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ごんぶとエルフ転生~人間に搾取された異世界で魔王になった~  作者: 白咲犬矢
ごんぶとエルフ魔王誕生編
4/14

Part4 ごんぶとエルフvs盗賊

初めての戦闘…(´・ω・`)

1/17 改稿しました。


 朝目が覚めるとやたらと丁寧に布団が掛けられていた……

 いや、むしろこれは縛られているのだろうか?

 寝相が悪すぎて縛られた可能性も考えつつ、周囲を見渡すと、

ドン・ダバサと目が合った。


「よう! 大将、目が覚めたか?」


「……おはようございます…俺、そんなに寝相が悪かったですかね?」


「んっ? こいつぁ傑作だ! おう、おめぇら、エルフが目を覚ましたぞ!

おもしれぇからちょっとこっち来てみろ!」


「あら? 起きたのハーゼル、おはよ~」


 簀巻き状態のハーゼルの上に、盗賊の女が座ると、

頬を指で優しくなでながら微笑みかける。


「あっ、あの、そろそろ出してほしいんですけど……」


「それはだめよ~ だって貴方、これから出荷されちゃうんですもの~」


 そこまで言われて初めてハーゼルは自分の状況を把握できた。

 現代日本ならば、無償で寝床を提供してくれる優しい人も居ただろう……

 暖かい夕食を食べさせてくれる人も絶対に居る……

 しかし、ここは"異世界"なのだから、当然悪事を働く人間だっている。

 迂闊な自分を呪いながら、現状をどうしようかと考え込んでいると、

周囲にいた盗賊の仲間が、笑いながら集まってきた。


「姉御、こいつらエルフって、こんな間抜けな奴らだったんですかぃ?」

「こんな簡単に捕まえられるんなら、魔石かっぱらうんじゃなくて、

もっとたくさんエルフを売ったほうが、儲かるんじゃねぇ?」


「そうね~ エルフが全部こんなポンコツ頭だったら、

今頃私たちは、都に豪邸構えてるわよ~」


「「「はははっ、ちげぇねぇや!」」」


(やばいやばいやばいっ! これは売られちゃうパターンだっ、どうしよう……

どうにかして逃げないと)


 そう思って両腕に力を入れたところ、ブチン!パァン!と、

音を上げて、ミスリルのロープが千切れ飛んだ……


「へっ? 今こいつ何しやがった?」


「おい! ミスリルのロープが切れてるぞっ!」


「お頭ぁ! エルフの奴がロープ千切りやがった!」


「馬鹿野郎! さっさと取り押さえろ!」


 すぐに屈強な男が折り重なるようにして押さえつけてくるが、

さすがに女性に乗られるのはうれしい出来事でも、

おっさんに押しつぶされるのは好きではない。

 ハーゼルは布団から飛び起きると、男を払いのけた!


 ブボンッ!


「へっ? あっ……あああっ! おっ、俺の腕がっあっアッギャァァァアア!」


 軽く手をはらっただけで、ハーゼルを取り押さえていた男の腕が吹き飛とんだ。

「この糞エルフ! 何をしやがった!」


「おっ、俺は何もしてないっ! ただ払いのけただけだっ!」


「うぉぉ! ケインのかたきだっ! 死ねぇぇえええっ!」


 ドン・ダバサの隣にいた男が剣を抜き、ハーゼルに襲い掛かる。

 慌てたハーゼルが右手を前に突き出すと、男の背中から腕がはえた、


 ドクン! ドクン!


 ハーゼルの手にはまだ鼓動を続ける心臓が握られていた……

 その手を横に払うと、まだ痙攣している男の体が抜け落ち、動かなくなった。

 その光景を見つめるドン・ダバサが怒りに震えながらハーゼルに怒鳴る!


「てっ、てんめぇぇぇ! 何てことしてくれやがった!」


 騒ぎを聞きつけた盗賊の仲間が、次々とハーゼルの周りを囲んでいく。


「……始末しろっ!」


 まってました! と、言わんばかりに一斉にハーゼルに飛びかかり、

手に持った短剣や斧でハーゼルを滅多打ちにする。


 パキン! パキャン! ベキン! バリッ!


 ハーゼルを打ち付けた武器は、ことごとく粉砕され、

柄だけを握りしめた盗賊たちが棒立ちになる。

 そこにハーゼルの拳が炸裂すると、男たちの上半身がまとめて吹き飛んだ! 


 ボバァン!


 グチュッ!


 飛び散った血を全身にかぶり、真っ赤に染まったエルフが立っていた……


「おめぇ! やりやがったなぁ! ジョセフとダインとリッケルが死んだっ!」


「あっ、あんた達が俺を売り飛ばそうとするからだろっ!」


「うるせぇ! んなこたぁどうでもいいんだよ…… と、言いたいとこだが、

おめぇに暴れられたら俺たちじゃぁ皆殺しだろうよ……

悪いが、俺たちのこたぁ見逃してもらって、こっから出てってくんねぇか?」


 どうやら盗賊は俺より圧倒的に弱いらしい。

売り飛ばそうとしていたのは間違いないが、大切な仲間を殺されたのだから、

これ以上ハーゼルがこの場にいるのは良くないだろう。


「分かった、もう行くよ…… できればエルフの国に行きたい、

どっちに進んだらいい?」


「……あ~ エルフの国な、どっちだったかなぁ、

街道に出たら右だよ、東に進みなっ!」


(馬鹿めっ! 東に行けば魔王国だぜ! 入り口で潰されちまえっ!)


