第92話《原初の粒vs新型の神編 最終章 神話を描け⑫メロンパンとにゃんこキック前編 眩しい夜へ》
神話を描いた夜が明けても、物語は終わらない。
長い戦いを終えたねこにゃんとぴょこにゃん。
待ち受けていたのは、歓喜の声と、ちょっと騒がしい打ち上げの準備。そして41の家では、メロンパンをめぐる奇妙な事件が発生していた。
笑って、歌って、眩しい夜へ。
今夜は特別。夢の世界が現実へ遊びに出かけていく。
第92話《原初の粒vs新型の神編 最終章 神話を描け⑫メロンパンとにゃんこキック前編 眩しい夜へ》
ここは──にゃんこシティ。
四次元より下、三次元よりちょっと上の隙間の世界。
《概念》を司るねこ神たちが暮らす、奇妙であいまいな場所。
にゃんこシティは──現代と過去の東京の風景を、三次元コピーと切り貼りで構成した奇妙な都市。
ジグソーパズルのように、どの場所にもはめ込める同形のピースでできた街。
その街はまるで、東京に覆いかぶさるように貼り付いて存在していた。
ーーーー
41の危機に《バックアップ・ソウル》として一つにまとめられていた概念のねこ神たちも、元の姿に戻されていた。
41の真実の物語を伝えることで因果軸を操り、ガンマとデルタを排除した、ねこにゃんとぴょこにゃん。
勝利の凱旋と感謝を伝えるために、ねこにゃんとぴょこにゃんは、にゃんこシティに帰還。
そして、協力してくれた、にゃんこシティの住人たち全員に《ギフト》を与えようとしていた。
ーー
《にゃあああああーーーー!》
《緊急通信!緊急通信!》
ねこ神たちの意識に、ねこにゃんたちの声が直接響く。
ーー
ねこにゃん「ねこにゃんにゃー!」
ぴょこにゃん「ぴょこにゃんにゃー!」
ねこにゃん「みんな、ありがとにゃー!作戦は成功!ガンマとデルタから41は解放されたにゃ!」
ねこぴょこたちは、自分たちの住みかであり、にゃんこシティ最大のアミューズメントパーク《よろずや》から思念通信を飛ばしていた。
《ウオオオオオオオオーーーー!》
《ウォーーーーー!》
《キャーーーーー!》
《ねこにゃーん!》
《ぴょこにゃーん!》
《待ってましたー!》
《何やるんだー?》
《フェスやってー!》
ーー
にゃんこシティに歓喜と期待の声が上がる。
それは空間全体を震わすような熱気に溢れている。
腕を振り上げるねこ。
ピョンピョンと跳び跳ねるねこ。
中には泣き出すねこもいる。
全住人がカラダ全体で喜びを表していた。
とは、言っても、ねこ神たちも自分たちが《バックアップ・ソウル》の状態から、個々の概念の状態に戻った時点で成功は確信している。
だが、全員この宣言と、みんなで大喜びするタイミングを待っていたのである。
自分たちの存在理由を知らされ、その存在をかけて、ねこ神たちは正しく一丸となった。
そしてーー
にゃんこシティを建設した、《ふざけ好きの王》
ーーねこにゃんとぴょこにゃんが何も考えてないわけがない。
全員が期待するのは《打ち上げパーティー》という名の宴である。
ーー
ねこにゃん「みんな、聞こえてるよにゃー!おりたち勝ったぞー!」
《ウオオオォーーーー!》
ぴょこにゃん「この世界は永遠にゃーー!」
《ウオオォーーーーー!》
アムリア「アタシもこれで永遠のアイドルよーー!」
恋の概念のねこ神、アムリアが負けじと口を挟む。
《ーーーザワザサワサワ…》
アムリア「みんにゃ、大好きー!」
《あれ?アイドルイベント?》
《アムリアーー!》
《アムちゃーん!》
アムリアは恋の概念のねこ神。
ここの住人のほとんどはオスメス関わらず、アムリアの恋の魔法にかけられている。
