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とある貴族の人形遣い (仮)  作者: 涼坂 九羅
1章 転生と人形遣い
9/37

9話 サイコな貴族の話

 サヤカはメイドになる宣言をした後、アリサに促され自分の生立ちについて語りだした

 その口調にアリサは幾分、驚いたようだ


・・・奴隷にしては教育が行き届いている・・・


 アリサの呟きを俺は聞き逃さなかった

 確かに、俺程ではないにしろ、サヤカの口調は年齢に合わない大人びたものだ

 

 まぁ、俺はアリサ違う部分で驚きを隠せなかったが・・・



 彼女の人生は始めから奴隷スタートだった

 物心つく前に、親に売られるか攫われるかして奴隷の身分となったらしい

 アリサは、人攫いの方が有力だと言っていた、ここ2〜3年で行方を眩ませる子供が多いのだとか


 サヤカ曰く、最初に自分を扱った奴隷商は、他よりマシだったとのこと

 その奴隷商は、幼児を専門的に扱う男で、商品を死なせない様に最低限の世話をしてくれたらしい


 まぁ、その男も

 商品である子供の親に惨殺されて、サヤカが1歳の頃に死んだらしいが・・・ザマぁ。


 しかし、サヤカは奴隷商が死んでも助からなかった


 奴隷商を殺した親は、直に他の奴隷商達からの報復を受けて死んだからだ

 その後、子供達は死んだ男の仲間達に分配されることとなる


 サヤカを分配された奴隷商は最低の男だった

 他にも3人、サヤカと共にその男の元に渡ったが、サヤカが男の手から離れるとき生き残っていたのはサヤカだけだった、この時、サヤカは2歳


 2歳となったサヤカを買ったのは、ある『貴族』の男だった

 その男は、最初に彼女を見た時、窪んだ瞳を光らせ当時名前すらなかった彼女にこう言った


「おお、『サヤカ』じゃないか

 どうしてこんな所にいるんだい?


 直に私が連れ出してあげよう、なぁに金は沢山あるんだ・・・

 なぁ、サヤカだよなぁ?」


 サヤカはその時、この男は危険だと本能的に察したらしい

 なぜなら、サヤカと同じ様に、男は他の女性奴隷に話しかけ買っていたのだから・・・


 しかし、彼女は頷いてします

 なぜなら、ここに居ても死ぬだけだと解っていたからだ


 結局、その男に買われた女性の奴隷は、サヤカも含め6人

 年齢はまばらで、最年少はサヤカだが、最年長は30を超えていたらしい

 彼女達は全員男に、『サヤカ』と呼ばれていた・・・


 男の家は豪邸だった

 おそらくは上級貴族だろうというのがアリサの見解だ

 

 上級貴族とは

 それぞれの七大貴族の派閥に属し、その派閥の幹部を勤める貴族達・・・と、アリサさんが説明してくれた


 アリサによると、この付近なら

 他の七大貴族の派閥に属する、『不知火家』、『蓮見家』

 月村家の派閥に属する、『夜守家』・・・

 以上の3つの貴族の家が存在するらしい


 要は、そいつ等がサヤカを買った疑いがある


 上級が居るなら、下級貴族、中級貴族も存在するが

 サヤカの証言から、上級貴族が一番怪しいとのこと


 『サヤカ』達を買った男は、やはり狂っていた

 彼は『サヤカ』と言う存在を、心の底から愛していたらしい

 それはもう、奴隷全員に同じ名前を付け、殺してしまう程に愛していた・・・


 男は奴隷達を大事にしていたという

 それはもう、狂気的に・・・


 彼女達は1年間、幸せだった

 男は狂っているが、それ以外は優しく、自分たちを奴隷として扱わず

 まるで娘の様に接してくれる


 使用人達はどこかよそよそしいが、皆、親切だった


 しかし、

 彼女の前から最初に姿を消したのは、30歳くらいの奴隷だった

 彼女がどうなったのか解らないが

 その日の男は上機嫌だった


 次に消えた女性は、男に消えた女の所在を聞いた少女だった

 美しい髪の少女だった・・・

 その日は、地下から悲鳴を聞いたと言う

 翌日の男は、やはり上機嫌だった・・・


 初めて男が女を殺す瞬間を見たのは

 ある奴隷が、恐怖に耐え切れず調子を崩した日だった

 サヤカは夜、その娘の看病をしていた

 元々、色白だった娘の顔は、凄く青ざめていたと言う

 

 そのとき彼女は、水を汲みに行くため部屋を出ていた・・・


 部屋に戻ると、男が病人の女性を担いで何処かに行く瞬間だった

 担がれる少女に意識は無かった

 サヤカは恐怖したが、恐いもの見たさと言うやつだろう、男の後を付けて行った


 男はある部屋に入り、内側から鍵を閉めた

 部屋の外から音を聞く

 そして中から悲鳴がこだました時、彼女は屋敷から逃げ出した・・・


 直に男の手により捕まり屋敷に連れ戻された

 鞭で打たれ死ぬかもしれないと思ったという

 目の前にあった、火のついたランプを投げつけた時、それは起こった


 ランプは男から逸れ、壁に当たり割れた、辺りに焔をまき散らす

 男は、屋敷に燃え広がる焔を見て発狂した

 そして、彼女を置いて何処かへと消えたという・・・


 そうして彼女は逃げ出せた


 サヤカがある程度、教養があるのは男が、『サヤカとして育てた』からだという

 

