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第13話《留守番:秩序の誕生とスリングショット》

第13話《留守番:秩序の誕生とスリングショット》


夜に降ってきたのは“世界の秩序”でした。


ねこの姿に憧れるアルファとベータというふざけたふたりが、真顔で宇宙をいじくりながら、 虹色の次元をこじ開けて、ジャンキーの夜に不思議を投下する。


そんなにゃんこキック世界の“はじまりの夜”です。


ふざけてるけど、たぶん本気ーー


ーーーー


ベータ「そろそろ行くにょさ。そうだ、その前に……留守番を置いてくにゃ」


アルファ「おりたち、いない間に裂け目チクチクしてくれる役ね。了解。コピーシステム、“秩序”を発生するにゃ」


ーーーー《ブブブブブーン》


《キュルッ》ーー


ーー《スイィーィ…》


ふたりの間に、小さな無色透明の粒が現れる。


アルファ「エンジンスタートォー!」


ベータ「そんなんで動くか!おまいは軽いにゃー。もしかしてバカにゃの?」


アルファ「軽いに決まってるジャマイカ。だって、元々《質量》なんか持ってにゃいもんねー。おまいに半分あげたし。」


ベータ「そーかー。半分こダイエットしたにょか。頑張ったんだにゃ、」


アルファ「おり、痩せてにゃいよ。」


ベータ「知性の軽さを言ってるにゃん。」


アルファ「おり…。」


ベータ「待った!《粒だからアタマにゃいよ》は禁止にゃ。」


アルファ「フフフ。ここまで封じられるとはにゃ。おりの負けにゃ。殺せ!」


ベータ「バカはやりづらいにゃー。」


アルファ「(*≧ω≦)へへへ」


ベータ「(*≧ω≦)ほめてねーし。」


ーー


アルファとベータが構築した、異空間修繕システム《秩序》


創造主と同じ11次元構造体の粒だが、それは自我をもたぬコピー。


だが、コピーといっても、アルファとベータと同等の力を与えられている。


空間の綻びを修復するために必要だからだ。


ただアルファとベータのような対消滅や《無》からの発生はできない。


自我も意思も持たず、ただ空間の綻びを**“チクチク”と縫い続けるだけの存在**。


ーー


ベータ「“秩序”くん、あとは頼んだにゃ。チクチクシステム、作動!」


《チク……チク……チク……》

無言でチクチクを繰り返す“秩序”。


ーーだが、


それがやがてこの世界を**“虚無”へと変える最初の火種**になるなど、この時の二柱(ふたり)は知る由もなかった。


ーーーー


アルファ「さーて、留守番役もできたし出かけるにゃ!」


ベータ「次元スリングショット・発射用意!」


アルファ「座標固定、目標地球!サイズ調整完了!」


ベータ「出発するにゃ。パチンコモード、スリングショット!」


アルファ「にゃにゃにゃ!テンション上がるにゃ!」


ベータ「3……2……1……」


アルファ「ベータ!ちょっと待つにょさ」


ベータ「は?にゃによ?」


アルファ「こういう時って国家斉唱するんじゃないにょ?」


ベータ「はあ!?国家ぁ?…いちおう最後まで聞いてやるから言ってみにゃ」


アルファ「( ̄^ ̄)きーみーがーあーよーおーはー…」


ベータ「ふーん。3……2……1……」


アルファ「それと…バナナはおやつに入りますか?」


ベータ「( ・`ω・´)うっさい!ゼロ!」


アルファ「( ;∀;)ごめんてばーっ!」


《バッビューーーーーーーーーンッ!!!》ーー!


遠い手で地球を掴み、引き伸ばされたゴムのような反発力を使って、二粒(ふたり)は光の弾となって発射された。


次元の膜を突き破り、虹色の螺旋を描きながら、198X年の地球へと突入していく。


接近、そして縮尺調整。


ーー

アルファ「おおおおお!地球、近いにゃー!」


ベータ「でもまだ、こっち11次元サイズにゃ。調整しなきゃにゃ」


ふたりは空中でくるりと回転しながら、球体の次元構造を一つずつ折りたたむ。


《11→10→9→……7次元……5次元……3次元――!》


アルファ「重いにゃー!次元膜質量圧縮してんのに、どんどん体がぺったんこになるにゃ!」


ベータ「あとちょっとにゃ!地球の物理法則に、合わせるにゃ!」



そしてーー


《ズゴーーーン!!》


ラストの衝撃音とともに、ふたりは地球の重力圏に突入した。


そして――


アルファ「着いたらねこに……なるにゃ!」


ベータ「着地準備!重力、慣性制御にゃ。スピード落とすにゃん」


雲を突き抜け、夜の都市の上空に視認、観測不可の小さな「粒」が舞い降りていく。


ーー


その夜、空の小さな不思議を見た人は幸運だ。

降りてきたのは「不思議」そのものだから。


奇跡を見たと認識できないだろう。


ーーーー


ところかわってーー。


ここは東京、新宿。


夜の街を徘徊するジャンキーたち。


彼らは目的も行き先も決めてない。

夜を楽しむためにうろついてるだけだ。


ーー

41「あれ?夜に虹?みんなー。空見てみろよ。」


ジュン「どこ?ネオンじゃない?」


41「いや、虹じゃねえ。…オーロラか?東京ってオーロラ見えたっけ!?」


ケイ「あはははw おまえ今日も《L》やってんの?」


41「ほら、あそこ。右側のビルの上」


ーー41が指差したピルの上空。

虹色の縞模様の帯が揺らいでいる。


サル「んー。言われてみれば変な空模様。見たことねえな」


ジュン「ホントだ。虹のカーテンみたい。キレイ」


ケイ「…確かに。サーチライトとかレーザーでもなさそうだな。」


41「他のヤツも見えてんのかな?」


ーー41は街を歩く通行人の群れを見る。


空見上げて歩いてるヤツなんていない。


41「いねえな。空なんか見上げるヤツなんてオレたちくらいか。お、今日、満月じゃん。東京だってガキの頃は、夜、天の川見えてたのにな」


ケイ「明るくなりすぎなんだよ。夜は暗い方がいい」


ジュン「アタシたちダークサイドだから?」


41「ダークサイドぉ?ファンタジーかよ。…そーだな。でも胸はって行こうぜー。こそこそとねw」


ジュン「オー!」


ケイ「(*≧ω≦)こそこそな。」


41「(*≧ω≦)そこそこ!」


サル「なーにが胸はってこそこそだ。デタラメなやつ。言ってること矛盾してるぞw」


ジュン「あ、焼肉の匂いする!食べた~い!」


歩きながらも、41はまだ空を見上げている。


41「オーロラに満月か。いい夜じゃん」



ーーーー


ーー《すとん》


こそこそと、空から不思議が降ってきた夜。


アルファ「(*≧ω≦)つきましたにゃねー。地球。フフフ」


ベータ「(*≧ω≦)地球ついたにゃねー。フフフ」


アルファ「さあ、今日は解説のベータさんにお越しいただきました。今の着地は何点満月でしたかにゃ?」


ベータ「そーですねー。アルファさん。スピード、こそこそ度も満点満月でしたにゃ」


《ケラケラケラケラ》


アルファ「さあ、真面目にふざけていこー!」


ベータ「バカはやりづらいってとこ見せてやるー!」


アルファ「誰によ?」


ベータ「おまいににゃ。」


《ケラケラケラケラ》


アルファ「地球は物質世界にゃ。さっそく、ねこに変身からだにゃ」


ベータ「おり、何にしよっかにゃー」


誰も知らない夜。


この「不思議」の到着から「にゃんこキック世界」が始まった。

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