耐性があるのは、ねこにゃんとぴょこにゃん。
ヤク概念のねこ神、ヨーニャくらいである、
ーー
ねこにゃん「(´・ω・`; )ぬー。話持ってかれたー。アムリアー。口挟むなよにゃ。話がややこしくなるにゃん。」
アムリア「( ・`ω・´)にゃによー。アタシだって協力したでしょー。」
ぴょこにゃん「わかったから!いったん最後まで話させろよにゃ。いいとこにゃん。」
このやりとりも思念通信で丸聞こえである。
《ザワザサワサワ…》
《何か揉めてるぞ?》
《永遠?何が?》
《アムリア様は永遠!間違いない!》
《ザワザワザワ…。》
《ねこにゃんとぴょこにゃんがアムリア様に文句言われてる?》
一部から困惑の声が上がっている。
ねこにゃんとぴょこにゃんは並列思考処理能力で、その声を聞いていた。
ーー
ねこにゃん「ほらー。ここの連中はアムリアの《恋の奴隷》にされてるんにゃぞ。」
ぴょこにゃん「勝利宣言持ってかれましたの巻w」
だがーー
そもそも、この街の住人たちは41の概念。
時間の流れは違えど、現実世界の41の死によって、いつかは閉じるはずである。
ねこ神たちは人のように《死》への恐怖は持っていない。
ただ、有限の世界の終末は認識していた。
ーーやがて
アムリア「みんにゃー!アタシの事は後でいいわ。先に、ねこにゃんとぴょこにゃんの話を聞いてあげてー!
《ウオオオォーーーー!》
《アムちゃん立派!》
《アムリア様、神ぃーーー!》
ーー
ねこにゃん《(´・ω・`; )解せん…》
ぴょこにゃん《( ;∀;)いつものことにゃん》
ーー再び。
ねこにゃん「話を戻すぞ。41を実験台にしてたガンマとデルタとのケリはついた。永遠でも無限でもいい。《リバース》の時みたいに、説明より見た方が早いにゃろ。今すぐデータ送るからにゃ。」
ぴょこにゃん「おりたちの《糸》通信は光より早いにゃ。ほれ。」
《ピンッ》
住人たちにつながれた《糸》を通して、ねこ神たちのアタマに閃光のような映像データが届いた。
ガンマとデルタの超次元空間への侵入。
41の魂を補食したエスネコの消滅。
そして、かみかみの叫びをトリガーにしたゼロからの復活。
ガンマとデルタが合体した戦闘形態とエスネコの戦い。
アルファとベータの物語。
ガデスを圧倒するエスネコ。
そしてーーー
41の《本当の真実》を知らされたガンマとデルタは因果を失い消えていった。
映画のように編集されたデータ。
ねこ神たちはアタマに浮かぶスクリーンで全てを見る。
もちろん、元の世界線の41のシーンも組み込まれている。
先程までの喚声は沈黙に変わる。
それはアムリアもいっしょだった。
ーー
アムリア「( ;∀;)41かわいそう…。」
アムリアが最初にポツリと呟いた。
41がカトラスの中で泣きじゃくるシーンでは、全員が泣いていた。
それは必然。
ここにいるのは41の魂のかけらたちだからーーー。
批判の声も少し上がった。
全員が複雑な思いを抱く。
《知らなかった…》
《ねこにゃんたち助けないの?…》
《自分を消すなんて…。》
《何で隠してたの?》
《でも、それが41の願いだったんでしょ》
ーー《これハッピーエンドなの?…》
ーーーー
ねこにゃん「わかるよ…。おりたちもそうにゃ。複雑だよにゃ…。でも41はここの世界にいる。みんなもいる!」
ぴょこにゃん「まだ物語は終わってない。新しい世界線は、41がエスネコに地球をめくらせて始まったばかり。飛び出す絵本みたいに、次のページも開かれて行くんにゃ。」
ねこにゃん「それとーーガンマとデルタを観測して確信したことがある。アイツらの作った《魂》はワンオフにゃ。平行世界に存在できない。その代わり必ず一つだけ存在できるにょさ。」
