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始まりの冬  作者: Karyu
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61−日常(3)











〜静香〜












 たった今、紅葉さんがスペースから退室されました。


 私はそれを見守りながら今朝の出来事を思い出していました。


 昨日、東京から秀明と一緒に広島に帰還した私は秀明の家にまずはお邪魔することになりました。秀明のお父様は、すごい方でした。私は気に入られたみたいでしたが、秀明は私を連れ出して家まで送ってくれました。あのやり取りは微笑ましかったですね。


 私の家の者は皆、私の姿を見た途端に涙を流して歓迎してくれました。とても嬉しく感じ、喜ばしかったです。私も久しぶりの再会に涙を浮かべました。


 そして私の爺(執事)に秀明を紹介しました。何故なら以前も申し上げましたとおり、私の親は他界したからです。


 爺は鋭い視線で秀明を観察していましたが、どうやら認めてくれたみたいで安心しました。当の秀明は混乱していましたが、それはそれで見物でしたね。


 話を戻してその翌日、今日のことですが学校側への連絡はもう済ませ登校しました。半年間ものブランクがあったにせよ、私は迷うことなく鳳欄高校へと辿り着くことができました。普段は車ですが、今日はどうにも歩いて来てみたかったのです。


 そして昨日の連絡で学校に到着しだい職員室に来るようにとの仰せでしたので職員室の中に入ると私は未来さんを見かけたのです。


 条件反射なのでしょうか、私の緊張感が高まり、いつの間にか戦闘態勢に入りかけていました。


 そうしたら本人が、


「あ、静香ちゃん。久しぶり〜、そんなに緊張しないで。私は静香ちゃんの味方なんだから」


 と。


 確かに、今のルネサンスではMBSとリベリオンが合併した為、肩書きは味方。私も当初、未来さんがチルドレンとは知らなかったので別段注意もしませんでした。しかし未来さんは現に広島リベリオンリーダーシコンの片腕程の人物であることには変わりないのです。


 ですが学校で戦闘を行うわけにもいかず、私は冷静さを保つように努力しました。


 そして校長より紅葉さんのことも伺い、教室へと三人で向かい、このような形となったのですが……。


 でも紅葉さんがチルドレンだとは思いもよりませんでした。そしてハヤブサ総司令ともお知り合いなのにルネサンスにもどこの組織にも関与していない。


 そして今、スペース内のモニターに映ったハヤブサ総司令が喋っておられます。


「紅葉殿は、トップシークレットなのだが半年前に中国に拉致監禁された元首相の娘なのだ」


「え?」「は?」「な?」「うそっ!?」「なに!?」


 各自それぞれが驚きの声をあげました。順番でいきますと綾夏さん、私、隊長、未来さん、そして秀明です。


「ああ、そして紅葉殿はチルドレンでもあられる。そこでなのだが、お前達で紅葉殿の護衛をしてもらいたい。くれぐれもルネサンスへは勧誘するでないぞ。そんなことをしたら私の責任問題になる」


「それは任務なんですか?」


 綾夏さんがハヤブサ総司令に聞き、


「無論だ」


 と答えました。


「それと西園寺未来」


「はい?」


「シコンと話はつけてある。今日からお前もここの隊員になる。臨時隊員ということになるがな」


「はーい、わかりました〜」


「うむ、それでは健闘を祈る」


 それだけ言ってハヤブサ総司令からの連絡は途切れました。


 帰ってから早々、骨が折れそうですね……。それにしてもハヤブサ総司令の最期の言葉、一筋縄ではなさそうですね。


 私は晴天の青空を窓越しに眺めながら小さな溜息を漏らします。












〜未来〜












 はぁ、なんか元MBSの人達ってなんでこんなにルールとか多いんだろ。 


 ってのが私がルネサンスになったときに思った感想。


 本当はシコン様の下にいたかったけど、ここには綾夏がいる……。お互いがチルドレンとも知らず、敵同士とも知らずに無二の親友になった私達。


 一度は綾夏のことを私の手で………ってことも考えたけど。決意は頭で決めるんじゃなくて心で決めるものだって言ってくれた。


 そう、私は本当に愚かだった。こんなにも一緒にいて幸せになれる親友を、綾夏を私の手で殺すなんて考えた私は、本当に馬鹿(おろか)だった。


 でも今からは一緒にいれる。いつまでも、時が許してくれるその限界まで。


 だから私が綾夏を守る。どんなことをしても。


 だからかな、さっき私が紅葉青海に手を向けたのは……。


 でもあの子面白い。あんなに慌てちゃって。それとも天然なのかな? 今の今まで小動物みたいな子にあったことなかったからな〜。


 あの子は絶対、リスかウサギ系だね。ちょこまかちょこまかと。


 そんなこと考えてたら私は綾夏に呼ばれてた。


「未来! 未来ってば!」


「あ、ごめん。な〜に、綾夏?」


「私達ってこれからはもう一緒だよね?」


 心配そうに、でも期待を込めた綾夏の瞳を見ながら私は、


「勿論だよ。もう私はどこにも行かないから」


「うん………!」


 綾夏は半泣きになりながらも私を抱きしめた。


 私もそれがつい、嬉しくなって抱き返した。


 頬には一筋の涙が零れた。それは安堵と歓喜の結晶だったのかも知れない。





なにげにこの回は次のシリーズへの布石のようなもので驚きつつまったりいこうかな、というのが狙いです。いい、休憩が取れましたでしょうか?w 

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