って、頭を下げた。

 しかし、三人は黙って首を横に振った。

 それでも、大島警部は止めなかった。

「頼む、ジンは俺の大切な後輩だ。

 あいつが危険な事をやろうとしているんだ。

 お前達も、その事は知っているだろう。

 俺はジンを、いや、田辺警部補の事を黙って見過ごす事は出来ないんだ。

 奴は、俺の家族も同然なんだ。

 だから、お願いだ。

 頼む、なあ…… 頼むよ」

 大島警部は必死に訴えた。

 その行動に、初めは驚いて見ていたキャサリンだったが、大島警部の後ろに座って、同じ様に頭を下げていた。

 それに気付いた大島警部は、

「キャサリン、お前までこんなことを…… 」

 そう言うと、

「いいのよ。

 田辺警部補は、私にとっても同じ存在なの。

 だから…… 」

 キャサリンはそう言うと、

「私からもお願いします。

 あなた達も、大切な人が危険な目に遭うと言う事が解っていたら、どうにかしたいって思うでしょ。

 田辺警部補は、私達に取って家族同然なの。

 お願いだから、田辺警部補の所に連れて行って下さい」

 と、三人に向かって言った。

 チャイニーズマフィアの三人は、困った顔でお互いを見ていた。

 しかし、一人の男が大島警部の所に来ると、

「私達は、その田辺警部補が何処に居るのかは本当に知りません。

 だが、その人が『アサシン』を捜しているのなら、その本拠地を探しているのならば…… 。

 そこに行く方法は、無いわけではありませんが」

 その言葉に、大島警部は頭を上げて尋ねた。

「それは…… 俺達はどうすれば…… 何でもするよ、なあぁ」

 すると、

「それでは、今からアメリカに飛びましょう。

 話の内容はその飛行機の中でお話しします」

 男は大島警部にそう言うと、一緒に居た二人に向って叫んだ。

「今から行う事は、私個人の私用で本部には関係の無い事だ。

 行きたくない者は、黙って去っても構わない。

 これは私自身の…… この大島を信じて行う行動だ」

 その言葉に、他の二人は顔を見合わせていたが、男の方を向いて言った。

「我々も行きます。

 人には、それぞれ大切な人が居ます。

 私達に親方様が居る様に…… 」

 その言葉を聞いて、男は頷いた。

 そして、

「よし、それでは空港に向いましょう」

 男がそう言うと、近くに居たタクシーに乗り込んで空港に向った。

 そこには、チャーター機が待っていた。

「これは…… 」

 驚いた大島警部がそう言うと、

「先程は、私も組織には内緒にと思っていましたが、親方様は我々を心から大切にするお方です。

 やはり裏切れない。

 それで、連絡を取りました。

 すると、『ジンとフェイをどうか宜しくお願いします』とのご伝言と、飛行機を用意して頂きました」

 大島警部は、チャイニーズマフィアの強さの根源を見た思いだった。

 飛行機に乗り込んだ五人は、早速作戦を行った。

「私は『コウ』といいます。

 そして、もう一人の男性は『トク』といいます。

 この女性は『リン』といいます」

 先ずは自己紹介から始まった。

 そして、

「近いうちにアメリカで、某会社の社長が暗殺さるという情報が入っています。

 その依頼を受けた殺し屋が、『アサシン』という情報も入っています。

 我々はそこを見張ります。

 その時に、その殺し屋の足取りを調べれば本拠地が解ります」

「しかしその殺し屋たちが、そう簡単に本拠地の事を教えるのか」

 大島警部がそう言うと、

「我々はその道のプロですので、我々にお任せ下さい」

 そう自信有り気に答えた。

 そして、五人の乗ったチャーター機はアメリカに向った。

 アメリカに着いた五人はホテルに向った。

 各部屋に入ると、机の上に一枚の紙が置かれていた。