ぴょこにゃん「わかるかにゃ?元の世界線の41は消えた。世界をめくって41はここに存在を移したんにゃ。一つ消えたら一つ生まれる。これも都合の法則にゃ。」
ねこにゃん「おりたちは都合の法則の根元にゃん。41は願う時に、そこをつついて自分の対『エスネコ』を生み出した。偶然から必然を生み出した。まったく大したヤツにゃん。」
ぴょこにゃん「41は泣きべそかきながら、自分をチップにして立ち上がったんにゃ。だからここにいる41はワンオフ。どこの誰でもにゃいよ。」
ねこにゃん「つまり。ここにいるみんなは《ホテルニュー41》の従業員にゃん!」
ちーん…
《ホテル…???》
仏壇の金の音がしたような空気。
ねこ神たちのアタマは真っ白にフリーズ。
処理が追いつかず、ぐるぐると砂時計が回る。
そして少しずつーー
《え?》
《ザワザワザワ…》
《途中までわかった…よな!?》
《どこが「つまり」なんだ?》
《は?ホテルって何?》
《従業員?働くの?》
ーー
ぴょこにゃん「( ・`ω・´)ねこー!おまい、いい加減にしろよにゃ。話ぶっ飛び過ぎて台無しにゃん!」
ねこにゃん「(*≧ω≦)あ!ニューヨークだっけ?」
ぴょこにゃん「( ・`ω・´)そこじゃねえ。」
ねこにゃん「( ;∀;)ホテル41ニュー?」
ぴょこにゃん「しょうがない。直してやるにゃん」
ぴょこにゃんが専用武器を軽く、ねこにゃんのアタマに突き立てた。
ーーー《サク》ーー
ねこにゃん「(; ゜ ロ゜)あー!アタマが半分ないっ!アタマがなめらかプリンにー!」
ぴょこにゃん「ブラウンシュガーかけるか?」
ねこにゃん「( ;∀;)お気持ちでいいっす。自分はプリン野郎っす。プッチンプリンからやり直したいっす。」
ぴょこにゃん「直ったようだにゃ。わかればいいにゃん。」
ねこ神たちがさらにざわめき立つ。
《ぜんぜんわかんねえ…》
《アタシわかるーw》
《ホテルニューオータニ?》
《話進まないよね?》
ーー
ぴょこにゃん「脱線ばかりでゴメンにゃ、みんな。切り替えて聞いてくれ。」
《無理ー…》
ねこ神全員が、そう考えたが口には出さない。
ーーまた、ズレるから。
誰もが、ねこぴょこたちの《ふざけシステム》の洗礼を受けている。
慣れたものだ。
ーー
ねこにゃん「それでだにゃ。結論から話そう。今から41が寝るまで人間界への《ゲート》を開放する。《三次元ねこボディ》か《ヒューマンボディ》を選べ。高級ねこ種から芸能人から、何でもいいにゃん。それに今日は人間界でも、お祭りの日らしい。特別に《花園神社》にも《ゲート》を構築したにゃ。にゃんこシティは新宿に乗っかってるから近いぞ。遊んでくるにょさ。」
ぴょこにゃん「希望するなら乗り物もあるぞ。アダムスキー型の旧式UFOから最新式葉巻型の母船。ネッシータイプの潜水艦まで。UMAボディも何でもあるにゃん。」
ねこにゃん「地球の裏は昼にゃ。好きな時間に好きなとこで遊べばいい。お金の心配はいらにゃいよ。おりと、ぴょこでアルバイトしてたからにゃ。好きなだけ持ってけばいい。今日は『世界同時多発ねこ』の日になるにゃ。いっぱい遊んで世界に不思議ばらまいてくるにょさ。ロマン必要にゃろ?」
ぴょこにゃん「ねこ。おり、幽霊やりたいにゃん。」
ねこにゃん「( ・`ω・´)はあ?ダメ!おまいは、主人公だから今度にゃ。」
ぴょこにゃん「( ・`ω・´)ケチねこー!今度っていつよ?」
ねこにゃん「(*≧∀≦)明日?」
ぴょこにゃん「とにかく、みんな行ってこーい!」
《ウオオオォーーーー!》
