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無気力高校生の異世界救済  作者: SUZUKING
第一章 異世界へ
16/68

15 あくまで執事な鍛冶屋と魔道具

ブレインとの決闘まであと2日……決闘前日はきっと地獄の日々が待っている。

 優太はロブロと移動してきた闘技場の真ん中で、互いに睨み合っていた。

 すると、優太が動き出す。

 身体強化を使った優太か一歩踏み出すが、その後距離を詰めるのではなく、詰める振りをして、手に魔力を込めてそのまま魔力の塊をロブロに放つ。


「考え方は面白いですが……」


 しかし、ロブロは片手で魔力弾を弾き、魔力弾はあさっての方向に飛んで行く。

 その直後に、距離を詰めていた優太が蹴りを放つが、あっさりと止められてしまう。


「やっぱ当たらねぇ……」

「経験と技術が足らないですな。頭だけでは闘いには勝てませんぞ」


 ロブロは言外に、一対一では苦戦すると言っていた。

 これが仮に、戦争などの大規模戦闘ならば、魔導師は後方で頭を使うだけでも良いだろう。


「個人同士の闘いでは頭と身体能力が揃わなければ、苦戦を強いられてしまいます」

「その為に、組手か?」


 優太の言葉に、ロブロは頷く。

 すると、今度はロブロが仕掛ける、真っ直ぐ距離を詰めるために駆け出した。


「はやっ!? くそっ!」


 ロブロの動きに焦った優太が魔力弾を細かく展開し、弾幕を張っていく。

 しかし、ロブロはスピードを落とさず弾幕をかわしていく。


「この程度では、私は捉えられませんぞ!」

「マジかよ……のあっ!」


 優太の目の前まで、来たロブロは優太に軽い一撃を入れる。


「ここまでにしましょうか……反省会の後に魔道具の方に移りましょう」

「くそっ、いってぇ~」


 ロブロはそう言うと、しばらく考えた後に優太の問題点をいくつか指摘する。


「ユウタ様、経験や技術はこれから積んで行けば良いでしょう。しかし、魔力弾の方は改善の余地がありますな」

「……考えおく」

「次に、接近された時に対処する術が必要ですな」


 そこまで言って、ロブロは一つ提案をする。


「ジークに頼めば良い経験になると思いますぞ」

「……」

「ユウタ、私は良いと思うぞ、あいつは口が硬いし、信用出来るからな」


 ロブロの提案に、優太が黙るといつの間にか現れていたリティが賛成と頷いていた。

 リティの言葉に、優太は「はぁ」とため息を付くと、ロブロの提案を飲むことにした。


「リティがそう言うなら、そうしてみよう」

「では、私はジークに話を付けておきましょう……その前に、魔道具件を始めましょう」


 そう言うと、ロブロがまた別の扉へと向かっていき、その扉を開けたその先には……


「うっ、何だ? すげぇ暑い」

「私の工房とそっくりですね、流石はリティ様です」


 鍛冶場が有ったのだった。




 ─────────────────────────────




 ロブロは工房に入ると、執事服を脱ぐとタンクトップ一枚になり、鋼の肉体が露になる。

 そのまま、鉄の塊を何個か取り出すと、おもむろに叩き始めた。


 カンッ、カンッ、カンッ


 工房に木霊する鉄を叩く音と豹変したロブロの怒号が響く。


「おい! 坊主! 突っ立ってるんなら、出来た剣を運びやがれ!」

「えぇ……分かった」


 数回叩くだけで、剣が次々と出来上がっていく。

 出来た剣を優太が、えっさほいさと運んでいく。それが数回続いた後に、元に戻ったロブロが一息付くと、この作業は終わりを告げた。


「この位であれば充分でしょう……ユウタ様もお疲れ様です」

「疲れてる人間にやらせる事じゃねぇ」


 完全に優太は倒れていた。それもその筈だ、激しく組手をした後に百本近い剣を運んだのだ疲れない訳がなかった。

 作業が終了した後に、ノコノコやって来たリティが「やはりな」と呟いた。


「そいつは、作業に入ると人が変わるんだ……ユウタ災難だったな」

「それを先に教えて欲しかった」


 そうやり取りをしながら、優太は立ち上がり、リティに確認をする。


「それで、この剣の山は魔道具と関係有るのか?」

「そうだ、ここからは私の分野だからな……ロブロ、お前はジークに会ってこい」

「かしこまりましたリティ様……」


 ロブロはいつの間にか執事服を着ており、リティに頭を下げるとふっとその姿を消した。

 それを見送ったリティは、剣を一本持ち上げると剣に魔力を込め始めた。


「習うより馴れろだ、まずは手本を見せよう……魔力で刃こぼれが直る魔剣を作る」


 すると、剣に魔力が通っていく、緑色の線が数本入ると次の瞬間、眩しく輝くとそこには特に変わりない剣が有ったのだった。


「これは……失敗したのか?」

「魔剣は別に姿を必ず変えるものでは無いんだ、疑うなら実際に使って見れば良い」


 そう言うと、リティは軽く近くの物に剣を叩きつけて、わざと刃こぼれさせた剣を優太に渡す。

 優太は、剣の刀身をなぞりそれらしく魔力を込めて見た。

 すると、明らかに欠けていた剣の刀身が綺麗に直っていた。


「これは、鍛冶屋泣かせだな」

「そんなことは無い、刃こぼれ程度ならば直せるが折れてしまったらほぼ直せない」


 リティの言葉に、優太は「成る程ね」と納得すると何かに気付いたのか剣をまじまじと見始めた。


「? どうかしたのか?」

「……〈魔道具改造〉」


 優太は、突然そう呟いた。

 すると、剣が強く輝き出した。