 それには、これから行うミッションの指示が書かれていた。

 大島警部とキャサリンは、同じ様な内容だった。

〔貴方方は警察です。

 遵って警備の方に徹底をお願いします。

 もし、何か有りましたら、そこに居るコウにお尋ね下さい。

 それでは、夜の九時にロビーに来て下さい。

 それまでは自由にしていて構いません〕

 内容は、それだけだった。

「馬鹿にしやがって。

 しかし、とにかくコウについて行くしかないな。」

 大島警部はキャサリンを呼んだ。

 そして二人は夜まで待った。

 指定された様に、五人は9時にロビーで集合した。

 そのまま、外に用意してあった車に乗り込んで、車は別のホテルに向った。

 そこの二十二階の部屋に、『アサシン』がターゲットにしている某会社の社長が泊っていた。

 五人は車の中で待った。

 暫くすると大島警部がコウに向って言った。

「すまないが、トイレに行ってもいいか。

 俺もだが、此処に居るキャサリンは女性だし、こんな事は初めての事だ」

「解りました。

 それでは、これを持って行って下さい。

 それと、トイレはターゲットの泊っているホテルに行って下さい」

 コウは、探知機を大島警部とキャサリンに渡した。

「いいのか。

 俺達が行っても怪しまれないかな」

「大丈夫です。

『アサシン』の殺し屋はあなた達の事を知りません。

 それに中に入った後は、もうこちらには戻らないで下さい。

 そのまま警備をお願いします。

 ミッションが終了したら、こちらから御呼び致します」

 大島警部は少しムッとしたが、キャサリンを連れてホテルに向った。

「落ち着け、落ち着け、これも田辺の為だ。

 しかし、俺達はあいつ等にとっては御荷物なのか。

 まあ、悔しいけど従うしかないな」

「そうよ、私達は自分の仕事をしましょう」

 二人はホテルに入ると、トイレに向かった。

「しかし、大きなホテルだな」

 大島警部がそう呟くと、後ろから黒い者が襲って来て押さえ付けた。

「クッ、誰だお前は…… 」

 その時、その黒い者の押さえた力が少し緩くなった。

「先輩…… 」

 そこに居たのは、田辺警部補だった。

「田辺か。

 お前、此処で何を…… もしかして、お前も…… 」

「お前もって、先輩も『アサシン』の情報から此処へ」

「そうだ。

『アサシン』を追えば、お前やフェイに会えると思ってな。

 それで、チャイニーズマフィアの力を借りて此処まで来た」

「先輩、僕はもう田辺警部補じゃありませんよ。

 ジンという名前の殺し屋です」

「解っている。

 お前の事はすべて調べた。

 だがな、お前は俺の大事な後輩だ。

 黙って危険な目に遭わせる訳にはいかないんだ。

 とにかく、その手を離せ」

「駄目です。

 僕はやらなければいけないのです」

「お前一人じゃ、どうにもならないだろう」

「まあ、今回はあなた達が、『アサシン』の本拠地を突き止めるまで黙って観ています。

 僕の情報では、今回の『アサシン』の殺し屋は二人です。

 それも中国人で、カンフーの使い手らしいです。

 銃は使わずに、刃物を使う殺し屋だそうです」

「お前、やたらと詳しいな」

「先輩、すいません」

 ジンはそう言うと、大島警部の後頭部を殴った。

 そして、大島警部が怯んだ隙に窓から居なくなった。

 大島警部は、その事をコウ達に伝えた。

 それを聞いたコウ達は、リンを車に残してホテルに入って来た。

「『アサシン』が仕事を終えたら、その殺し屋達の後を追います。

 殺し屋が中国人なら、奴等は必ず本拠地に戻ります。

 中国人は白人等とは違って、組織に対して忠誠心が強いからです」

 大島警部は、コウの言葉に深く頷いた。

 その時、リンから連絡が入った。

「たった今、ターゲットの部屋の電気が消えました」