《キャーーーーー!》
こうして、にゃんこシティのねこたちは世界中に放たれる。
ーーーー
ねこにゃん「さてと。あれ?何匹か残ってるにゃ?50匹くらいか?」
ぴょこにゃん「それでも41の持つ概念の数だけいるからにゃあ。出かけるのは数万匹じゃ、きかないにゃろ。辞典並みにいるにゃんよ。えーと、アムリアとヨーニャはいっしょだとして。」
ねこにゃん「聞いた方が早い。残ったのは、何したいにゃん?」
ねこ神たちの声が聞こえる。
《…ズルい》
《抜け駆けだ…》
《ねこにゃんたちと、いっしょについていけば会えるかも…。》
《41たちと遊びたい!》
残った、ねこ神たちの意識が伝わってきた。
ーー
ぴょこにゃん「(*≧ω≦)はーん。なるほどにゃ。《41を見てみたい》組だにゃ。でも、そんなにいっぺんは無理にゃん。」
ねこにゃん「DISCOとか?また六本木の『FUNFUN』に誘導するとか?」
ぴょこにゃん「それじゃ面白くないにゃろ。おりたちも追う側じゃないと、《おっかけっこ》にならないにゃん。」
ねこにゃん「おっかけっこだったの?」
ぴょこにゃん「かくれんぼじゃないし、そうなるよにゃ。」
ねこにゃん「じゃあ、おりたちの持ってる情報だけヒントとして与えよう。それでいいか?」
ねこ神たちの《ルンルン》声が聞こえてきた。
《やったー!》
《見つけたら、隠し撮りしちゃお。写ルンです持ってかなきゃ》
《もし会えたら触っちゃおっかなー。》
《アタシ、ケイさんに会いたい!》
《アタシはエミちゃん!》
それぞれの思いが伝わってきた。
ーー
ぴょこにゃん「(*≧ω≦)フフフ。じゃあヒントやるにゃん。」
ねこにゃん「ヒントは酉の市。カトラス。DISCO。そしてメロンパンにゃ。以上!」
ねこ神たち《メロンパンー?》
ーーーー
ところかわって。
ここは東京N23区。41の家。
時間は夜の7時を回っていた。
応接間には41たちの大きな笑い声と叫びが響いている。
ジャンキーたちはよく笑う。
笑う材料をいつも探している。
笑わせるネタを用意している。
年中無休。
営業時間はその時のネタで決まる。
これが仲良しジャンキーたちの正しい佇まいであり、日常である。
ーーーー
ジュン「(*≧∀≦)キャー!かわいい!かみかみ、どうしたのよーw」
《ガサガサガサ!》
名前を呼ばれた、かみかみがタジタジと後ずさる。
かみかみ「( ;∀;)にゃー」《見えないおー!》
かみかみは、何でも掘れる専用武器《砂場王》を使ってメロンパンの中身をほじくり返し、中身だけ食べていた。
盗み食いの結果、外側だけ残して、かみかみの頭にメロンパンがすっぽりとかぶってしまったのだ。
ーー
オレ「(*≧∀≦)メ、メロンパン!ねこがメロンパンかぶってる。初めて見たー。アハハハハハハw」
ケイ「(*≧∀≦)ギャハハハハ。どーやったらメロンパンかぶれるんだよw」
エミ「可愛すぎっ!」
サルが笑いながらキッチンへ向かった。
サル「(*≧ω≦)おーい。こっちのメロンパンも、ガワだけ残して全滅してるぞー。中身スカスカ。これマジだ。幻覚じゃないw」
ジュン「どうやったら、こうなるのよ?」
かみかみ「にゃおゎおー!」《見えににゃいー!》
オレ「オレ思いついた!『歌』作る!かみかみおいで。」
オレはかみかみを抱き上げる。
そして、メロンパンをずらして顔を出してあげた。
ひげや口元、顔中にパンくずがついている。
オレ「(*≧ω≦)ばあっ。ほら見えたろ?何やってんだよ。もう!もっと可愛くしてやるからな。」
かみかみ「にゃ?」《あ、見えた。そしてバレたお》
かみかみ「( ・`ω・´)にゃー!」《逃げるっ!ジタバタジタバタ!》
