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Once upon a time in The Become A Novelist  作者: 織風 羊
9/14

よろしくお願いします。



日曜日の朝、

彼の家でちょっとした事件が起こった。


朝目覚めると、

娘が父親のベッドの横に倒れている。


いや、

娘がどさっと倒れる音に気付いて目が覚めた。


驚いた父親はベッドから降りて、

娘に声をかける。


大丈夫、

と答えた娘は、

お願いがあるのと言う。


ハンバーガーショップに行って、

いつものハンバーガーとオレンジジュースを持ち帰って欲しいと。


父親は、

ならば自分の分も持ち帰り、

一緒に食べようと言った途端、

娘は驚いて立ち上がり、

それは駄目!

と言う。


父親は元気そうな娘の姿に訝しげな顔をした。


その途端に娘は、

人差し指と親指で額を挟み、

お願いよ、

と言って恋に迷える貴婦人よろしく、

およよと床に崩れ落ちる。


しょうがなく彼はハンバーガーショップに行き注文する。

そこへオレンジジュースの君がやってくる。

日曜の朝からおしゃれな服装である。

化粧もしっかりとしている。


彼は最初、

誰だか分からなかったが、

彼女から声をかけられオレンジジュースの一件を思いだし、

改めて謝罪をする。


彼女は、

あの時の娘さんはどうしているのかと、

彼は娘が朝から調子が悪いと言い、

娘の頼みで朝食を持ち帰るつもりであることを告げる。


彼女は、

それは大変ですねと言うが、

彼は、

それがどうも仮病の様なんですと答える。


もしそれが本当なら、

娘さんの分はちゃんと持ち帰り、

朝食をご一緒しませんかと彼女が誘う。


彼は娘の朝からの異常な行動を思い出し、

これは仮病であろうと直感し誘いに乗る。


二人でテーブルを陣取り、

会話が始まる。


彼がどんなに寂しい思いをしているかを、

虚無の旅人で知っている彼女は、

彼の一言一言をしっかりと理解できる。

そんな彼女と話している彼は、

自分が包まれている様な気分になり、

久しぶりに自分から言葉を発する。


彼は彼女のことを知らない。

彼女は彼のことを知っている。

ただし返信の内容は、

彼の娘が届けたロマンス小説の大人の会話であるから、

完全に知っている訳でもない。


今度、

娘さんと一緒に食事でもと誘いかけたのは彼女である。

承知はしたものの彼は急に立ち上がる。

いけない、

こんな時間だ!

と。

ありがとうございました。

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