 コウとトクは、ターゲットの居る二十二階に向った。

 大島警部とキャサリンは、ホテルの外に出て殺し屋達が出て来るのを待った。

「警察が殺人を黙認するとは、世も末だな」

 大島警部はそう呟いた。

 そうしていると、ホテルの非常口から二つの黒い影が現れた。

 そして、それを追う様にもう二つの黒い影も出て来た。

 大島警部とキャサリンの二人は、リンの運転する車に乗り込むとさっきの影を追いかけた。

 殺し屋達はビルの屋上に向った。

 そこには、パラグライダーが二機置いてあった。

 「あいつ等、あれで逃げる気だ。

 トク、気付かれない様に探知機を打ち込め!」

「はい、解りました」

 トクは、背中に担いでいたライフルを手にすると、殺し屋の一人に向けて引鉄を引いた。

 サイレンサーで殆ど無音で放たれた探知機は、殺し屋の背中にあるリュックに命中した。

 それに気が付かずに、殺し屋はパラグライダーで飛んで行った。

「よし、今から車に戻って追跡だ」

 コウとトクは、リンの車に戻った。

 車内では、設置されたナビ画面に映った探知機の印を追いかける様にと、リンに指示を出していた。

 だがその後方からは、一台のバイクが着いて来ていた。

 暫く走ると、殺し屋達の動きが止まった。

「あいつ等、本拠地に着いたみたいだな」

 コウがそう言うと、気付かれない様に車をその近くに停車させた。

 周りは人けの無い林に囲まれ、建物らしき物は何も無かった。

 助手席に設置されたパソコンを操作すると、車の後方のハッチが開いて、中から機材が出て来た。

「何だこれは?」

 大島警部とキャサリンは、その機材を見て驚いた。

「今から衛星からの電波を受信して、あの殺し屋達の入って行った場所を調べます」

 すると、殺し屋たちが姿を消した付近がパソコンのモニターに映し出されると、その場所の地面が透過されて建物の内部が映し出された。

「周りは森なのに、その地下にこんな要塞があったとはな。

 これじゃ、誰も解らないはずだ」

「そうね、私達FBIも虱潰しに探したけど全く見つからなかった」

 大島警部とキャサリンは、映し出された内部の大きさに驚いていた。

 確かにその内部は要塞その物だった。

 入り口には、切った丸太が積まれている事でカモフラージュとなっていた。

 暫くすると、2・3人の機関銃を持った男達が出てきて、丸太付近の警備を始めた。

「コウ、あの見張りをどけて中に侵入しようか」

 大島警部の言葉に、コウは少し笑って言った。

「その必要はないですよ。

 ホテルからずっと、車の後ろをバイクが着けて来てましてね」

 コウの言葉に、大島警部は丸太の積まれている所を見た。

 すると、そこにいた見張りの姿が無くなっていた。

「コウ、お前解っていたのか」

「すいません、気を悪くしないで下さい。

 あなたに渡した探知機は、実は盗聴器なのです。

 大島警部にジンが接触するだろうからと、親方様に言われていました」

 その言葉に、怒りを露にした大島警部が、コウを殴ろうとした。

 しかし、それを止めに入ったトクが、

「親方様は、あなた方もジン様も助けたいのです。

 それで、我々をここに寄こしたのです。

 それを解って下さい」

 その言葉に、耐える大島警部だった。

 そして、

「それじゃ、俺達も中に入ろうか」

 大島警部がそう言うと、コウが後ろから荷物を出してきた。

「これに着替えて下さい」

 そう言って手渡したのは、防弾チョッキやガード付のズボンに、機関銃や手榴弾などといった戦闘装備だった。

 それに着替えた三人は、キャサリンとリンを残して要塞に向った。

 入口の見張りはもちろん、中に居る筈の警備兵達も、既に殺されていた。

「倒れている男達を辿って行けば、田辺が居る場所まで行けるんだな。