オレ「逃げるなってば。怒ってないよ。メロンパン美味しかったか?こんな汚しちゃって。キレイキレイw」
オレはかみかみの顔を撫でパンくずを落とす。
かみかみ「( ̄^ ̄)にゃんっ」《外側のサクサクも食べたいお》
オレ「そっかー。その前にちょっと、そのままかぶっててな。ジュン。ビスケットあったよな?ゴーフル…。風月堂でもいいや。あったら持ってきて。」
サル「41はフツーに、ねこと話してるんだよなー?」
ケイ「オレ、慣れたわw」
ジュン「ビスケットー?ゴーフル?わかった。ちょっと待ってて。食器棚の上?」
ジュンがキッチンに向かった。
オレ「たぶんね。早く早くーw」
ケイ「何すんだ?」
サル「バカの考えることはわからねえ。わかったらバカになるw」
オレ「天才は理解されないんだよねーだ。この中にあったよなー。」
オレはジャンキー道具入れから、小さなハサミを取り出す。
オレ「かみかみ。そのままな。ちょっと外側に穴開けるから。このへんかな?ほじほじっと。」
かみかみ「にゃお…。」《またバカな事考えてる。間違いないお》
ケイ「つーかさ。今さらだけどよー。お前、ねこと普通に話してて中身わかってんの?」
オレ「バリバリわかります!かも?」
ケイ「『かも?』、かよw」
エミ「アタシ何となくわかる…ような?」
サル「エミ。コイツの事、深掘りしちゃダメだってば。いつも《答え》なんてないからw」
オレ「ずいぶんな言い様でちゅよねー。なー。かみかみ。」
ケイ「ねこバカあるあるだな。赤ちゃん言葉になってきたw」
ジュン「持ってきたよー。どっちも。」
ジュンがキッチンから戻ってきた。
丸いゴーフルの缶と袋入りのビスケットを持ってきてる。
オレ「さんきゅー。」
オレはジュンに手渡された四角いビスケットとゴーフルを見比べる。
ーー
オレ「ふむ。丸さより質感。…やっぱりこっちかな。ちょっと角をかじるか。」
オレはビスケットを選択。袋から出して小さく歯に当てる。
オレ《カリカリ…。うーん、もうちょいかな。カリ…》
ジュン「何やってんの?」
ケイ「リスの真似?」
全員が丁寧にビスケットをかじるオレに注目してる。
視線が痛い気がするが天才の設計図に迷いはない。
オレ「できたー!こんなもんだろ。よーし。これをこうしてっと。」
《グイグイ》
オレはメロンパンに開けた穴にビスケットを、二枚並べて差し込んだ。
オレ「(*≧∀≦)ギャハハハハ!『つば』が出来た!み、耳も出そう。ほじほじっと。本物の猫耳っ!メロンパンキャップ出来上がりー!アッハハハハw」
ケイ「(´-ω-`)バ…。バカだ。バカの発想だw」
ジュン「(*≧∀≦)キャー!メロンパンキャップ!可愛いぃーーー!」
エミ「これってwアッハハハハw」
サル「( ̄▽ ̄;)ぶっほぉっ!アハっ!ゲホゴホっ!死ぬっ。ゲホゴホっ!」
サルはタイミング悪くハッパを吸い込んだばかり。
笑いながらむせて呼吸困難になってる。
かみかみ「( ̄^ ̄)にゃん」《喜んでもらって何よりだお。何されてるか知らんけどぬ。》
オレ「何が『知らんけどぬ』だよ。満更でもなさそうじゃん!可愛いよ!じゃあ、かみかみ。お前のために、一曲作るから降りて待ってて。逃げるなよw」
ケイ「お前、言葉わかってんの?」
オレ「当たり前!相棒だもんね。なー、かみかみー。」
オレはかみかみを足元にそっと降ろした。
かみかみは、オレをじっと見上げてる。
気に入ってるみたい。
かみかみ「にゃお?」《曲って?まあいいお。》
オレは適当にドラムマシーンのスイッチを入れる。
BPMは100~110?しっとりで80くらいかな?
