## 零細生活者の生態 ### 第二十三章 四人の朝餉③
店内の注目を集めたまま四人は店を出た。
ヨシオは早足で歩き始め、
三人が追いかけようとするのを無視した。
「叔父さん!」
柚希が叫ぶ。
「待って!」
「来ないでくれ」
彼は振り返りもせず言った。
「こんな見窄らしい中年男とつるんでるとろくな目にあわないぞ」
「それって本気で言ってるの?」
花音の声に怒りが混じる。
「当たり前だ」
ヨシオの足が止まった。
「さあみんな家に帰りなさい。親御さんが心配しているはずだ」
「でも……」
紗月が前に出る。
「でもじゃない!」
ヨシオが突然声を荒げた。
「いいから家に帰れ!」
三人の少女は立ち尽くした。
これまで見せたことのないヨシオの激しさに圧倒されている。
「ヨシオさん」
柚希の目に涙が浮かぶ。
「私たちは本当に心配してるだけなのに……」
「わかってる」
ヨシオは苦しそうに言った。
「だからこそ余計に辛いんだ。俺なんかのために時間を無駄にするな」
「時間なんて……」
「花音」
ヨシオは少女たちを見渡した。
「お前は金持ちのお嬢様だ。紗月は勉強好きな高校生。柚希も立派な両親と弟が待っているじゃないか。みんな将来があるんだ」
「将来なんて関係ない」
花音が反論する。
「大事なのは今です」
「今を台無しにしてどうする?」
ヨシオの声が震えた。
「俺は落ちぶれた男だ。お前たちの人生の重荷になる」
三人は沈黙した。
言葉の重さがその場を支配する......




