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幻想郷で、バスケの頂点目指します  作者: local
第4Q ~VS人里精鋭~
13/13

Episode-10 ティップオフっ!!!

『Episode-10 ティップオフっ!!』お待たせ致しました!


 高校が始まってから、暇が無さすぎて困ってます………春休みだった頃恋しいです………


 では、本編をどうぞ!



追記、執筆再開を決定致しました!!

 

 妖怪等の人外が沢山存在する、この幻想郷げんそうきょうにも、当然人間は存在している。


 数年前まで妖怪達から『主食』と認識されていた彼らは、自分が何時食べられてもおかしくない、というとてつもない恐怖の中、毎日怯えながら過ごしていた。


 しかし、妖怪の賢者、八雲紫やくもゆかりの策により五年前に流行りだした『バスケットボール』の存在。その存在の大きさは、彼女だけではなく人間達にも大きく影響していった。



  妖怪が関係する死傷事件も大幅に減り、人里は年々確実に発展していき、今までに無い賑わいを見せていた。




 そんな人里の一角。


 中心部の一番目立つ位置に建てられた、観客スタンド付きの大規模なストリートコートに、異様な数の人々が集まっていた。


 スタンドは満員になり、立ち見の者も押し合いへし合いする程、続々と出てきている。




『………何故こうなってしまったんだろう………』




 頭の中でこの言葉を何度も繰り返す少年、桜雷秀おうらいしゅうが、 自軍のベンチにてバスケットシューズ、通称『バッシュ』の紐を結んでいた。


 彼が着ているのは、白を主体とした生地の横に青のラインが入ったユニフォーム。これは、秀達が入学していた高校、星陵せいりょう高校バスケ部のユニフォームである。


 着慣れたユニフォームの心地よさを感じながら、コートに溢れ返る人達について考えていた。


 ここまでの多さは『外来人』という名前が関係したのか、それとも相手方が『人里最強』と呼ばれているからなのか。あらゆる原因を考えてみるが、ここまでの人だかりに繋がる策は考え付かない。



 どちらにせよ、完全にアウェイの中で戦わなければならないのだ。



 そう話を転換させた秀は、早々に頭の中を切り替えると、この状況がパフォーマンスにどの程度影響するのか、等を脳内で割り出し始めた。


 その途端、彼の横から興奮した様な、落ち着きのない声が響いた。



「やっべ、マジテンション上がるわぁ!とうとう幻想郷での初試合が始まるな!」



 座っている秀の前で、そわそわと歩き回る鈴木和成すずきかずなり。興奮し過ぎてじっとしていられないのか、歩きながらも器用にボールを弄んでいる。



「うるさいな、少しは静かに出来ないのか?」



 しかめっ面の秀の背中を、和成は笑いながらバシバシと叩く。



「なんだよ秀~、これから待ちに待った試合なんだぞ!もっとテンション上げろ!」



 ハハハッと謎の高笑いをあげた和成は、秀を叩いていた手を止め、自身のハンドリングスキルの確認をし始める。


 その姿を呆れ顔で見詰め、秀は重い溜め息を吐いた。



「………ったく、思いっ切り叩きやがって………」



 継続して襲う背中の痛みを感じながら、恨めしげに睨み付ける秀。その隣に、一人の少年が座り込んだ。



「まあまあ、いつものことじゃないか。それに、秀だってああいうの嫌いって訳じゃないでしょ?」



 おっとりとした口調で秀に話し掛ける一之瀬いちのせひかるは、いつもと変わらない笑顔を彼に向けた。



「………まぁ、本当に嫌いだったらチームなんて組まないからな………」



 照れ隠しなのか、秀はそっぽを向きながら答える。その姿を見て、光はさらに顔を綻ばせた。



「ほんっと、素直じゃないなぁ。………まぁ、それは置いとくとして………秀、相手の主将と副主将が来たよ」



 秀が横を見ると光の言葉通り、チーム星陵のベンチに相手チーム『人里精鋭』の選手二人が来ていた。



 人里精鋭は、チームメンバー四人の内の三人が、200㎝を越えていて、里の者達から『幻想郷一の大型チーム』と称されているらしい。


 特に、秀達の方に来た黒髪の一人目。主将キャプテンの『新垣大輔にいがきだいすけ』は、211㎝の超巨体を持つ、超パワー型のCセンター。人里では名前を知らない者がいない程、有名な選手である。


 因みに、もう片方は、人里精鋭の副主将ながら最低身長、PGポイントガードの『須賀崎龍すがさきりゅう』だ。192㎝の高身長を持つ彼でさえも、人里精鋭内では最低と付いてしまうのだ。



