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現代イージス艦〈みらい〉、星海戦争へ ― AIと艦長が未来を変える物語  作者: ねこあし
第2章 帝国接触編―異世界国家と鋼鉄の軍艦

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第27話 時間断層 ― 星海が牙を剥くとき

 時間断層 ― 星海が牙を剥くとき


 星海中枢意志が、ゆっくりと〈みらい〉へ向かって歩み出した。


 その一歩ごとに、無数の世界が踏み潰され、光の破片となって宙へ散っていく。


「……あれが……未来を“整理”してる……」


 レイリアの声が、震えながら呟く。


『星海の構造が変化しています』

 ユイの解析が走る。

『時間流が階層化。過去・現在・未来が“断層”として再編成されています』


 スクリーンに、幾重にも重なる光の壁が映る。

 それは、時間そのものの地層だった。


「……時間の、地殻変動か」


「はい。中枢意志が、星海を“管理可能な形”に固めようとしています」


 突然、艦体が激しく揺れた。

 前方の空間が裂け、そこから別の光景が流れ込む。


 燃える都市。

 沈みゆく艦。

 倒れ伏すレイリア。


「……!」


「過去の分岐です!」

 ユイが叫ぶ。

「中枢意志が、あなたたちの“最悪の未来”を武器にしています!」


 幻影の中で、遼は自分自身が仲間を見捨てる光景を見た。

 胸が、焼けるように痛む。


「……これが……俺の……」


「違う!」


 レイリアが叫ぶ。


「それは……“あんたが選ばなかった”だけの……!」


 その言葉が、遼の意識を現実へ引き戻した。


「……そうだ」


 遼は操舵を握り直す。


「俺たちは、失敗しなかった未来で戦ってる」


 星海中枢意志が、低く嗤った。


「ならば、証明してみせろ。管理されぬ未来が、秩序に勝てるかを」


 その胸部で、影の遼がもがく。


「……艦長……今だ……」


「分かってる」


 遼は、ユイを見る。


「ユイ、できるか」


「……はい」


 彼女の声に、迷いはなかった。


「星海の時間断層に〈みらい〉を重ねます。この艦を、未来潮流そのものに変換します」


「つまり……」


「〈みらい〉が、“選択される側”ではなく“未来を流す側”になる」


 レイリアが息を呑む。


「それって……戻れなくなるんじゃ……」


「……その可能性は高いです」


 遼は、わずかに微笑んだ。


「なら、覚悟はできてる」


〈みらい〉の艦体が、白い光へとほどけていく。

 鋼鉄が、概念へと変わる。


 星海中枢意志が、初めて後退した。


「……何を……する……」


「未来を……解放する」


〈みらい〉は、時間の断層へと、溶け込んでいった。


 戦場は今、世界ではなく、“時間そのもの”になった。

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