 しかし、あいつは強いな」

 大島警部は、ブツブツ言いながら進んで行った。

 先頭を進んでいたコウが、トクに向かって、

「お前はむこうを調べて来てくれ。

 俺と大島は、こっちを見て来る」

 そう指示を出した。

 トクが指示通りに進むと、突然後方の通路が閉ざされた。

「どういう事だ」

 そう言って振り返ると、横から二人の男が現れた。

 それは、探知機を付けた殺し屋だった。

「忘れ物でも取りに来たのか」

 そう言った殺し屋は、手に持っていた物をトクに向かって放り投げた。

 それは、トクが銃で撃った探知機だった。

「お前達、解っていたのか」

「こうでもしないと、お前達は捕まらないだろうからな。

 全て、ボスの命令だ」

 そう言った後、トクに向って攻撃を仕掛けた殺し屋達だった。

 トクも武術には自信があった。

 狭い通路での三人の格闘は、目にも止まらぬ速さだった。

 しかしニ対一の戦いである。

 一瞬の隙を衝かれたトクは、攻撃を受けてその場に倒れた。

「くそっ、相手が一人なら…… 」

「まあ、そうだな。

 こちらも一人なら負けていたかもな。

 そろそろ、お前にはここで死んでもらう」

 そう言って、殺し屋の一人がトクの背後から押さえて来た。

 そしてもう一人が、トクの前で刃物を振り下ろした。

 次の瞬間、トクの喉から鮮血が吹き出てきた。

 その頃大島警部とコウは、その事を知らずに中へ進んで行った。

 外ではキャサリンとリンが、車中から周りを監視しながら三人を待っていた。

 すると、突然車の上に大きな衝撃を受けた。

 リンは直ぐに機関銃を取ると、身構えて外に出た。

 しかし、車の上にも周りにも、人影は発見できなかった。

「誰も居ない様だけど、さっきの音は何かしら」

 そう呟いたリンに、車内で銃を構えていたキャサリンも胸を撫で下ろした。

「何か動物でも居たのかしら」

 そう言ったキャサリンに、目の前に居たリンが何かを言おうとした。

 すると、車のドアの所でリンが倒れた。

 その背中からは、夥しいほどの鮮血が噴出していた。

 その状況に、恐怖で動けなくなったキャサリンだった。

 車の外には、ナイフを持った黒い格好の男が二人立っていた。

 それは、『アサシン』の殺し屋だった。

 二人の殺し屋は、動けなくなったキャサリンに襲い掛かって来た。

 だが、一人の殺し屋がその場で倒れたのだ。

 その殺し屋の後頭部には、ナイフが刺さっていた。

 残りのもう一人が、キャサリンから離れて周囲を見渡したが、誰も居ない。

 その時だった。

 林の中から何かが飛んできたかと思うと、それは殺し屋の額に突き刺さった。

 それは、ナイフだった。

 そして、林の中から黒いボディースーツの者が姿を現した。

 それを見たキャサリンが、慌てて銃を構えた。

 すると、目の前の黒装束の物が被っていた物を脱ぎながら言った。

「私ですよ、フェイです」

 目の前には、フェイが立っていた。

「あ、イタリアであの二人と一緒に居た、あのチャイナドレスの女性」

 キャサリンは銃を下した。

「ここは危険です。

 あなた達が来た事を、アサシンは既に解っています。

 キャサリンさんは、この車でここから離れて下さい。

 むこうに行けば、ワン大人とチェン大人が居ますので、後の事は私に任せて下さい」

 フェイはそう言うと、要塞の方に向って走って行った。

 キャサリンも、言われた通り車を走らせた。

 そして二人の待つ所に辿り着くと、そこには要塞を囲むほどの軍隊が集まっていた。

 驚いて立ち尽くすキャサリンの前に、ワンが姿を現した。

「警察の方、無事でしたか。

 後は、わし達に任せて下さい」

 ワンはそう言うと、傍に居た幹部にキャサリンの介護を命じた。



 一方、大島警部とコウは、要塞の中にある部屋に入った。