すでにメロディはアタマの中に流れている。
あとはパズルみたいなもんだ。
ベースとドラムをミキサーにつないで、シーケンサーで回す。
まずは思いついたままベースライン。
そしてシンセをつないでコードをかぶせていく。
迷いはなし。
未来への設計図をなぞるようなもんだ。
ーー
エミ「何始まるんですか?…スゴい。曲になってく。」
ジュン「エミちゃんは初めて見るんだもんね。ジュピタンて空気読めないから。気にしないで待っててあげて。」
ケイ「オレたちはテキトーに好きなもの決めて待ってりゃいいんだよ。て、そっか。…41は天才だよ。バカの天才なw オレたちはコイツのこういうとこにハマらされてる。面白いから見てな。」
オレ「(*≧ω≦)天才って呼んだ?」
ケイ「(*≧ω≦)災害の方な。《天災》w」
サル「ほっといて決めようぜ。オレはこっちのハッパ吸ってみよっかな。アフリカン?ジュンのだっけ?真っ黒じゃん。」
ジュン「アタシはブッダごちそうになろっと。」
オレを残してみんな思い思いの好きなものを決めていく。
オレ「なあ。エミちゃんにもすすめてやれよ。遠慮しちゃわないようにね。」
ケイ「おっけー!」
エミ「ありがとうございます!」
《やっさしい!こういうとこなんだよなー。ズルい。》
ジュン「アタシにも優しくしなさいよねーw」
オレ「《エミは田舎帰らない祝い》だろ?そうだよね?」
エミ「えー。そ、そう…です。すいません。」
サル「謝ることないだろ。」
ケイ「お?女の戦い?w」
サル「オレの前で言うかー?w」
オレには回りの声が雑音にすらならない。
アタマの中のメロディに色を塗っていくだけ。
早くしないと忘れちゃうから。
歌詞も思いついたまま歌ってみよう。
眩しい時代に合わせてかな。
シティポップ風で踊れそうなヤツでーーー笑えるヤツw
ーーーー
オレ「さてと。出来た。歌っていい?」
エミ「もう?」
ケイ「(*≧ω≦)言ったろ。」
サル「タイトルは?」
オレ「んーとね…。メロンパンとブラウンシュガー。いや、メロンパンとにゃんこキックかな。」
ジュン「メロンパンとヘロインて曲名?まあブラウンシュガーって言ってもわかる人少ないよね。」
ケイ「ローリング・ストーンズ歌ってるぜ?」
サル「どっちでもいいよ。この後、出掛けるつもりなんだろ?さっきまで、すし食いねえ歌ってたじゃんか。」
オレ「忘れてた!あれ?今日って『いつ』だっけ?」
ケイ「いつぅ?あ、今日って酉の日?《酉の市》やってんじゃね?
ジュン「じゃあ花園神社だ。新宿行くんなら早くしてー。女子は準備必要なの。」
オレ「何だよー。かみかみなんて、ずーっと曲できるまで待ってたんだぞ。ねこを見習え。」
ケイ「(*≧ω≦)お前がなw」
オレ「それではスタートぉーw」
ーー
イントロはエレピの優しい音から。
そしてキャッチーなイントロのフレーズが流れる。
オレは思い浮かんだまま歌う。
早く言葉にしないと忘れちゃうから。
何でもそうだよな。旬は痛みが早い。
「あとで」じゃ遅いことたくさんある。
歌入りとカラオケの2トラック。
練習なんてしてらんねえ。
みんな待っててくれてるし。これはオレのワガママ。
一発で録音。車で聞くんだ。
♪『ちょっと焦げ目のついたメロンパーン。美味しそうだよー。よーく、見たら、ねこーがー、かーぶぅってるー…♪』
ジュン「アハハハ。こんなことだろうと思ったw」
ケイ「幼稚園児の歌詞っw」
エミ「いい曲w!」
サル「ぶっほっ!またかよっ!ゲホゴホっ!」
かみかみ「にゃん。」《まあまあだにゃ。気に入ったお。ボクに作ってくれたんだもんね。》
回りにかまわずオレは歌い続ける。
中盤のサビに入った。
オレ『いつでもーいっしょさー。相棒だもんねー。ふーざーけーて、行こうよー。ハロー、イエロー♪…』
ーーオレ「はい、終わり!」