「!? こ、これは!」

「魔剣・甦る剣リスポーンソード


 輝きの後、そこには刀身を鮮やかな緑に変えた剣があった。

 リティは、その剣を見て息を飲んだ……ああ、なんて綺麗なんだろうと……


「はっ! ユウタ、この剣は一体……」

「さっきの魔剣をいつの間にか増えてた新しいスキルで改造しただけだ」


 我に返ったリティが優太に質問すると、さらりと優太は答えた。


 〈魔道具改造〉……魔力を纏った物を更に魔改造する。既にある力を強化する事も、派生から新たな力を付与する事も出来る。また、魔力から直に魔道具を作れる。


「それで、その魔剣の力は何なんだ?」

「まあ、再生の力を強化しただけだ」


 リティの質問に答えると、優太はおもむろに剣を地面に叩き付けた。

 すると、魔剣は派手な音をたてて真っ二つに折れてしまった。


 パリイィン


 しかし、次の瞬間折れた刀身が硝子の様に粉々に砕け、光の粒子となって自身の半身へと戻って来る。

 戻って来た状態になった魔剣に、優太が魔力を込めると……


 バキバキ


 なんと、刀身が再生し始めたのだ。


「な……んだと……」

「おー、これで本当に鍛冶屋泣かせになったぞ……つーか、気持ち悪!」


 リティは言葉を失い、優太は自分で作った魔剣にドン引きしている。

 ここで、我に返ったリティが今だドン引き中の優太に詰め寄り始めた。


「ユウタ! これは一体何なんだ」

「何なんだって言われても、魔剣をさらに魔改造しただけだぞ?」

「お前はこの前から、軽く言ってくれるが……下手をしたら世界中から狙われる事案だぞ……」


 そんなリティの言葉に、「分かってるよ」と優太は頷いている。

 それを見て、リティはため息を付くと更に優太に質問をしていく。


「所で、この魔剣の仕組みはどうなっているんだ? 折れた刀身が砕けていたが?」

「簡単な事だよ、魔力を硬化させた刀身に改造して、折れたら魔力に戻って剣に吸収される。後は、魔力を注いで修復をサポートすれば刀身は元通りって感じだ」


 優太の言葉に、リティは「成る程」と感心していた。

 短時間でそこまで想像し、造り上げる、魔導師としての将来に期待しかない、リティは更に優太に質問する。


「スキルの説明の通りなら魔力だけでも、魔道具を作れるのだろう?」

「そうみたいだな」


 優太の言葉に、リティは子供の様な表情で優太にあるお願いをし始めた。


「なら、何でもいいから魔道具を一つ作ってみてはくれないか?」


 リティのお願いに、優太はため息を付くと「わかったよ」とうなずくのだった。




 ─────────────────────────────




 ジークはジゼルへの報告の後、執務室で今回のダンジョンでの事件の報告書をまとめていた。

 意図的と思われる、格上の魔物の召喚、姿の見えない敵の存在、挙げてしまえばきりがないがそれでも報告書は書かなければならない。


「はぁー」


 更に言えば、今回の事件は恐らくだが女神を妨害出来る、素性の知れぬ存在が絡んで居るのはほぼ間違えないだろう。

 そう考えると、ため息の一つも付きたくもなるだろう。


「ふぅ、これでよしっと、んーやっとおわった」

「貴様も、歳を取ったなジーク」


 書類を仕上げて、一息ついている時に不意の訪問者が現れた。

 しかし、ジークは驚く事もなく、訪問者を視認すると目を見開く。


「おお! 気配を感じると思ったらロブロ殿ではないか! 久しぶりだな!」

「気配は完全に消した筈なのだがな……流石は最強の騎士だな」


 そこには、ロブロが居た。

 ジークは、ロブロとの再開を喜び、ロブロは、気配を悟られた事に若干苦い顔をした。


「いやはや、懐かしい呼び名ですなぁー、あの頃の決着は着かず終いでしたな」

「昔の事だ、俺は気にしていない……」


 二人はしばらく、昔話に花を咲かして居たが不意に、ジークがロブロに質問を投げ掛けた。


「ロブロ殿、弟子には会われたか?」

「あの青二才は此処で働いて居るんだったな……」

「会わぬのか?」

「今は別のに忙しい」


 ロブロの言葉に、ジークは「別の?」と頭を傾げている。

 そんなジークに、ロブロはニヤリと笑うと愉快そうに話始めた。


「ユウタ、あれは鍛え概が有りそうだ」

「ほう、ロブロ殿もユウタ殿を買っておるのだな?」

「ああ、中々面白い奴だ、頭の回転が早くて、柔軟性がある。後は経験と技術だ」


 ロブロの評価に、ジークは「成る程」と頷いていた。

 そして、ジークはロブロに話の続きを促した。


「して、何の用だ? 昔話をしに来た訳でも無かろう?」

「ああ、さっきも言った通り、奴には経験と技術が足りない……だから、ジークの手を借りたい」


 ロブロの言葉に、ジークはニカッと笑うと嬉しそうに言うのだった。


「我に任せろ!」


 そう言い、ジークは二時間ほど遅れたが、訓練場へと向かったのだった。




おまけ


ラ「はっくしゅん!」

シ「お兄様? 風邪でも貰いましたか?」

ラ「いや、寒気と悪寒が……それと、地獄の日々が……」

シ「じ、ごく……ああぁぁ……」

エ「シリアとランドが、生まれたてのリトルホーン見たいになってる」


※リトルホーン……まだ、本編には出てこないが山羊の様な魔物、大人しい性格で、リトルホーンから取れる乳でチーズなどが作られる。

鈴の木です、寝る前とかに書くことが多いので深夜投稿が多いです。

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