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始まりの冬  作者: Karyu
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70−青海の家、そして陰謀



 私たち五人は青海さんが先導する中、校門の前まで足を運びました。


 青海さんはその道中、携帯で誰かと連絡を取っていました。校門まで来た時、


「もう少し待っていただけますか? 今、迎えが来ますから」


 青海さんは、私達を待たせることを苦に思ってらっしゃるのか、ちょっと表情を曇らせました。


「だいじょうぶですよ、青海さん。私達は青海さんのお家へお邪魔するのですから、気を遣っていただかなくても」


「い、いえ! そんな訳にもいきません!」


 五分後、三台もの大型リムジンが鳳欄高校の前で停まり、中からはぞろぞろと黒いスーツに身を包んだ男が出てきました。


 その内の一人である、リーダーらしき男性が青海さんの傍まで駆け寄りました。


「青海様、お迎えに参りました」


「ありがとうございます、坂城さん」


「それでは、皆様もどうぞ」


 と、私達は他のSPの方達に促されながらそれぞれがリムジンへと乗りました。


 隊長、綾夏さんと西園寺さんが一番後方の車、真ん中に私と秀明、青海さんが一番前のほうへ搭乗しました。


 私達は約20分もの乗車を経て、目的地らしき場所で停車しました。


 到着するまでの間、秀明は革張りの座席に居心地が悪そうに座りながら言いました。


「なぁ、なんでこの車、窓が暗いんだ?」


「さぁ、わかりかねますね。それほどまでに目的地までの順路を知られてはいけないのか……それとも」


「それとも?」


「何か他の目的があるのか……」


「そっか、そうかもな。それに運転席も仕切られてるしな。なんか、変な煙でも出てきそうだよな」


 秀明は悪ガキっぽい笑顔で笑いながら、そんなことを言いました。笑いながら、そんな危険なこと言わないでください。


「やめてください秀明。縁起にもないです」


「そうか?」


「はい」


「はぁ、それになんか革張りってのは、慣れねぇよな」


「そうです、ね……」


「あれ、静香はこういったの慣れてなかったか?」


「いえ、さすがに中国にいた期間が長すぎましたから」


「なんか、静香。前より敬語増えてないか?」


「気のせいです……よ」


「そうそ、その調子だ」


 キシシと歯だけを出しながら秀明は笑いました。


 私は、何故か不思議と頬が火照ってきたのがわかりました。


「おっ、着いたのか?」


「そうみたいですね」


 私と秀明は揃って黒塗りのリムジンから降りると、他の皆さんもぞろぞろと降りてきました。


「な、なんか疲れたな……」


 隊長が後頭部を手でかきながら、欠伸とともに降りてきました。それに続いて西園寺さんと綾夏さんは、何かをお話しながら降りてきました。


「皆さん、大丈夫でしたか?」


 青海さんが急いで私達の所へ駆け寄ってきて、心配深げな顔で私達の反応を窺いました。


「は、はい。大丈夫でしたよ」


 私はなるべくそういいましたが、他の方はそうでもなかったようで………。


「あぁ、疲れた。革ってのはやっぱ慣れねぇな」


「そうだな。ちょっと、背中が痛くなった」


「うーん、私はそうでもなかったけど、暗かったね、中が」


「あ、うん、私も未来と一緒かな。なんでだったんだろ?」


 はぁ、少しは気遣いをお教えしなければならないのでしょうか。


「そ、そうでしたか……。す、すみません、私は昔からこうだったので」


 青海さんがそういったところで残りの四人も私の先例に気付いたのか、慌てながら、


「あ、あぁ、でも革は新鮮だったな」


「そうだな、あの背の感触は、慣れればきっと快適なんだろうな」


「そうそう、車内が暗かったからゆっくりできたし〜」


「うん、そうだよね。ゆったりしてたし、運転も上手でうるさくもなかったしね」


 今さら弁解をしてもどうかとは思いましたが、青海さんは見かけの通り単純のようでした。あ、こんなことを言ってはいけませんね……。


 青海さんはブルーだった表情を一気に顔を輝かせながら上げ、


「そ、そうですか!? それはよかったです!」


 ですが青海さんのご機嫌が優れてよかったです。


 ちなみに、私たちが下りた場所はどうやらどこかの敷地内の庭園内で、50メートル先には、私の実家よりも大幅に近代的な大豪邸が佇んでいました。


 大豪邸の正門から屋敷へと続く道の周りを、私達の腰辺りまで切りそろえられた垣根や茂みが、豪邸の後ろには広大な竹林が広がっています。


 和洋折衷とはこのことを言うのでしょうか?


 ですが、微塵の違和感を感じないのは、やはりプロの技なのですね。


 そんな私達を先導しながら、SPの方達に囲まれながら豪邸へと案内されました。


 青海さんの豪邸の、重厚な扉を通り越して踏み入ると、そこはすぐ広間で多数の黒いスーツを着こなしたSP思しき人達が一直線に並んでいました。


「!?」


 私は一瞬で場の雰囲気に危機感を覚え、数歩後ろへと後退しました。


 ですが、私は後ろへと配属されていたSPの内の一人に肩を掴まれて拘束されました。


 他の四人の方も私同様に捕まり、その光景を青海さんが困惑を浮かべながら騒ぎました。


「さ、坂城さん! 皆さんをどうするつもりですか!?」


 一人、拘束されなかった青海さんは驚愕し、叫んでいます。


「青海様。いえ、紅葉青海。我々はあなたを拘束し、この敷地を占拠しリベリオン復帰の第一陣とさせてもらう」


 坂城と呼ばれる男は30半ば程度、屈強な体つきで身長は160cm程度。目が真剣そのものでしたが、口は歪んだ笑みを彫っていました。


「な、なに!?」


 隊長が、一人の長躯なSPに腕の関節の自由を奪われながら声を荒げました。


 私は口には出さず、現状を観察します。私達が拘束されていることと多数のSP……どうやら私達の素性はばれているようですね。


 そして推測するからに、私達の状況は圧倒的に不利ですね。一体どうやって掻い潜り抜けられるものでしょうか……。


 私が邸内を自慢の洞察力で計測している間、秀明と西園寺さんが抗議の声を露にしていました。


「おいっ、なんでおめぇがリベリオンのことを知ってんだよ!」


 秀明の怒号に坂城は落ち着き払った声を嘲笑するかのように、己の口から語りだしていました。


「そんなの単純なこと。私、否、ここにいる我々すべてがリベリオンに属しているからだ」


「え!? そんなことシコン様は一言も言ってなかったのにっ……!」


 西園寺さんが衝撃を受けたのか、そう声を荒げて、


「ほう、お前がシコンの副官、ミキだったのか。こんなガキを副官に置くとは、やはりシコンは無能だったようだな」


 私は坂城の言葉が引っ掛かりましたが、それを綾夏さんが代弁してくれました。


「だったようだ? ということはあなたたちはシコンのことを知らなかったんですね? ましてや、あなたは現状でビワもしくはクキョウと繋がっているということですよね?」


「ほう、鋭いな女。そうとも、我々はビワ様の忍隊に仕える隊員である。だが私はこの場を落とし、忍隊幹部の一員となるのだ。我らは兵士! ビワ様に仕える兵士である!」


 坂城は自らの業にすでに溺れているのか笑みを声にあげ、甲高く嘲笑をあげた。



皆様、メリークリスマスでした!……?

本当はクリスマスの日に投稿しようとしたのですが、風邪を引いてしまい……クリスマスをベッドの上で過ごすというカオスを体験していました。


冬休みということで今週は更新回数が増えるかもしれません。

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