オレは録音を止める。
どんなんだろう。聞くの楽しみ。
オレ「はい。終わりました。録音もしました。ご静聴ありがとうございました。カトラスで合唱しましょう。では、花園神社でメロンパンを買いに行きます。その前にたっぷり決めてレツゴですっ!」
サル「日直みてえw」
ジュン「この曲って、耳に残るー。」
ケイ「祭りでメロンパン?焼きそばとお好み焼きとたこ焼きは?」
オレ「歌ってたらメロンパン食べたくなっちゃった。キッチンカー出てたら買おうよ。」
ケイ「キッチンカー?お酉様で見たことないよ。」
オレ「オレもだけどさw」
サル「なあ、41。出掛ける前にさっきのヤツ作れよ。」
ケイ「さっきのー? 41、玄関でぶっ倒れてたじゃん。やって…みようかなっw」
ジュン「本気?」
オレ「さっきの? ああ。じゃあみんな持ってるヤツ全部混ぜちまおう。ヤクの《パンチボウル》作ろうぜ。」
ケイ「《パンチボウル》?ジャンキーのホームパーティーってか。」
サル「何かヤクの闇鍋みてえだな。まあ41生きてるし平気だろ。毒味は言い出しっぺだよな?」
ジュン「この人、基準にしちゃダメだと思う。ケイちゃんからやりなよ。」
ケイ「ああ。いいよ。楽勝!」
ジュン「ケイちゃんもハードジャンキーだしなー。」
サル「ここにいる全員がだろw」
エミ「じゃあ…アタシから?無理です!ウソウソw」
オレ「(*≧ω≦)ダーメ!オレから!いひひひひーw」
ーーーー
オレ「これがヘロイン三種類に、オレのコークとケイとサルのと、ケタミン、エクスタシー。スピードが、えーと、これも三種類。バンビとLSDが…。」
ケイ「こら、『バンビ』の正体言えよ」
オレ「(*≧ω≦)あらららー。カレー食べるスプーンなのに、混ぜてたら山盛りになりましたー。バンビはナイショ。」
ケイ「まあいっか…。そんな山盛りじゃ、そのスプーンに水入れるの無理だろ。他の容器にしろよ。お玉とかw」
オレ「お玉?おでん食べたい。」
サル「ケイ。余計なこと言うなって。とっ散らかるから。」
オレ「余計なケイ?」
ケイ「うるせーなーw 反応すんなってば。」
ジュン「アタシ何か持ってくるね。」
ジュンはまたキッチンに向かってくれた。
ホント、気の利くいい子。
ジュンが彼女で良かったよ。
ーー
ジュン「はい。これなら入るでしょw」
ジュンが持ってきたのは御茶碗。オレのだ。
オレ「えー?これ、ご飯食べるヤツw」
サル「ついにお茶碗でヤクを食べる日が来たなw」
オレ「じゃあお茶漬けにする?カテキンで抗菌。ジュン。玉露あったよな?」
ジュン「いーやーよっ!」
ケイ「いいから早くしろよ。」
オレ「口も手も動かしてらぁ!あっしゃ、プロですぜ旦那ぁー。なー。かみかみー。」
ケイ「ねこにすがるな。」
ジュン「逃げ道。」
サル「喋ると危険。」
かみかみ「にゃお」《返事だけしとくお》
オレ「うっせー!」
ーーーー
オレ《混ぜ混ぜっと…。》
そして、コークスクリューをベースに、ヤクのパンチボウルは完成する。
ーー
オレ「んー。やっぱりだ。色が虹色に光る…。」
注射器に吸い込んだそれは、応接間の照明ごしに見ても虹色に揺らいでいた。
オレ「さっきよりいろいろ混ぜたのに…。…美味そうだ。」
ケイ「倒れんなよ。」
オレ「じゃあオレやるぞ!チクッとね。プスー。」
腕の静脈から虹が入っていく。
時間の流れもゆっくりとスピードが落ちていくみたい。
オレ《はあ…。》
ケイ「どうだ?」
オレ「これは…。暴れてる。…仲良くしろ…。」
オレは声に出して自分をコントロールする。
これが効くんだ。
オレ「オレの心臓。ビックリするな。大丈夫。」
オレ「スーっ、ハーッ( ´Д`)=3。よし空気も大丈夫。」
オレ「お?」
オレ《何だ?脳が目覚めていく。新しくなる…。アタマから広がる。身体中の細胞がリフレッシュされてく。…》
ーー