「ここは何処だ。

 だだっ広いだけで何も置いていないぞ」

 そう言いながら周りを見る大島警部に、

「ここは殺し屋達のトレーニングをする場所です。

 大島、気を付けて下さい。

 周りから出てきましたよ」

 コウが言った。

 その言葉通り、周りから体格の良い男達が出て来た。

「俺も、日本の警察では名の知れた武道家だ。

 大丈夫だよ」

「それを聞いて、安心しました」

 二人が話していると、目の前の殺し屋達が襲い掛かって来た。

 コウも大島警部も、培ってきた得意の武術で戦った。

「さすが、大島。

 刑事だけあって強い」

「コウだって、カンフーの達人だよ」

 そう言いながら、二人は殺し屋達を蹴散らして行った。

「ここの殺し屋達は、数は居るけど中身はそれ程でもない様だな。

 チャイニーズマフィアの様に、固い絆で結ばれていないからだろうな」

「そうですね。

『アサシン』はそれだけの組織です」

 そう話していた。

 すると、一発の銃声が鳴った。

「コウ、大丈夫か。

 奴等め、銃で撃ちやがった」

 大島警部の前に、コウが倒れていた。

「大島、すみません。

 俺に構わず、先に行って下さい」

 コウがそう言った。

 しかし、

「そうはいくか。

 お前は、俺が担いで行くから安心しろ」

 大島警部はそう言って、コウを肩で担いだまま走った。

 だが殺し屋の一人が目の前に現れると、そのまま蹴り飛ばした。

「痛いな、こいつ…… 

 だがな、柔道家の握力は強いんだぜ……」

 殺し屋に蹴られながらも、その足を掴んだ大島警部は、得意の柔道でその殺し屋を投げ飛ばした。

 そして、再びコウを担いで走りだした。

 そんなコウも、服の中から銃を取り出して殺し屋達を撃ちまくった。

 だが、最後の銃声が鳴った時、コウは動かなくなった。

 殺し屋の銃弾が、コウの体を貫いていたのだ。

「コウ、コウ、ちくしょう。

 コウ…… 」

 コウを横に降ろすと、必死に身体を揺さぶった。

 しかし、コウは死んでいた。

「ちくしょうっ! こいつ等っ!」

 コウの銃を取った大島警部は、周りに向かって撃ち捲くった。

 そして、トレーニング場から出て行った大島警部だったが、部屋の外には機関銃を持った男達が待っていた。

 次の瞬間、一斉に乱射される銃弾を、瞬時に交わしながら通路の隅に逃げ込んだ大島警部だった。

「もう、これまでか。

 田辺、何処に居るんだよ」

 そう呟く大島警部だったが、次第に銃声が少なくなっていった。

 恐る恐る殺し屋達の方を見ると、機関銃を構えている男達の数が減っていた。

 いや、その場で倒れていたのだ。 

 その殺し屋達の額や胸には、ナイフが深く突き刺さっていた。

 そして最後の一人が倒れた時、一人の男が姿を現した。

「先輩、ここは俺に任せて、早く逃げて下さい」

 そこに居たのは、ジンだった。

 すると、

「田辺、そうはいかないよ。

 俺も一緒に行く。

 何かの役に立つだろうからな」

 そう言って、大島警部は立ち上がった。

 だが、

「先輩、僕は恩師の仇を討ちに行くのです。

 先輩は、キャサリン警部を守ってやらないといけないでしょ。

 今頃は敵に囲まれていますよ。

 早く行ってやって下さい」

 ジンの言葉に、大島警部は悩んだ。

「しかし、お前一人では…… 」

 そう言った大島警部に、

「僕は大丈夫です。

 この日の為に修行してきたし、修羅場も潜って来たんだ。

 さあ、早く行って下さい」

 と、優しくジンが言った。

「わかった」

 大島警部は、来た道を戻って行った。

 それを見届けたジンは、更に先に進んで行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