 サヤカの口から語られる言葉の数々は転生者である俺を驚かせ、戦慄させた



 もう、アレだ・・・あんな鬱な話聞かされたら、テンション凄い下がる・・・


 本当に居るんだな、殺人鬼って・・・


 俺は一人で畳の上に寝転び、サイコパスという言葉を思いだしていた

 うん、話に出て来た男は異常だ・・・


 アリサに確認したら

 例え奴隷であっても、殺せば罪に問われるらしい・・・表向きは・・・

 そう抜け穴・・・というか、殺人を合法化する法律がこの世界にはあるのだ、この世界には

 アリサに教わった


 至極簡単な内容だった


 魔法の研究、またはそれに類ずる趣旨の実験を行い

 その結果死者が出た場合

 その責任者に対する、一切の刑事責任を七大委員会で採決が下されない限り不問とする


 腐っているな

 要は魔法を使った殺人は合法化されているのだ


 七大委員会は、あまりに目に余る事例・・・

 しかも、表に出ている事件しか対応しない


 話に出て来た男が、その法律を使っているのかは知らん

 大体、この法律では治安が悪化するだけでは無いのか?

 殺人が横行する世の中ってことだろ?


 それもアリサが教えてくれた


 この国で魔法が使えるのは、貴族か、その貴族の弟子達だけだと・・・

 さらに、魔法を扱えるのは極一部の人間だけだと 


 巫山戯るな!!


 俺は、日本人特有の正義感と、平和な世界で作り上げた道徳観で怒りに燃えていた


 こんな法律変えねばならん・・・

 

 俺はこの世界で生きて行くつもりだ

 なら、俺は自分の気に喰わない法律など変えてやる


 その為に、この国の統治者まで昇ってやる!!

 幸い、俺は現状、権力争いの最有力候補らしい

 やってやる、やってやるぜ


・・・まずは、歩く練習をしよう・・・


 俺はこの時、安っぽい正義感で政権争いに足を踏み入れた

 後悔するのは、もう少し後だ・・・



 1つ言いたい

 今まで俺は数多くの、転生物の小説を読んで来たが

 少なくとも俺は、『歩く』のにこれほど苦労する描写は見たことが無い


 俺だけ変なのか

 それとも物語の主人公達は、描写されてないだけで涙ぐましい努力をしていたのか・・・

 うん、多分、歩く練習なんて地味なもん作者さんは書かないけどね、普通・・・


 俺は今、サヤカに手を持ってもらい、歩く練習をしている

 話終わった後、アリサに連れ去られた彼女は

 身体を奇麗に『洗われた』後、アリサから服を借り、まるで別人の様になっている


 髪色は赤毛で、髪型はベリーショートよりちょっと長めか・・・髪型の名前なんてしらん

 大きくアーモンド型の瞳は、年不相応の知性を感じられる

 そこに、程よく日焼けした肌と、幼さの残る可愛らしい顔付でアンバランス感が感じるが、そこに人を惹き付ける魅力を感じた


 美少女である

 なんか、緊張して来た

 彼女の前で転けたく無い、頑張ろう・・・


 足の筋肉が弱いのか?

 いや、アリサ曰く大丈夫な筈だ

 何故だ、何故、立てないのだろう


 1時間練習に付き合ってもらって掴まり立ちすら出来ない、何故だ?


「大丈夫・・・ですか、・・・マスター」


 へたり込んでいる俺に、サヤカは言葉を選びながら告げる


「別にアリサの真似して、『マスター』と呼ばなくてもいいですよ

 俺のことは『レイジ』と呼んで下さい

 あと、普通に喋っていいですよ」


 サヤカは少し考えた後

 言葉を口にした


「わかった、レイジ

 でも、・・・レイジも普通に喋って欲しい」


 あっ・・・、思えば俺口調が変だったか?

 少なくとも友人に対する口調じゃないな・・・


「・・・わかった、俺も直す

 コレで良いか、サヤカちゃん?」


 少し驚いた顔しているな、何か変だったか?


「・・・やっぱり、そっちが素?」


「ん?、ああ、コレが俺の素だ、何か変か?」


「いや、変じゃない・・・けど、やっぱり、変・・・」


 ん? 意味が分からん?


「あたしより年下なのに、やっぱり変・・・

 せっかく、可愛いのに・・・」


 何故、この世界の女性は人のことを恥ずかしげも無く、『可愛い』と言えるのか?

 本当に勘弁して欲しい・・・


 


 

 用事が入り、4、5日遠出WWW

 折角、読者さんが増えて来ているのに、投稿出来ない危険性が浮上しました


 心苦しいですが、4、5日、投稿が滞る可能性があります

 学校夏休みだし、一杯書きたいんですけどねぇ・・・


 まぁ、もしかしたら投稿可能な環境に泊まれるかもですがWWW


 これからも、この作品と作者めを暖かく見守ってやって下さい


ーーーーーーーーーーーーーーー


 月村以外の七大貴族の名前は、次回出します

 先に上級貴族を3家紹介しちゃってる辺り

 作者、段取り悪いですねぇWWW


 

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