オレ「よし!コントロールできたぞ!こりゃスゲエ!説明できねえけど言語化するなら…。コークスクリューが解毒なら、ルナピスは健康?いや、誕生だな。」
ケイ「は?ルナピスぅ?名前か?まあ、作ったヤツがそう言うんなら、それでいいや。よーし、わかった。次はオレ行くぞ。」
オレ「ん?ルナピス?オレそう言った?あれ?…。まあ、カッコいいから、それにしよう。」
サル「雑だなーw」
エミ「え?ケイさんて、今の説明でわかるんですか?みんなも?」
ジュン「わかんないわよ。効き目は《信頼》かな。」
ケイ「そーゆーことだ。」
ケイも続いて打ち込んだ。
みんなも息を飲んで注目してる。
だけどオレはニコニコ。
オレ《ケイ。早くこっちに来いよw》
ーー
ケイ「おおおお?お!なるほど。よーし、よーし。…コントロール完了。なるほどな。41の言葉、理解したぞ。これさ、さらにLSD食ったら面白くなるんじゃね?」
オレ「オレもそう思った。車に乗ってから食おう。」
ーー
そう言いつつも、オレの視界全ては、すでにピカピカのキラキラになっている。
ワクワクって気持ちの言葉だよな。
ワクワクに色と音をつけたら、こういう景色になるのかな。
考えただけで、目の前に漫画のカタカナの効果音が現れる。
じゃあドキドキは?
ーー景色が呼吸し鼓動を打つ。
見たことない幻想の世界。現実の景色。
いつもの応接間なのに…。
飛び出す絵本みたいだ。
見慣れた景色なのに。
瞬きすると景色がスパッと登場したみたいに見える。
人も家具も…。仲間もねこも…。
日常が愛おしい。
嬉しいな。
いつも見えてる。いつも見えててね。
ーー
かみかみ「にゃん」《嬉しそうだお》
ねこ語で返そう。
オレ「(*≧ω≦)にゃん!」《ああ。嬉しいさ!》
オレ《こりゃたまんねえわ。オーガニックドラッグの最高ブレンドかもな。》
ーー
サル「じゃあオレも、やってみっかーw」
ジュン「アタシも!ジュピタン打ってよ。」
オレ「いいよー。腕出してー。」
ジュンとサルにルナピスを打ち込む。
ーー
ジュン「え?何か…、自分が新しく…なった?」
サル「は?世界がクリアに…。よく見える…。視力上がった?」
オレ「だろ?《めくれた》っつーか、脱皮したみたいにフレッシュな感じになるんだよ。」
エミ「あのー…。アタシもいいですか?」
エミもやってみたいとさ。
仲間外れはダメだよな。
オレ「じゃあエミちゃんはやるなら量は半分。三倍に薄めてから始めよう。足りなきゃ増やす。オレが打ってあげるよ。」
エミ「お医者さんみたいw」
ジュン「(*≧∀≦)やくのやみじゃいしーw」
オレ「いつまでも覚えてんなよなー。闇の薬剤師!さて、ニルヴァーナ決めたら出掛けるぞー!」
全員「おーーー!」
そして、ジャンキーたちは幻想の街へと繰り出していく。
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かみかみ《そろそろ連絡しとくお》
かみかみ「あー。こちらかみかみ。ねこにゃん、ぴょこにゃん聞こえてますかー?41たちはアホアホジャンキーに変身してお祭りに出発しましたおー。その後の行動は不明。ボクもいっしょです。えーとね。メロンパンのキャップとね。すし食いねえって歌ってたのに、ボクの歌出来ましたお。どうぞー!」
ねこにゃん「(*≧ω≦)かみかみ。それ報告にゃのか?絵日記読んでるみたいにゃん。メロンパンキャップ?寿司じゃないのか…。ぴょこ。《糸》でトレースするか?」
ぴょこにゃん「(*≧∀≦)それじゃ面白くないにゃろ。おりたちも自力で41探すにゃん。追いかけっこにゃ。他のやつらより先に見つけるぞ。アムリア、ヨーニャ。花園ゲートに向かうにゃん!」
ーー
エスネコ「(*≧ω≦)にゃw」
《ボクも会いたい。ねこにゃんとぴょこにゃんを変身させちゃおっかなw》




