皇帝陛下の愛娘はお友達の結婚を祝う
リリアージュとニコラが夫婦となった後、シモンとエミリアの結婚式と披露宴も行われた。五女とはいえ公爵家の家族達から溺愛されるご令嬢と、リリアージュの専属護衛騎士であり侯爵家の三男であるご令息の結婚式と披露宴である。それはそれは豪華なものだった。もちろん、リリアージュとニコラの式ほどではないが。
「二人とも、結婚おめでとう!」
「ありがとうな、リリアージュ様」
「ありがとうございます、リリアージュ様」
「二人とも本当におめでとう。お幸せにね」
「おう!任せろ!」
「私の夫はこのように調子の良い方ですので、これから頑張りますわ」
「ふふ、二人とも本当に素敵!」
リリアージュの言葉にシモンとエミリアは笑顔を見せる。
「シモンは皇帝陛下から、長年のリリアージュの専属護衛騎士としての功績により伯爵位を賜るんだよね?」
「そうだぜ!まさかここまでしていただけるなんてな!」
「皇帝陛下の直轄領から一部の領地までいただきましたから、領地経営も頑張らないといけませんわね」
「二人とも、お幸せにね!」
「おう!」
「リリアージュ様に祝福していただいたんですもの。幸せになりますわ。でも、結婚したからと疎遠になるのは嫌です。これからもお友達として、よろしくお願いします」
「もちろんだよ!」
リリアージュは、シモンとエミリアの幸せを心から祈った。
その後、ラウルとレオノールも結婚した。宮廷魔術師長の息子であり、本人も宮廷魔術師を務める伯爵令息であるラウルと、リリアージュのためのパティシエールであり伯爵令嬢であるレオノールの結婚式と披露宴。さすがにリリアージュとニコラ、エミリアとシモンの結婚式と披露宴ほどの規模ではないが、それなりに盛大な式となった。
「レオノールちゃん!ラウルも結婚おめでとう!二人ともすっごく素敵だよ!」
「ありがとう、リリアージュ様!」
「ありがとうございます、リリアージュ様。お祝いしてくださってとても嬉しいです」
「二人とも結婚おめでとう。祝福するよ」
「ニコラもありがとう!」
「ええ。ありがとうございます、ニコラ」
レオノールとラウルの二人は穏やかに祝福を受ける。
「そういえば、ラウルはお父さんから余った子爵位と飛び地の領地をもらうんだよね」
「ええ。これから忙しくなるかもしれないですが、宮廷魔術師としての仕事は続けますよ」
「その分私が頑張らないとね!」
「頼りにしています」
信頼し合う様子の二人に、リリアージュはにこりと微笑む。
「お互い結婚をしたけど、これからもお友達だよ!よろしくね!」
「あ、リリアージュ様。でも、私、結婚したからパティシエールは辞めなくちゃいけないから…」
「そんなの気にしないでいつでも遊びに来て!こちらからも招待するから!あ、でもしつこかったら言ってね?迷惑をかけない範囲で誘うようにするから」
「迷惑なんて全然ないよ!リリアージュ様と一緒にいられるなら毎日だって会いに行きたいもの!ずっと友達だよ!」
「うん!」
リリアージュはレオノールとラウルのこれからの人生に、たくさんの祝福がありますようにとそっと祈った。




