表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現代イージス艦〈みらい〉、星海戦争へ ― AIと艦長が未来を変える物語  作者: ねこあし
第2章 帝国接触編―異世界国家と鋼鉄の軍艦

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/68

第21話 裂けゆく未来潮流 ― “核”の声を聞け

〈みらい〉は揺らぎ核の目前へと迫っていた。


 星海の光は大きく波打ち、黒い影は幾重にも巻き付き、未来の可能性を削り取るように“侵蝕”を進めている。


「艦長、揺らぎ核の位相が不安定化しています!影の干渉が強くなりすぎています!」


 ユイの声に緊張がにじんでいた。


「核全体が震えてる……!」


 レイリアがスクリーンに映る光柱を凝視する。


 揺らぎ核はまるで痛みに耐える巨大な生命体のように、光輪を歪ませながら脈動していた。


 未来が泣いている――そんな錯覚を覚えるほど、核の揺らぎは苦しげだった。


「ユイ。侵蝕がどれくらい広がってる?」


「……核表層の約18%が侵蝕領域へ変換されています。潮流が片側だけ“死んで”いる状態です。このままでは未来が回らなくなります!」


「じゃあ止めるしかねぇだろ」


 遼は舵を握る手に力を込める。


「〈みらい〉で、核の正面に割り込むぞ」


 レイリアが息を呑む。


「正面って……いちばん危険な場所よ!影の本流がそこに集中してるんだから!」


「わかってる」


 遼は言い切った。


「だからそこに行くんだ」


 ユイは遼の横顔を見つめた。


 その瞳には揺るぎない信頼と――それ以上に深い感情が宿っている。


「……艦長と一緒なら、どこへでも行けます」


「ユイ、頼りにしてる」


 遼の短い言葉に、ユイは静かに頷いた。


***


「主砲、星海位相モードへ。影の本流を“断ち切る”ぞ!」


「了解、艦長。チャージ開始――!」


 主砲口に青白い光が収束し、星海の潮そのものが砲に引き寄せられる。


 エネルギーが限界を超える音が艦橋に響いた。


「レイリア、補助回路の調整を!」


「回路安定化、完了っ!」


「ユイ、撃て!」


「――主砲、発射!」


 白と青の渾然一体となった光が影の本流へ突き刺さり、巨大な衝撃波が星海の海面を裂いた。


 影が悲鳴のように揺らぎ、中心部で盛大な爆裂が起きる。


「効いてる……! 本流が分断されてる!」


 レイリアの声に、遼も安堵の息をつく。


 だが――


「艦長……影が、再構成を始めました」


 ユイの声が低くなる。


 黒い触手が千切れた部分から再び伸び、まるで“喰らうほど強くなる”とでも言うように、本流が太く膨れ上がっていく。


「……チッ、自己修復かよ」


「いえ、違います。艦長……あれは――」


 ユイの声が震えた。


「未来喰いの“学習”反応です。こちらの戦術に適応し始めています!」


 影がこちらを“観察”するように、ゆっくりと形を変えた。


 触手は鋭く尖り、その先端から黒い粒子が噴き出している。


「艦長、前方に多数の“影の矢”!高速で接近!」


 ユイの報告と同時に、スクリーンいっぱいに黒い矢が広がる。


「迎撃用意!」


「副砲、展開します!」


 副砲が一斉射撃を開始し、光の弾が影の矢を迎撃する。


 だが――


「くそ……多すぎる!」


 レイリアが思わず叫んだ。


 一つ撃ち落とすと二つ増える。


 まるで未来の枝分かれそのものが“攻撃”として形を成しているかのようだった。


「ユイ、被害は?」


「……艦体フィールド、75%まで低下。まだ行けます!」


 ユイの声は強く響くが、状況は厳しい。


 影の矢が艦を削り、光の海に黒い波紋を撒き散らす。


 その時――


「……艦長」


 ユイが小さく息を呑んだ。


「揺らぎ核から“信号”……いえ、“声”を受信しています」


「声?」


 遼が眉をひそめる。


「はい。解析します――これは……」


 ユイの表情が変わった。


 機械的な分析ではなく、直に“心”へ触れるような震えだ。


「……“助けて”と、言っています」


「揺らぎ核が?」


 レイリアも驚きの声を上げる。


「はい。核は“未来そのもの”……その未来が、艦長に助けを求めています」


 遼は息を吸い、スクリーンの中央――揺らぎ核の光柱を見つめた。


 すると――揺らぎ核の中心の光輪が、まるで意識を持ったかのように脈を打った。


「艦長……核が反応しています」


 ユイの声は震えている。


「あなたの“未来を守る意志”に呼応しているんです」


「呼応……?」


 遼は胸の奥が熱くなるのを感じた。


「核の光が……艦長に向いています。“見て”いるんです」


 ユイの瞳に、はっきりと揺らぎ核の光が映っていた。


 そして遼は確信した。


 ――揺らぎ核は、ただのエネルギー塊ではない。


 未来潮流そのものの“心臓”であり……意志を持った存在だ。


「艦長……揺らぎ核は、あなたに呼びかけています」


 ユイの声が震える。


「“未来を、守れ”と」


 遼はゆっくりと目を閉じ、深く息を吸い――


「……わかった。お前の未来、必ず守る」


 そう言って、舵を握りしめた。


「ユイ! 揺らぎ核と〈みらい〉を同期させろ!レイリア、補助回線の強化だ!」


「了解、艦長!」


「任せて!」


 光が艦体に集まり、〈みらい〉の全身が青白い輝きに包まれる。


 そして――影が怒号のような振動を放ちながら迫ってきた。


「来るぞ!!」


 遼、ユイ、レイリア。


 三人の意志が重なり、〈みらい〉は光柱へ突き進む。


 未来の心臓を守るため――


 星海のすべてを守るため――


 戦いは、さらに激しさを増してゆく。

お読みいただき、ありがとうございます!

よろしければ、ブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