 そんな二人が秀達の前に立ちはだかった。両者放つ、重苦しい威圧感が周囲を包む。



「………星陵の主将、桜雷秀とは誰だ?」



 まさに『漢』といった様な深い重低音で、人里精鋭主将、新垣大輔が尋ねる。秀はその風格や声に嫉妬しつつも、ゆっくりと立ち上がった。



「桜雷秀、それは俺のことです。今日は宜しく」



 秀が挨拶をするために差し伸ばした手を、大輔は素直に握り返した。



「ああ、宜しく頼む。………先に言っておくが、俺達は一切手加減しない。どんな試合内容になろうとも、最後までやり通させてもらうぞ」



 感情が読めない無表情で淡々と言い放った大輔は、自軍のベンチにゆっくりと戻っていった。

 そんな秀と大輔のやり取りを見ていた和成が、不機嫌そうに眉をしかめた。



「なんだ今の、『どんな結果になっても知らないぞ』って言いたいのかよ?」



 眉間に皺を寄せながら、大輔の背中を睨み付ける和成。そんな彼の様子を見た龍は、申し訳なさそうに目を伏せた。



「………すまねぇな。あいつ、あの手のことに凄く鈍感でな。相手の感じ方を考えないで、バンバン言っちまう馬鹿なんだ………気に障ったなら、謝るよ」



 年上の龍の謝罪に、光は恐縮と言ったように返答する。



「いえいえ、全然大丈夫ですよ。大輔さんの様なタイプは初めて、っていう訳じゃないですし」


 

 龍は光の言葉に、少なからず感嘆の念を抱いた。

 今まで大輔の性格を見た者は、何処か納得していない様な態度を見せていた。が、この三人は違う、しっかりと相手の『中身』を知ろうと、接してくれている。


 こいつらは、そこら辺の奴等とは明らかに違う。龍は人知れず、秀達の他とは異なる『異変』を感じ取っていた。



「………ありがとな、そう言って貰えると助かるわ」



 口の端をふっと持ち上げ、光に負けないくらいの眩しい笑顔を見せる。


 しかし、すぐに真面目な表情に切り替わった龍は、「俺からも、一つ言うことがある」と言い、秀達を順々に見詰めていった。



「あんな奴でも、バスケに対する想いは本物なんだ。アイツがいった通り、相手が誰だろうが、どんな状況だろうが、俺達は全力で戦うだけ。お前達も手を抜くなんてことはしないでくれよ?」



「………はい、当然です。試合終了ゲームセットのブザーがなるまで、全力でやらさせてもらいます」



 秀の言葉に、光と和成も大きく頷いて肯定する。


 その肯定に安心したのか、「宜しくな」とだけ言い残し、自軍のベンチに戻っていった。



「なんか、あの人が主将って感じだよな。上手く言えないけど、雰囲気が何となく秀に似てるっつーか………」



 しげしげと龍を観察する和成の頭を、秀は軽く叩いた。



「今はそんなことよりもアップだろうが、さっさと行くぞ」



 ボールをつきながら、自軍のウォーミングアップスペースに移動する秀。そこにはいつもの試合前と同じ、司令塔の頼れる姿があった。



「………了解、やろうか主将キャプテン



「今日もいつものパス、頼んだぜ?主将キャプテンさんよぉ」



 独特過ぎる性格と才能を持つ天才二人の言葉に、確然かくぜんたる頼鷹らいおうは不適な笑みで言い放った。




「当然だ、俺がお前達を導いてやる」




 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 アップも終了し、センターサークルに両チームが整列する。


 すると、スピーカーを通じて明るい元気な声がコート中に響き渡った。



「さぁ、両チームが整列致しました!試合を開始する前に、自己紹介をさせて下さい!」



 選手一同が実況スペースを見ると、黒髪ボブの頭に、赤い山伏風の帽子を乗せた少女が、落ち着かない様子でマイクを持っていた。



「………コホン、えー、この試合の実況は、バスケしても良し、実況しても良し、新聞を書く腕前も良し。妖怪の山のオールラウンドな秀才天狗、私、射命丸文しゃめいまるあやが務めさせて頂きます!」



