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始まりの冬  作者: Karyu
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40−夢を蝕む悪魔(3)



「君の夢の欠片、君の血はおいしいな」


「くっ……」


 俺は虚ろな目で床に佇む綾夏と結界を張ってる妖魔精を交互に見ながらも手が出せずにいた。


 過去の報告より、妖魔精が人間に技をかけていた場合、妖魔精に直接的な打撃を与えたら技に嵌った人間にも打撃が伝わり死に至るのだ。


「くそっ……」


 妖魔精は人間の持つ小さな弱みに付け込む。そしてまだ強固な精神力を欠けている場合、妖魔精の技から抜け出せず夢の中で死んでしまう。


「綾夏に賭けるしかないか……」


 俺は立って待つのも間があるのでソファに座って待つことにした。




「きゃっ!」


 私は吹き飛ばされながらもなんとか体勢を立て直した。


「わが拳よ炎となりて我が弓矢となれ! ファイアーアロー」


 私が放ったファイアーアローは一直線に延びて妖魔精に当たったのに弾き飛ばされた。


 私の肩やお腹から血が流れて白い床には赤い斑点が多数存在していた。


「いいよ、君の夢。おいしいな」


 そう言いながら妖魔精は爪を掲げて突進してきた。


 私は右に避けたけどすぐに追いつかれてまた吹き飛ばされた。


「うっ……」


 私は膝をついて肩で息をしていた。


「はぁはぁはぁ……」


 私は潰れた目で余裕を見せた妖魔精を睨み、妖魔精目掛けて駆けた。


「?」


 そう妖魔精の顔に見えた。


「松陰焔硝、無砕焼結、熱血呪縛!」


 私が叫ぶと私の血が輝いて、妖魔精を束縛した。


「??」


「転結!!」


 球体の中に閉ざされた妖魔精は一気に燃え上がった。


「ぐががあああああ…………!!」


 妖魔精は身を捩りながら苦悶をあげながら焦げていった。


「はぁはぁはぁはぁ……勝った?」


 私は地面に落ちた妖魔精の死体を見下ろした。


 妖魔精は最後の足掻きか両手の爪を動かせたが次の瞬間動かなくなった。


「はぁ〜」


 私は力が抜けたのか一気に腰が抜けた。


「蛍火」


 私は傷痕に自分の手を当てて、傷口を閉じた。


「流騎くん……」


 私が流騎くんの名前を呟くと私の視界は歪んで行って、意識がまたも途切れた……。




「おい、綾夏、綾夏!」


「う、ううぅぅぅんん……」


 私がゆっくりと瞼を開けると、目の前には流騎くんが私を起こして名前を呼んでいた。


「し、流騎くん?」


「大丈夫か?」


「うん、でも妖魔精は……?」


「あそこで焦げ焼けたよ」


「え?」


 みるとそこにはリビングのカーペットの上で黒く焼け焦げ妖魔精の姿があった。


「私、勝てたの?」


「ああ、任務終了だな」


「よかった……」


「さあ、帰るか。帰りになんか奢るぞ」


「ほんと!?」


「あ、ああ」


「じゃあね、えっとね……」


「まあ、帰りに考えるとして早く帰るぞ。もう昼近いしな」


「うん、でも大丈夫決まったから。坊っちゃん団子百本食べたい」


「え?」


「だから〜……」


「わ、わかった。でもせめて半分ぐらいにしないか?」


「え〜? また嘘ですか?」


「う、わかったよ。百本だな百本」


「プラス五十本追加ね」


「えっ!?」


「だって嘘つこうとしたから」


「あー、もうわかったよ。ほらさっさと行くぞ!」


「妖魔精は?」


「こいつらは死んで時間がたつと蒸発するからな」


「そうなんだ」


 流騎くんは私の手を掴んでいそいそと家から出た。


 今日はちょっとラッキーだったかも。


 百五十本の坊っちゃん団子〜♪





綾)おいしぃ〜。坊っちゃん団子ー

流)くっ……か、金がなくなった。

綾)流騎くんは食べないの?

流)いや、俺はいい。このままじゃ本部に帰れなくなる。

綾)え、なにかいった?

流)い、いや。

作)いやー、でも本当においしいですね、坊っちゃん団子。さすが愛媛。

綾)あ、Karyuさん。お久しぶりです。

作)おひさしぶり、綾夏。それじゃ流騎、ごちそうさま

流)お、おい! ちょっと、待てっ!!

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