「そうか…… ついでに剣を一本くれないか? そうすれば見逃してやる」


「おい! ジョセフが使ってた装備を持ってきてやれ!」


「へっ、へいっ…」


(ジョセフ…… さっき俺が殺した奴か)


「お頭っ、もってきやした!」


「おうっ、ってこれ、ミスリルの剣だろ! 銅の剣で良いんだよ!」


(あっ、あの剣ミスリルの剣なんだ、綺麗だし高そうだもんなぁ……

銅の剣でもなんでも、とりあえずの装備があればいいか)


 しばらく待っていると、盗賊の手下が大きな剣を引きずりながら持ってきた。


「お頭ぁ~ 銅の剣ってこれしか無いんですが、これで良いんですかぃ?」


「この際仕方ねぇだろっ! どうせ街道の魔族から奪った剣だ、くれてやれ!」


(たしかこれは魔族の商隊を護衛してたやつの武器だよな、

重くて使い物になんねぇし、くれてやるにはちょうどいいじゃねぇか!

俺様超さえてるっ!)


「ほらっ、よっと! 受け取れや!」


 ゴトン!


 ドン・ダバサから放られた剣を拾い上げてみると、

想像していたよりもずっと軽かく、意匠をこらしたデザインであり、

どこかの家紋のようなものが見える。


「受け取ったならさっさと消えてくれよ!」


「そうだっ、出ていけっ!」


「か~え~れ~っ、か~え~れっ!」


 まじまじと剣を見つめていたら、いきなりの帰れコールになってしまった。

 そのまま洞窟をでて、元来た街道まで少し早歩きで戻ってきた。

 街道に出たら右、つまりは日が出てきた方向と反対側に進めば良いらしい。


「うぁ~俺、人を殺しちゃったよ~…これって罪に問われるのかなぁ?」


 そうつぶやくものの、天の声が聞こえてくるわけでもなく、

森の木々の葉の音や、鳥の鳴き声しか聞こえてこなかった…

 アイテムボックスから水を取り出すと一気に飲み干した。


「とりあえず東に進もう…」


 ハーゼルは盗賊に教えてもらった通りに、東を目指して歩きだした…




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 そのころ、盗賊の洞窟では全員が床にへたり込んでいた・・・


「やっべぇ! やっべぇよあいつ! ハエでも潰すみたいにして殺しやがった」


「あれってホントにエルフなの~?」


「お頭ぁ、あいつが戻ってこねぇうちに逃げましょうよぉ!」


「くそぅ! 撤収だっ、本国にいったん戻るぞっ!

国のお偉いさんにも報告が必要だ! 場合によっちゃぁ

"勇者様"に出てきてもらわにゃぁならんかもな!」


「お頭、勇者って俺らみたいな盗賊の為も仕事するんですかぃ?」


「「「えっ?お前しらなかったの?」」」


「この街道沿いの魔石はエルフの国に売られてるのよ~?

魔族の商隊を定期的に襲って、そこから魔石を奪わないと、

エルフの国が力を蓄え続けちゃうじゃない? だからこそ、

国営で盗賊団を雇って、魔石を盗み出してるってわけよ~」


「まっ、大っぴらにゃぁ出来ねぇけど、俺ら公務員ってことだなぁ」


「「「公務員!?」」」


「おめぇら、知らなかったのか? まぁいい、

昼前には本国に向けて出発するぞ!」


「「「はいっ!お頭っ!」」」




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 ところ変わって魔王国


「フットル将軍閣下!偵察に出ていたガーゴイルからの連絡で、

西の街道にて将軍閣下の剣を握りしめたエルフを発見致しました!」


「なんだとっ!?人族の盗賊団を見つけたのかっ?」


「それが、どうやら剣を持っているのはエルフ?のような?者です……」


「なぜ疑問形なのか説明しろ! それと戦闘用ガーゴイルを向かわせろっ!」


「はっ! エルフと思わしき者なのですが"真っ赤な髪と肌"をしておりまして、

特徴的なエルフの耳はあるものの、体格はオークのように大柄なのです。

我々も判断に迷うところであります!」


「赤髪のエルフかっ、聞いたことがないな……人族の偽装の可能性もあるか、

よし、ガーゴイルをひとあてさせたら先遣隊を向かわせろっ!

可能であればゴーレムを用いた先制攻撃も許可する。

あの盗賊団の仲間かもしれぬ、抵抗する場合は遠慮なく叩き潰せ!」


「はっ! 承知いたしました、将軍閣下!」


次回、ごんぶとエルフvs魔王軍

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