 いつの間に実況者が………と戸惑う七人とは裏腹に、観客達は大きな盛り上がりを見せる。コートの雰囲気は既に最高潮を告げていた、


 その雰囲気に、射命丸の声にも否応なしに熱がこもる。



「双方とも人間だけで構築された、言わば純粋な人類チーム。この試合は人類の希望になる者同士の対決と言っても、過言ではありません!」



 実況席から身を乗り出しながらの熱い実況に、隣に座る白い獣耳と尻尾を持つ少女が、あたふたと慌てながら射命丸を諫めていた。


 どうやら彼女は、試合を管理する係員、テーブルオフィシャルズの一人らしく、手元には点数等の情報を記録するスコアシートが置かれている。


 幾分か落ち着いた射命丸からマイクを受け取った少女は、ぺこりと一礼をしてから話し始めた。



「この試合のテーブルオフィシャルズの一人、スコア担当の犬走椛いぬばしりもみじです。これからルールの確認をさせて頂きます」



 白髪ショートの頭に、射命丸と同じ山伏風の帽子を頭に乗せているその少女は、獣耳少女が丁度良いスピードと声量で、流れるように説明する。



「今回の試合は新人大会や幻想祭と同じ、フルコート3on3制とします。1Qクォーター10分を4Q分行い、クォーター間のインターバルは3分。2Qと3Q間のハーフタイムは15分とさせて頂きます」



 選手と観客は沸き上がるアドレナリンを抑え、その声に耳を傾けた。特に新チーム達、彼らはルールへの知識が浅いため、聞く態度も人一倍であった。



「尚、星陵は一人、人里精鋭は二人が5Fファイブファウルを犯し退場してしまった場合、例え試合の途中であったとしても、その時点で『敗北』の扱いになってしまいます。どうかお気をつけ下さい」




 大まかな説明を終えた犬走は、「私からは以上です、両チームの健闘をお祈りします」とにっこりと微笑み、自身の席に座った。


 説明中隣でそわそわとしていた射命丸は、待ってましたとばかりに犬走からマイクをひったくり、興奮気味に声をあげる。



「さぁ、大変長らくお待たせ致しました!

200m越えが三人、圧倒的な攻撃力と防御力を持つ人里精鋭を、あの八雲紫やくもゆかりが認めた外来人の天才達はどう攻略するのか。どちらもチーム結成一年足らず、スーパールーキーのぶつかり合いが今、始まりますっ!!」



 説明を聞くために静まり返っていた会場は、再び熱気と歓声の渦包まれた。


 そのアツさに圧倒される七人の前に、茶髪のツインテールの頭に紫色の天狗帽子をかぶった少女が現れる。



「今回の主審、皆のアイドルの姫海棠ひめかいどうはたてです。これからジャンプボールを始めるので、ジャンパーはセンターサークルにお願いしまーす」



 明るい姫海棠の言葉に、星陵は光、人里精鋭は大輔がサークルに移動する。約20cm程の身長差がある二人が並ぶと、どうしても大輔の大きさが目立ってしまっていた。



「………なるほど、君は以外と良い体格を持っているな。日頃の努力が伺える」



 何処か余裕さを滲ませた様なその言葉に、光は笑顔を崩さず答えた。



「ありがとうございます、あっちで毎日鍛えた甲斐がありましたよ。………そうだ、観客の皆さんも開始を待ち望んでいる筈なので………そろそろ始めましょうか」



「ああ、そうだな。最善を尽くそう、どちらが勝っても納得できる試合にするためにな」



 お互いに挨拶を終え、腰を深く落としジャンプに備えるその間に、姫海棠がボールを持って入る。


 その時、テンションが恐ろしいほどに高まってしまった射命丸は、『椅子の上に乗る』という暴挙に出ながら、声を張り上げ始めた。



「ボールが示す勝利の軌道、それに乗るのは一体どちらのチームなのかっ!?では、はたてさん、お願いしますっ!!」



 姫海棠がボールを投げる瞬間、射命丸と観客が一心となり、試合の開始を宣言した。





「………ティップオフっ!!!」





 いかがでしたでしょうか、ようやくバスケ小説っぽくなってきましたね。バスケ要素を待っていて下さっていた方々、お待たせして申し訳ありませんでした。


 とうとう、当作品『東方バスケ物語』の『Episode」が、10を突破致しました!思えば、とても長い道のりでした。

 5ヶ月前から投稿し続けて、やっと10話。このペースじゃ簡潔はまだまだ遠そうですね………まだまだこれから、頑張ります!


 次回予告コーナー!!


 チーム星陵とチーム人里精鋭の戦いの幕が切って落とされた!


 200cmが三人所属している人里精鋭を、秀達星陵はどう立ち向かっていくのか、次回は第1Qからのスタートです!!


 次回も宜しくお願い致します!



ーーーーーー


更新再開決定!


詳しくは活動報告をご覧下さい!

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